技研の(あ)です。

 

[前編]でポスタープレゼンツールの骨格ができました。ツールの名前はポスタービューアということで “PostView” としました。これで最低限のポスタープレゼンはできますが、せっかくなので欲しくなりそうな機能を想像してもっと追加していきます。ビデオ会議システムでの普段の打ち合わせでの画面共有に関連して使いづらいところなども考えて工夫を入れたいところです。
(なお、発表一週間前(当時))

補助資料

物理的なポスター/インタラクティブ発表の場合、ポスター本体に入れるほどではない・入れづらいけれども、口頭での説明のときに必要に応じて見せて使う補助資料を用意することも多いかと思います。今回の発表は「眼底の断層画像に機械学習を適用して…」という話でしたが、インタラクション系の学会なので聴衆は眼科の話に詳しくはありません。なので、「人間の眼の構造」の図などは補助資料として用意しておきたいところです。

こうした用途には画像の拡大などはなくてもよいかなー、というところで、予めセットしておいた画像をワンタッチで表示・非表示できるという形で実装します。画面全体に表示する、というよりはポスター画面の上に重ねる、という感じのほうが補助資料ということも分かりやすいでしょう。いくつセットしておきたいか、まあそんなに大量には要らないかな、ということで最大5〜7個程度、という感じで想定しておきます。

こんな感じです。左下のほうに補助資料がいくつか並んでいて、そこをクリックすると表示されます。

デモアプリへの切り替え

今回は画像処理的な内容だったので、ポスターだけでも説明できる話ではあったのですが、元々、物理会場で発表する場合であれば、ちょっとしたデモアプリ (はい、これも Java で作ってます) でたくさんの事例を見せたりしようと思っていました。

ビデオ会議システムで画面共有を使う場合、複数のウィンドウを切り替えようと思うと面倒な場合がよくあります。複数ウィンドウを指定して共有する機能があったり、ウィンドウではなくディスプレイも指定できたりするので、できなくはないのですが、今、相手にどれが見えているのかが判りづらかったりして切り替えには手間取ってしまいます (すごく慣れている人だとそうでもないかも?)。

ポスタープレゼン用ツールもデモアプリも Java で作っているので、

「共有するのは一つのウィンドウでその中で
ポスターとデモアプリを切り替えてしまえば楽ちんなのでは?」

と、ふと気が付きました。

Java でウィンドウはそのままでアプリを切り替える

デスクトップでウィンドウを表示する Java のアプリケーションは、ウィンドウに対応する Frame というクラスのオブジェクトにアプリケーション本体のクラスをぶら下げ、イベントリスナーなどとして登録することで機能します。ということは、「アプリケーション本体」を複数用意しておいて、必要に応じて Frame につけ外しすれば、ウィンドウはそのままで中身のアプリケーションを切り替えられるはずです。

まず、簡単なアプリを用意して、切り替えの実験をしました。ちゃんと想定通りに動きます。おお。ならば、ということで切り替えシーケンスで呼び出すメソッドを interface にまとめて、プレゼン用ツールとデモアプリ×2 を改造、その三つを登録して起動するラッパークラスを作って、切り替え機能の完成です (ちなみに発表三日前)。とりあえず、”Shift + 左クリック” で切り替え発動、という設定にしました。

なお、この機能を使うと (使うかどうかはさておき)「プレゼン用ツール自体を複数切り替えることで別のポスターに切り替える」こともできます。まあ、それはさすがに何なので、後日別の発表の機会に「別のポスターデータを読み込んで切り替える」機能を実装しましたが。

そして当日

画面共有をした状態で本当にちゃんと動くかどうかはほぼぶっつけ本番^^;でしたが、アプリ切り替えを含めきちんと動きました。説明を聞きにきてくれた聴衆のみなさんにも特に違和感なく見えていたようです。なにせ誰も見たことがないツールでの発表だったはずなのに、誰も「どういうツールですかそれ?」などの質問が全く出ませんでしたから…。
補助資料として、ツールの説明資料も用意してあったんですが、使わずじまいでした(笑)。

発表中に中継班が回ってきたときの映像をあとから自分で見返してみても、想定していたとおりにスムーズに動いていたと思います。他の発表の中継と見比べると、やはり「タイトル表示機能」が地味ながら有益に機能してたな、とも思いました。反省点としては、ポスター側が極めてスムーズに動くので、今回はデモアプリ側に切り替える必要性があまりなくなってしまった、ということがあります^^;。

一番肝心な発表内容はきっちりと伝わったようで、インタラクティブ発表賞をいただくことができました。(そこにプレゼン用ツールの効果があったかどうかは不明)

次へ向けて

こういうものは実際に使ってみると、気がつく点やさらに欲しくなる機能など、アイデアも湧いてきます。ここで書いた発表のあと、別の発表の機会に (上でちょっと触れた) 別のポスターを読み込む機能や、付箋のようなメモの機能を追加しました。

「ズーム位置の設定に、字幕みたいなものを紐付けられると便利では」→「それを使えばオートプレイ的なこともできるかも」みたいなことを考えたりもしています。オンラインでのプレゼンテーションを工夫していく余地はまだまだたくさんあると思うので、今後もいろいろ考えて作って試していきたいと思っています。

作って試せば、未来に一歩近づきます。
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