クリエイターエコノミー誕生の経緯と将来についての考察

こんにちは。
ディベロップメントテクノロジーセンターのてんぷらです。

最近はメタバースやNFT、クリエイターエコノミーなどのビジネス用語がバズワードとなっています。
今回はその中でもクリエイターエコノミーについて、
自分なりに調査・考察を行ってみました。

クリエイターエコノミーとは何か、どのような経緯で生まれてきたものなのか、
今後どのような影響をビジネスに与えるのか、皆様と一緒に考えていければと思います。

クリエイターエコノミーとは

そもそもクリエイターエコノミーとは何なのでしょうか。
クリエイターエコノミー協会の説明を参考にすると、これまでの企業が生産し個人が消費する一方向ではなく、すべての人々がクリエイターとして表現を行いすべての人々がその消費者となる双方向の経済圏を指すようです。

すでにクリエイターエコノミーの市場規模は2021年5月時点で約1,042億ドルと大きなものになっています。
IDC Japanの調査によると2020年のVRの市場規模が1,433億ドルとのことなので、
クリエイターエコノミー市場はある程度の規模になっているようです。
(参考:[第1回]米国が引っ張る世界のVR市場 カギはコンテンツにあり)

コロナ禍で人々の活動がインターネットにシフトしたことや、各種プラットフォームの後押しや新技術の登場がその流れをより一層加速させているようです。

いくつかの解説記事に目を通してみたところ、ここで語られるクリエイターの代表例はYouTuberのようであり、クリエイターエコノミーそのものの歴史とも関わりが深いようでした。
そのため次項ではYouTubeを中心に、クリエイターエコノミーがどのような背景で発展してきたのかを整理していこうと思います。

クリエイターエコノミーへのシフトの背景

クリエイター側

Zenithの世界のメディア利用時間調査によると、世界の人々がTVを視聴する時間は減少しており、
対してモバイルインターネットを使用する時間は増加し続けています。
消費者の動向が変化すればクリエイターの活動拠点も合わせて変化していくことになります。
YouTubeの日本版公式ブログによると、YouTubeに投稿される動画は2012年に毎分60時間分だったものが2020年には毎分500時間分まで伸びています。
毎年同じ増加率だとしても1年で30%以上伸びていることになりますので、YouTubeで活動するクリエイターも急増していると言えそうです。

しかし、初期のYouTubeクリエイターの収益は広告収入によるものがほとんどであり、クリエイターの急増により広告単価は下落し続けてしまいました。
そのためクリエイターからは、広告収入以外の新たな収益の獲得手段が望まれるようになります。

これに対するYouTube側の対応については後述としますが、プラットフォームのアップデートによりクリエイターが収益を得る手段は多様化していきます。
また、TwitterやFacebookなどのプラットフォームもクリエイター支援のプログラムを発表し、クリエイターは活動の幅を広げました。
さらに、ShopifyのようなECプラットフォームなどの登場によりクリエイターが提供できるコンテンツの種類が多様化し、Patreonのようにユーザーが直接クリエイターを支援するためのプラットフォームも登場しています。

新技術の登場もこれを後押ししています。
NFT(非代替性トークン)により、デジタルコンテンツに製作者や所有者などの情報をブロックチェーンによって記録することができるようになりました。
これにより複製が容易だったデジタルコンテンツに唯一性という新しい価値を付与することができるようになります。
クリエイターのブランド力向上によってデジタルコンテンツの価値を押し上げることができます。
(参考:クリエイターエコノミーとは何か?(1)概要とビジネスモデル)
(参考:Consumers will spend 800 hours using mobile internet devices this year)
(参考:YouTube 15 周年を迎えて:これまでと今後について)

プラットフォーム側

クリエイターの要望に合わせてYouTubeは、収益を得るための様々な仕組みを追加してきました。

  • チャンネルメンバーシップ
    • 視聴者がクリエイターに対し月額料金を支払うことでメンバーとなり、メンバー限定の特典を得られる
  • グッズ紹介
    • 動画ページで紹介されたグッズを購入できる
  • Super Chat
    • 料金を払うことでチャット欄で視聴者が自分のメッセージを目立たせることができる
  • YouTube Premium
    • YouTube Premiumに加入したユーザがコンテンツを視聴すると、その料金の一部を得られる

