ユーザーテストの実施と分析

こんにちは、UXデザインセンターのabです。私事になりますがつい先日、1年ほど時間をかけてじっくり仕様を検討したプロダクトがリリースされました。

もちろん、リリースしたからといって終わりではなく、更に良いものを作るため現在はユーザーテストを実施しています。いわゆるユーザビリティの改善に欠かせないユーザーテストですが、今回はその実施と分析についてまとめたいと思います。

その前に、ユーザーテストについて少しおさらいを。

ユーザーテストとは

ユーザーテストとは、対象の製品やサービスなどを利用者に実際に操作してもらい、その時のユーザーの行動や発言を通して問題点を発見する、いわゆるユーザビリティを評価するテストのことです。

ちなみに、ユーザーテストはユーザビリティテストとも言います。ユーザビリティを詳しく知りたい方はこちらの記事を見てね

評価の種類

ユーザビリティを評価する手法は、ユーザーテストだけでなくヒューリスティック評価など他にも色々ありますが、評価は目的により「統括的評価」と「形成的評価」に分類することができます。

前者は測定を目的としてに行う評価のことであり、パフォーマンス測定がこれにあたります。それに対して、後者は改善を目的として行う評価のことであり、ユーザーテストやヒューリスティック評価などがあります。

また、ユーザビリティ評価はその手法により、実験的手法と分析的手法に区別できます。

前者は、実際のユーザーのデータに基づいて評価する手法で、ユーザーテストがこれにあたります。それに対して後者は、知識や経験に基づいて評価する手法で、専門家主体で行うヒューリスティック評価などがあります。

よって、「ユーザーテスト」とは形成的で分析的な評価方法ということになります。

ユーザーテストの実施

ユーザーテストの基本的なやり方はとてもシンプル。ユーザーに、提示したタスクを実行してもらい、それを観察(記録)するだけです。

ユーザーテストの多くは、思考発話法が用いられます。思考発話法とは、単純に操作するだけでなく、操作しながら頭の中で考えていることを口に出してもらう、というものです。そうすることで、ユーザーの行動の背景にある心理「なぜ、そうしたのか」をより詳細に捉えることができます。

また、ユーザーの「生の声」は、プロジェクト関係者にインパクトを多大に与えます。専門家がその知識と経験を元に、どんなにもっともらしいことを言ったとて、ユーザーの何気ないつぶやきの、その一言で決定することが多々あるのです。まさに、神の声。

ちなみに上のイラスト、エクセルでお絵描きしたんです♪
絵心のない私でも、あら不思議!いとも簡単に描けました\(^^)/

例えばストーリーボード作成など、いろんな場面で活躍してくれると思います。詳しく知りたい方はこちらの記事を見てね。

観察のポイント

観察のポイントとしては以下です。
・独力でタスクを完了できたか
・操作を間違ったり、無駄な操作をしていないか
・ユーザーが困ったような、または「???」な表情をしていないか
→どちらも発話がなければ促して!でも、質問に答えちゃダメ!
・分析しない!
→この観察を元に後で分析するので、ここでは事実のみを記録!

記録は、ユーザーの行動と発話を時系列にメモします。フォーマットなど特に決まりはありませんが、例えばこんな感じで私は記録をしています。

『タスク:歓送迎会のお店をネット予約する』
No.1 :20代/男性/会社員(不動産)
ネットリテラシー:中程度(毎日ネットは利用している。ECサイトは頻繁に利用する。)
開始 :店舗検索画面TOP
終了 :予約確定メールを確認するNo. 操作             発話
1 開始              会社の最寄り駅で探したいなー
2 「東京」のリンクをクリック   とりあえず東京…
3 検索画面表示          沿線から検索と…
あ、お勧めのコースからも探せるんだ!
歓迎会にお勧めもいいけど、値段が気になる…
あ、飲み放題コースもある
4 「4千円台飲み放題のコース」  予算はこれくらいだな…
をクリック



22 終了 メールを確認      ちゃんと予約とれてるようで安心♪

テストユーザーについて

テストユーザーは5人いれば十分で、ユーザビリティ上の問題の約85%を発見できるそうです。
参考:Why You Only Need to Test with 5 Users(by ヤコブ・ニールセン氏)

意外と少ない人数で大丈夫なんですね。ちなみに、テストの協力をしてもらうため、利用するユーザーに近い条件を持つ人を集めることを「リクルーティング」と言います。

分析

「インパクト分析」を用いて、発見された問題点に対して優先度を付けます。「問題点の質」×「発生頻度」で問題をランク付けします。

※表中の数字は優先順位になります(小さいほど優先度が高い)

問題の質

発見された問題を「効果・効率・満足度」の3つにカテゴリ分けします。
・効果問題:独力でタスクを完了できないことを、効果に問題があると言い、最も深刻な問題です。
・効率問題:完了はできても、その過程で操作を間違ったり、戸惑ったりすれば効率に問題があります。
・満足度問題(不満や不安を感じる):完了はしていても、その過程で不安や不満を口にしたり、口にしなくても態度に出たらそれは満足度に問題があります。

発生頻度

同じ問題をおこしたユーザーが多ければ多いほど「発生頻度が高い」ということになります。
・発生頻度が高:(ほぼ)全員
・発生頻度が中:複数人
・発生頻度が低:1人
※ルールは特にありませんが、プロジェクトに応じて方針を決める必要はあります。
例えばテストユーザーが5人の場合は、高:5人、中:2~4人、低:1人、など

分析のやり方

以下、分析の流れとそのやり方です。

①記録から問題点を抽出、同じ内容の問題同士をまとめる。

②発生頻度で並べる

③問題の質でまとめる
②を更に、問題の質でカテゴリ分けします。

④優先度をつける

最優先で改善しなければいけないのは、赤色上にあるI問題ということになります。その次に黄色、緑、最後にグレーの順で改善(やる・やらないを含めて)を検討します。

もちろん優先度の順位付けなど、細かいルールについてはこの限りではないので、そのプロジェクトに応じたルールでカスタマイズしていただければと思います。

さいごに

「このUIやフローはユーザーにとって本当に使いやすいのか?」

作る側の私達にとって常に付いて回る課題ですが、ユーザーテストはそんな課題を解決してくれる非常に有効な手法です。しかし反面、期間やコストがかかるといったデメリットもあります。

冒頭でも触れましたが、ユーザビリティを評価する手法はこれに限らず他にもあるので、目的に応じた評価手法を選択することも必要です。その他の評価手法については、また別の機会にまとめたいと思います。

参考文献:ユーザビリティエンジニアリング 第2版 樽本徹也著

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