技術研究所の(あ)です。
世の中、“IoT”がいろいろと騒がれていますが、データを収集して活用したい、という観点からか、センサ側にばかり注目が集まっている気がします。でも、IoT は出力・アクチュエータ側も考えるとさらに世界が広がるのです。とはいえ、簡単な表示を行うくらいならともかく、何かを動かす・動きを制御しようと思うと、「ちょっと試す」のハードルも途端に高くなります。

 

そんな中、「Bluetooth を介してスマホから出力を調整できる電池サイズのデバイス」が登場しました。昨年 (2015年) の 11月にクラウドファンディングが開始され、無事出荷、つい最近、2016年 8月4日からは一般販売も開始された MaBeee です。これを早速入手して使ってみましたので簡単にレポートします。

どんなもの?

MaBeee は単三形の電池の外形をしていて、中に単四形の電池をセットして使います。

この状態で、単三形の電池ボックスにセットすることができるので、豆電球やモーターを直接つないだり、特に制御の入っていない、スイッチの on/off だけで動く・光るようなおもちゃに入れると、それだけで「スマホで制御可能な何か」の出来上がりです。ちなみに電池を直列に何本か使うものの場合は、一つだけを MaBeee にすることで制御可能とのこと(ただし直列 4本まで)。

スマホ側には、専用のアプリ (iOS 版とAndroid版両方あります) をダウンロードしておきます。アプリからは MaBeee とのペアリング (同時複数可 (10本まで)) や、on/off 制御、レバーで制御、スマホの傾きで制御、振ることで制御、声(音)の大きさで制御などができます。

使ってみる

今回、動かすものとして用意したのはこちら、タミヤの「ぷるぷる・キツネ」です。モーターの回転で振動を生み出し、その振動を、ばねになった脚が全体を前に進める動きに変えます (これはこれでなかなか興味深い仕組みです)。組み立てキットとして販売されていて、元は単四形の電池を使用するようになっていますが、電池ボックスを単三形用に載せ替えました。同じタミヤの部品を使ったので、ネジ穴の位置が同じで楽です:-)。

このキツネに、電池をセットした MaBeee をセットし、スイッチを on にすると、MaBeee の表 (? 電池をセットするのと反対側) の外装の下の赤い LED が光ります。この状態でスマホの (Bluetooth を on にして) アプリを立ち上げ、「←このボタンで Mabeee をえらんでね!」のボタンを押します。すると周囲の接続可能な MaBeee のリストが現れるので、接続したいものをタップします (複数あるときは一つ一つ順に電源を入れないと、どれがどれやらになりそう^^;)。

接続されたら、その画面をとじて、コントロール方法を選びます。画面には四つほどメニューが見えていますが、スワイプするともっとあります (画面が四つ分ぴったりすぎて、その右にももっとあるのがやや判りづらい)。

まずは「かたむき」でやってみました。デフォルトだと、スマホを水平にしておくと出力 0、(横画面状態で) 垂直に起こすと出力 100 という設定になっています (変更可能)。スマホを水平から徐々に起こしていくと…40くらいのところからキツネが動き始めました。もっと起こすとスピードが上がります。寝かすとスピードが落ち、40以下にすると止まりますが、モーターの慣性もあるのですぐにピタッとは止まりません。

「こえ」のモードにすると、スマホに向かって声を出して進ませるのはもちろん、机に置いて、机をトントン叩くことで反応させることも可能です。トントン相撲的なこともできそうですね。

調べてみる

電気の出力といえば電圧×電流ですが、MaBeee の「出力の調整」は電圧と電流、どちらを調整しているのでしょう? それをテスターで確認してみます。
まずは電圧。レバーで操作するモードで、レバーが一番下のときの電圧は 0V ですが、レバーをちょっとでも上げるとすぐに 1.5V になり、目一杯上げてももちろんそのままです。

次は電流。今度はかたむきモードでやってみます。0 のときはもちろん 0A で、傾けていくとだんだん電流量が上がっていきます。ということで、流れる電流の大きさを制御していることが確認できました。

まとめ

「バッテリーの出力(電流)だけで制御できるもの」に限られはしますが、これだけお手軽に「スマホから制御」ができるのは楽しいですね。ちょっとした組み合わせを考えれば、おもちゃを動かすだけでなく、いろいろなものの制御、特に試作的なものに応用できそうです。
夏休みの工作・自由研究にも向いてそうですので、ぜひお試しください:-)