これらのアップデートは単にクリエイターを支援するだけのものではなく、
Googleのビジネスモデルの変化でもあります。
インターネットの利用時間増加に合わせてデジタルの広告費総額も増加していますが、
広告単価の方は下落してきているそうです。
SNSなどのプラットフォームはどんどん増加し、その中で活動するクリエイターも前述の通り増加しているのですから、その間で限りある広告の奪い合いが起きて単価が下落していくのは納得できる話です。
Googleはレッドオーシャンとなったデジタル広告からユーザー課金へシフトするために、これらの施策を行っているのかもしれません。
(参考:YouTube で収益を得るには)
(参考:ネットの広告ビジネスは消耗戦に入っている)
(参考:Googleの親会社Alphabet決算、過去最高を更新 YouTube広告が好調)

考察

ここまでで、クリエイターエコノミーが広まってきていることは分かりました。
ではこれが今後の世界にどのような影響を与えるのか、私なりの考察を行ってみましたのでお付き合いください。

クリエイターエコノミーが企業活動に与える影響

まずはYouTubeなどのクリエイターが利用するプラットフォームから考えていきます。
現在はSNS企業を中心にクリエイターが収益化するための仕組みがどんどん追加されてきています。
またベンチャーなどではクリエイターが行う必要のある多くのタスクを軽減するためのサービスも提供され始めています。
これらによってクリエイターとなるためのハードルはどんどん下がってきています。
しかし、クリエイターとして活躍するためには熱意が必要不可欠であり、それを長く持続することは難しいです。
この部分を支えられるようなサービスが出てくると、競合が少ないので伸びるかもしれません。

クリエイターは個人・少数であることがほとんどですので、大量生産や画一化によるコスト圧縮が可能な一般消費財を製造業やサービス業など大衆向けに主軸を置いた企業ついては影響は大きくないのではないでしょうか。
ただし、規模による生産力の差が問題になりにくいデジタルコンテンツが中心だと注意が必要だと思います。

業界をまたいでユーザの可処分時間を奪い合うことになる動画・音楽・書籍などのエンターテイメント系は、クリエイターがすでに多数存在しますが、企業に所属するクリエイターや個人のクリエイターが業界の垣根を越えて、激しい戦いを繰り広げることになるかもしれません。

現在のYouTuberを見てみると、どんどんニッチな領域をカバーする方たちが増えてきています。
このことから、需要が小さくても確かに存在する部分をターゲットとした個別最適化が中心の企業は競合しやすいかもしれません。

クリエイターと企業の競合は3Dプリンターなど、クリエイター側の生産力を強化する技術や、
VRなど生産力の差が生まれにくい業界の普及と共に大きくなっていくと思います。
いずれは競合他社ならぬ「競合他者」の分析を行う必要が出てくるかもしれません。

他のバズワードとの関わり(VR)

私はVRの発展ともにクリエイターエコノミーは広がっていくと想像しています。
VRの世界を構成するアバターやオブジェクトはもちろんデジタルデータですので、複製が容易です。
そうなるとデザインが差別化の中心となるため、個人でも企業と戦える可能性は十分にあります。

すでにVRサービスで利用するためのアバターや小物をクリエイターが販売している例もあるため、
将来そうなる可能性は高いと思っています。
これらは衣服やアクセサリーなどと同じなので、VRが発展して利用シーンが増えるほどTPOでの使い分けのため、需要が拡大していくでしょう。

さらにVR空間そのものも商品となれば、個人で利用するための家の立ち位置となるかもしれません。
VR空間の利用方法としては様々な空間をめぐる旅行サービスなども考えられそうです。

終わりに

背景の項で見てきたYouTubeの変化はすでにデジタル技術をベースにしたビジネスをさらに別のビジネスモデルへと変革する、デジタルからデジタルへのDXと呼ぶことができるかもしれません。(多少こじつけの感はありますが)
日本でも近年DXが盛んに叫ばれていますが、業務をデジタル化すればそれでOKというような風潮が強い気がしています。

今回クリエイターエコノミーについて調べてみて、今はビジネスの在り方が大きく変わる局面に来ていることが感じられました。
仮に世界中がクリエイターエコノミー一色になるくらいに変化したとしてもそれで止まらずに、また大きな変化がやってくるでしょう。
お客様の要望をただ叶えるだけではなく、クレスコがお客様をリードしていくためには、最新技術を追いかけるだけではなくこのような業界や世界の変化の流れもつかんでいかなければならない。
そんなことを考えさせられました。

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