こんにちは。

 

クレスコ UXデザインセンターのりんりんです。

「UX」について語る、UXデザインセンター連載の第2回目です。

初回の前回は、「UXとは何?」「UXの定義とは」「UIとの違いは?」といった、【UXの基本のき】についてお話ししました。

今回は、私たちの部署名にもなっている、「UXデザイン」についてお話ししたいと思います。

■デザインとは?

皆さんは「デザイン」と聞くと、どんなイメージを持たれるでしょうか。

「Appleの製品はデザインが良い」「使いやすい割にデザインがダメ」といった使われ方をよくされています。

恐らく、多くの方がデザインという言葉を【見た目の良し悪し】だと思われているのではないでしょうか。

しかし、「Design」の本当の意味は、「設計」や「設計する」です。

(ちなみに、Designの語源はラテン語で、「DE + sign」で「区画して描く」という意味だそうです)

つまり、単純に訳すと、UXデザインとは、「ユーザー体験を設計する」ということになります。

ユーザー体験を設計する・・・いまひとつピンと来ない方もあるかと思います。

もう少し噛み砕いてみましょう。

前回書いたUXの定義を再掲しますと・・・

<ユーザーが製品やシステム、サービスを「利用する」という行為に関係するすべての要因から構成されるユーザーの印象>

ということでした。

ユーザーの印象を設計する・・・

ますます分からなくなってきました。。。

体験や印象を設計するとは、どういうことなのでしょうか。

■UXをデザインする

ユーザー体験を設計する、ユーザーの印象を設計する、と直訳すると、何となくぼんやりと分かってはいるものの、なんだかよく分からないですよね。

体験を設計するといっても、何を設計するのか分かりづらいですし、印象を設計するとしても、千差万別違う人の印象そのものを設計するだなんて、やはり何をすべきかがよく分かりません。

そこで、筆者自身の経験談ですが、こう理解するようにしています。


ユーザー体験自体を設計することは難しいが、ユーザー体験のために設計する。


簡単な日本語の読み替え/付けたしではありますが、これで「UXをデザインする」という意味が分かりやすくなりませんか?!

製品やシステム、サービスそのものだけでなく、それを利用することを通してユーザーが感じる印象がUXなので、単に作ったものの良し悪しだけでなく、そのものに触れるすべての局面におけるユーザーの気持ちを、可能な限り良い方向に誘導するような設計。

単に、作ろうとしている製品やシステム、サービスそのものの良し悪しだけを考えるのではなく、ユーザーがそれに触れるすべての局面における気持ちを、可能な限り良い方向に誘導するように設計する。

それがUXデザインです。

デザイン、設計の対象範囲が、意外にも(?)かなり広い、ということがお分かり頂けるかと思います。

■「UXデザイン」というコトバ

さて、それでは、「UXデザイン」という単語を聞いて、どのような印象を持つでしょうか。

一般に「UXデザイン」というと、「デザイン」という言葉の持つイメージがどうしても先行してしまい、「見た目がオシャレ」だったり、なにか「素敵なもの」のように思われがちですが、必ずしも素敵さや意匠的な良さ(これこそ、カッコ良さやスマートさなどの、いわゆる一般的な「デザイン」)を持ち合わせているというわけではありません。

ここ数年で、「UXデザイン」という言葉が広まる中で、どうもこの印象を持っている方が多いように感じます。

また、このイメージに引っ張られてか、どうしても「UIの良さ」だけに焦点が当たりがちです。

筆者自身、仕事でもプライベートでも、「UXをもっと良くしたいんだけど」といった話をよく耳にします。

職業柄、「お、またUXに興味を持って頂けた方が増えた♪」と胸躍らせながらお話を聞くのですが、よくよく掘り下げてみると、課題や問題点として認識されている内容が「UIの良さ」だけに焦点が当たっている・・・ということが少なくありません。
また、「UIを良くすることでUXが良くなり、結果としてユーザーが増える」という、UXデザインに対する期待値のズレも、よく感じます。

くどいようですが、「デザイン」とは「設計」です。

見た目の良さやカッコイイのは、もちろん良いに越したことはないのですが、その先にある使いやすさ、分かりやすさ、さらにはその奥にあるユーザーの感情にまで焦点を当てて、ユーザーを中心に据えて全体をきちんと見つめた設計が求められます。

本当のUXデザインを目指すには、UIだけでは足りないのです。

これを読んで頂いている皆さんには、ぜひ「デザイン」の意味、そして、「UXデザイン」の意味をきちんと理解して頂きたいと思います。。。

さて、今回は「UXデザイン」についてご紹介しました。

次回は、本連載の冒頭でも少し触れた、「ユーザビリティ」について書きたいと思います。

次回もお楽しみに!