RPAとは?仕組みと導入方法を事例で解説

こんにちは、クレスコの林です。
CRESCO Advent Calendar 2021』の14日目を担当します!

クレスコでは、お客様のデジタル変革(DX)を支援する企業として、全社員にAI・クラウドなどのデジタル技術に関する知識や技術の習得を推進しています。

今回、RPAとは何か?DXとどう関わるのか?を改めて学ぶ機会があったため、私なりに理解した内容を当社の事例を交えて記事としてまとめました。

・RPAの概要を知りたい方
・RPAをやってみたいが、何から始めたらよいのか分からない方
にオススメの記事です。ぜひご一読ください。

「RPAカフェ」開催中!RPA導入や社内での活用推進など、お気軽にご相談ください

RPAとは?

RPAの仕組み

RPAを一言で表すと「ソフトウェアロボットによる業務自動化の取組み」といえます。

ロボットと聞くと工場で働いているアームロボットを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、RPAの実体はサーバーやPCで動作するソフトウェアです。RPAでは、RPAツールと呼ばれるソフトウェアを使用して、PCを使った業務(操作)の自動化を行います。

RPA製品は開発ツール、実行ツール、管理ツールの3つから構成されます。
開発ツールによって、ロボットの動作を定義したシナリオファイルを作成し、作成したシナリオを実行ツールによって自動実行します。


1.シナリオファイル
ロボットがどのように動作するかを記述したファイル
開発ツールによって、ワークフローファイルと呼ばれることもあります。

2.開発ツール
シナリオファイルを作成するツール
プログラミングで複雑なシナリオを作成できるものや、GUIのシンプルなマウス操作で簡単にシナリオを作成できるものなどRPA製品によって特徴があります。

3.シナリオ実行ツール
開発ツールで作成したシナリオを実行するツール
こちらは、実際に自動化を行いたい利用者が使用します。

4.管理ツール
複数作成されるシナリオを管理するためのツール
こちらは高機能な製品で搭載されることが多く、シナリオの実行状況の確認や実行可能なユーザーの設定など、様々な機能が提供されています。

RPAでできること

RPAでは、主に以下のような処理の自動化が可能です。
・クリック、入力、コピー&ペーストなどの操作
・ファイルサーバーやインターネットからのファイルダウンロード

Windows OSで動作するアプリケーションは基本的に操作可能で、複数システムをまたいだ業務にも適用することができます。

自動化できる内容のひとつずつは、人が行えば単純な操作ですが、これら組み合わせることで日常的に行っている業務の一連の流れを自動化することができます。

【自動化の例】

RPA導入で期待できる効果

RPAを導入して業務の自動化を行うことで、以下のような効果を得ることが出来ます。

RPA導入による”直接的”な効果
・業務負荷の削減
・業務の正確性担保
・人には難しい規模・頻度での業務の実施

PC業務の自動化を行うことで、直接的には上記のような効果が見込まれます。
ただし、RPAの導入にはツールの利用料だけでなく、社員の教育や対象業務の洗い出し、シナリオの作成などに少なくない時間とお金をかけることになるため、単純に「経費削減」が実現できるとは限りません。

RPA導入による”間接的”な効果
・作業内容の標準化
・属人化の解消
・作業時間の短縮による、時間の創出

RPAの導入過程で業務の洗い出しを行うことで、スムーズにRPA導入を進めるだけでなく、社内全体の業務を見直すきっかけとなります。また、共通のロボットを使用することで、作業内容の標準化や属人化の解消が期待できます。

最後に、「作業時間の短縮による時間の創出」が効果としてあげられます。
RPA導入の目的は企業により様々ですが、単に作業を自動化するのではなく、生み出された時間で人にしかできない、価値ある業務を行うことが重要となります。この点で、RPAはデジタル変革(DX)を実現する手段のひとつとしてあげられています。

また、RPAの導入には高度なプログラミングや先端技術の知識が必要ないことから、DX人財育成の入門としても適しています。プログラミング未経験の人がRPAを通じてプログラミング的思考を持ち、デジタル技術の活用や業務改善に興味を持って、社内のDXを推進することが期待できます。

