こんにちは。
クレスコ UXデザインセンターのりんりんです。
「UX」について語る、UXデザインセンター連載の第2回目です。
初回の前回は、「UXとは何?」「UXの定義とは」「UIとの違いは?」といった、【UXの基本のき】についてお話ししました。
今回は、私たちの部署名にもなっている、「UXデザイン」についてお話ししたいと思います。
皆さんは「デザイン」と聞くと、どんなイメージを持たれるでしょうか。
「Appleの製品はデザインが良い」「使いやすい割にデザインがダメ」といった使われ方をよくされています。
恐らく、多くの方がデザインという言葉を【見た目の良し悪し】だと思われているのではないでしょうか。
しかし、「Design」の本当の意味は、「設計」や「設計する」です。
(ちなみに、Designの語源はラテン語で、「DE + sign」で「区画して描く」という意味だそうです)
つまり、単純に訳すと、UXデザインとは、「ユーザー体験を設計する」ということになります。
ユーザー体験を設計する・・・いまひとつピンと来ない方もあるかと思います。
もう少し噛み砕いてみましょう。
前回書いたUXの定義を再掲しますと・・・
<ユーザーが製品やシステム、サービスを「利用する」という行為に関係するすべての要因から構成されるユーザーの印象>
ということでした。
ユーザーの印象を設計する・・・
ますます分からなくなってきました。。。
体験や印象を設計するとは、どういうことなのでしょうか。
ユーザー体験を設計する、ユーザーの印象を設計する、と直訳すると、何となくぼんやりと分かってはいるものの、なんだかよく分からないですよね。
体験を設計するといっても、何を設計するのか分かりづらいですし、印象を設計するとしても、千差万別違う人の印象そのものを設計するだなんて、やはり何をすべきかがよく分かりません。
そこで、筆者自身の経験談ですが、こう理解するようにしています。
ユーザー体験自体を設計することは難しいが、ユーザー体験のために設計する。
簡単な日本語の読み替え/付けたしではありますが、これで「UXをデザインする」という意味が分かりやすくなりませんか?!
製品やシステム、サービスそのものだけでなく、それを利用することを通してユーザーが感じる印象がUXなので、単に作ったものの良し悪しだけでなく、そのものに触れるすべての局面におけるユーザーの気持ちを、可能な限り良い方向に誘導するような設計。
単に、作ろうとしている製品やシステム、サービスそのものの良し悪しだけを考えるのではなく、ユーザーがそれに触れるすべての局面における気持ちを、可能な限り良い方向に誘導するように設計する。
それがUXデザインです。
デザイン、設計の対象範囲が、意外にも(?)かなり広い、ということがお分かり頂けるかと思います。
さて、それでは、「UXデザイン」という単語を聞いて、どのような印象を持つでしょうか。
一般に「UXデザイン」というと、「デザイン」という言葉の持つイメージがどうしても先行してしまい、「見た目がオシャレ」だったり、なにか「素敵なもの」のように思われがちですが、必ずしも素敵さや意匠的な良さ(これこそ、カッコ良さやスマートさなどの、いわゆる一般的な「デザイン」)を持ち合わせているというわけではありません。
ここ数年で、「UXデザイン」という言葉が広まる中で、どうもこの印象を持っている方が多いように感じます。
また、このイメージに引っ張られてか、どうしても「UIの良さ」だけに焦点が当たりがちです。
筆者自身、仕事でもプライベートでも、「UXをもっと良くしたいんだけど」といった話をよく耳にします。
職業柄、「お、またUXに興味を持って頂けた方が増えた♪」と胸躍らせながらお話を聞くのですが、よくよく掘り下げてみると、課題や問題点として認識されている内容が「UIの良さ」だけに焦点が当たっている・・・ということが少なくありません。
また、「UIを良くすることでUXが良くなり、結果としてユーザーが増える」という、UXデザインに対する期待値のズレも、よく感じます。
くどいようですが、「デザイン」とは「設計」です。
見た目の良さやカッコイイのは、もちろん良いに越したことはないのですが、その先にある使いやすさ、分かりやすさ、さらにはその奥にあるユーザーの感情にまで焦点を当てて、ユーザーを中心に据えて全体をきちんと見つめた設計が求められます。
本当のUXデザインを目指すには、UIだけでは足りないのです。
これを読んで頂いている皆さんには、ぜひ「デザイン」の意味、そして、「UXデザイン」の意味をきちんと理解して頂きたいと思います。。。
さて、今回は「UXデザイン」についてご紹介しました。
次回は、本連載の冒頭でも少し触れた、「ユーザビリティ」について書きたいと思います。
次回もお楽しみに!