こんにちは。DEVC(デベロップメントテクノロジーセンター)のふくいです。

 

現在IoTプラットフォームを構築しサービス提供するプロジェクトでリーダをしています。

DEVCに異動しアジャイルに触れるようになってから約1年、開発するチームではないものの、
自分のチーム運営にアジャイルプラクティスを取り入れてきました。
チームが自己組織化するためのチームビルディングで一番効果的なのは「継続的な振り返り」で、

「チーム自体が前を向いて改善していくこと」にあると考えています。

さて、そのチームの振り返りで、自身も振り返りながら「ファシリテータ」を務めているリーダは
多いのではないでしょうか。
  •  「振り返りの参加者」として多く意識を使うと、他の参加者の意見を引き出すなど、ファシリテーションが疎かになってしまう。
  • 「ファシリテータ」として多く意識を使うと、リーダとしての経験が意見として出せず深掘りできず、振り返りが薄い内容となってしまう。
といった経験をされている方も多いのではないかと思います。
またチームメンバーが少なく、兼任せざるを得ない状態にあるチームもあるかと思います。
上記を解決する手立てとして「所属するチームメンバー以外にファシリテーションをお願いする」
という方法があります(工数やスケジュールの関係で難しいという事情は一旦置いておいて)。

ただお願いするのであれば、当然「他チームをファシリテートする」という状況はあると思います。

幸運にも?普段あまり関わりのないチームの振り返りをファシリテーションする機会があったため、
本記事では「他チームをファシリテートする」ことにフォーカスを当て、経験に基づく気づきを
紹介したいと思います。
他チームのファシリテートをするためのインプットにしてもらえるとうれしいです。

他チームの振り返りは案外難しい

他チームの振り返りをやってみて最初に感じたのは「案外難しい」でした。
振り返りのツールとしてはKPTを採用していましたが、他チームの振り返りでは、
  • 業務内容やチームの状況を把握できていない。
  • 振り返り参加者の性格・性質が分からない。
など自分のチームであれば「前提として把握している情報」がありません。
普段の業務でチームとして情報共有できていることから「なんとなく」進められていた自分のチームの
振り返りとは勝手が違います。
またファシリテートを受けるチームからしても、普段の業務や事情を知らない人が進行するため、
身構える部分もあるかと思います。

ある程度の割り切りは必要

上述の状態になると「不足している情報を埋めようとする」「意味のある意見を述べたい」心理が働き
  • ファシリテーターからの質問が多くなり時間を消費してしまう
  • 参加者の意見を自分の経験から言い換えてもズレが生じ、補正するストレスを与えてしまう
状況が生まれました。
これによりファシリテータとして時間の管理がうまくできなくなることもありますが、
何よりファシリテータの発言が多くなり「ファシリテータ対参加者」の構造をつくってしまい、
参加者同士の意見交換やアドバイスなどが出難い状況になりました。

振り返りの目的と異なる方向に向かってしまいます。

この課題感を解消するべく、次の振り返りから「効率的かつスムーズな会議を実現する」「積極的な意見交換を促す」というファシリテータとしての本分を見つめ直し、「不足している情報を埋めようとする」「意味のある意見を述べたい」気持ちは一旦割り切り、参加者の意見を促すファシリテートに努めました。
これにより、スムーズかつテンポ良い参加者メインの振り返りを行うことができるようになりました。
ポイントとしては「進行役に徹するくらいの気構えでファシリテートする」事で、参加者の意見を
促すことに集中し、自分の意見は一言述べるくらいが丁度良いです。
あくまで振り返りの主役は参加者(チーム)であり
  • チームメンバー間でスプリント内の成果や感じている事(感謝等も)を共有する
  • 個人、チームとして課題感を感じている事を共有する
ことから、「チームとして伸ばしていく点」「チームとして改善する点」を議論し、
次のスプリント内でできる事を納得感をもってコミットする方向に持って行くことが重要となります。

雰囲気作りが大事

場の雰囲気を作ることは何も「他チームのファシリテート」に限った話ではないですが、
他チームをファシリテートする場合には、「ファシリテータ対参加者」の構図ができやすいため、
参加者が発言しやすい雰囲気作りがより重要になってきます。

開始当初は他のチームからファシリテータとして自分のチームに入ってくるため、身構える部分があるのか、参加者の発言も少ない状態でした。発言内容も個人の意見を述べるにとどまっていました。

この課題感に対して、チェックインとして雑談の時間を設け、会話する時間を多めにとるようにしました。雑談の題目はなんでも良いのですが、私の場合は「一週間での出来事」から話を発展させていくことが多いです。
  • 参加者全員が発言すること
  • 発言者の雑談に対して他の参加者が発言すること(参加者同士の会話)
で、心理的安全性を高め、チームで振り返りしやすい雰囲気を作ります。
また個人ワークで自分の意見を纏める時間は、上記の雰囲気がリセットされやすいため、(ワークの邪魔にならない程度で)雑談をはさみ参加者同士の会話を促します。
これにより、参加者同士の意見が活発になり、個人の課題であっても、チームでその課題を解決するための施策を考えるように変わっていきました。

他チームのファシリテートだからこそ…

他チームのファシリテータを引き受けることで、
「ファシリテータとしての経験を積める」「他チームの様子や工夫を伺い知ることができる」ため、自分自身の成長や他チームの工夫を自分のチームに持ち帰る事ができます。
また普段の業務であまり接することが無く、定期的に行われる振り返りのみでチームに接することになるため、第三者視点でチームビルディングされていく過程を見ることができます。
「前回よりチームの関係性が良くなっている」「チームとしてのプロセスが改善されている」などチームが改善を繰り返しながら前に進んでいることを伺い知る事ができ、ファシリテータとしての意義を感じる事ができました。

さいごに

本記事では個人の経験に基づく気づきを紹介しましたが、これから「他チームをファシリテートする方」「ファシリテートをお願いする方」がいたら参考にして頂ければ幸いです。
またチームの外から「ファシリテータを受け入れるチームの方」も、
  • ファシリテータもチームを良くするために悩んで改善しようとしている事を理解する。
  • 振り返りを意味のある良いものにするのはあくまで自分のチームである事を認識する。

ことでより良い振り返りを行っていけるため、是非前向きに取り組んで頂ければと思います。

「所属するチームメンバー以外に、振り返りのファシリテーションをお願いする」「所属するチーム以外の振り返りのファシリテータを引き受ける」この取り組みは、テレワークだからこそやり易い側面が多くあると思います(ファシリテータが物理的に離れた場所にいると移動時間も発生するし調整が難しい)。働き方がテレワーク主体に変わってきている今だからこそ、プロジェクトに取り入れてみてはいかがでしょうか?