RPAとAIの違い

「自動化」と聞くと、まっさきにAIを思い浮かべる方も多くいらっしゃると思います。

まず言葉の定義を比較してみます。
・AI:人間の知覚や知性を、ソフトウェアを用いて人工的に再現すること
・RPA:人間が行う業務を、ソフトウェアを用いて自動化すること

このように比べてみるとやっぱり似ていますね…?
AIもRPAも、人間が行っていることをソフトウェアで再現するという点では同じですが、AIが人の判断の自動化を目指すのに対して、RPAではAIを含む様々な技術を活用して業務の自動化を目指します。

AIは、人の判断を含むプロセスを自動化する取り組み
RPAは、自動化の取り組みそのもの
と認識いただければ分かりやすいと思います。

AIとRPAそれぞれの発展段階についてご紹介します。

AI(人工知能)の4つの分類

レベル1 : シンプルな制御
あらかじめ決められた振る舞いに従って動く
例:ドライヤーの風量調整、洗濯機の水量調整

レベル2 : 古典的な人工知能
探索・推論、知識データを利用して、状況に応じて複雑なふるまいをする
例:掃除ロボット、チャットボット

レベル3 : 機械学習 ★現在は主にココ!
非常に多くのサンプルデータをもとに入力と出力の関係を学習し、データの分類を行う
例:顔認識、文字認識

レベル4 : 深層学習(ディープラーニング)
どのような特徴が学習結果に大きな影響を与えるか(特徴量)を自動的に学習する
例:画像認識、音声認識、囲碁

※参考:「深層学習教科書 ディープラーニングG検定公式テキスト」(日本ディープラーニング協会)

RPAの3つの段階

Class1 : 定型業務の自動化 (RPA : Robotic Process Automation) ★現在は主にココ!
データ収集・加工、データ入力などの単純な定型業務の自動化
例:勤怠システムへの自動入力

Class2 : 非定型業務の自動化 (EPA : Enhanced Process Automation)
非構造化データや、人の判断を伴う非定型業務の自動化
例:画像形式のPDFから、OCRを使用して、テキスト情報を抽出

Class3 : 高度な自律化 (CA : Cognitive Automation)
高度なAIにより、作業自動化のみならず、プロセス分析、改善、意思決定などまで自動化
例:提案依頼書から提案書を自動作成

現在はClass1の単純な定型業務の自動化が中心となっていますが、最近ではClacc2の事例も多くでてきています。特に、AIを用いて高精度な文字認識が可能となったOCR(AI-OCR)と組み合わせることで、手書きの紙の帳票をOCRでデータ化し、RPAでシステムに登録するなどの活用が進められています

このように、RPAとAIができることは異なりますが、AIの発展に伴って、AIを組み合わせたRPAではより複雑な業務の自動化が可能となっていくことが予想されています。

RPAが得意な業務

「業種別」に見る、RPAが得意な業務

RPAはPCでの業務を効率化するものであるため、PCを使わない業務では活用することができません。
とはいっても、勤怠管理や経費精算などのように、どの業種でも共通してPCを使用する業務はあるでしょう。

また、RPAとは一見無関係に見える業種ならではの業務にも、RPAを活用できるものが多くあります。

業種 活用可能性の高い事例
金融サービス ・不正検出・マネーロンダリング防止
・顧客審査関連業務の自動化
ヘルスケア ・新薬上市(*)のリードタイム短縮
・医薬・医療機器領域における規制対応業務のコンプライアンス適応
(*)新薬上市:承認された新薬の市場販売が開始されること
自動車 ・自動化テスト(シミュレーション)向けデータ提供
・アフターサービス対応における品番管理
交通・物流 ・GDS(航空業界世界標準システム)との連携
・企業間取引(受発注)取り込み
テクノロジー・メディア・通信 ・通信設備のモニタリングとシステム障害時の初動ハンドリングの自動化
・個人顧客の申込書/解約書の契約情報データベースへの登録
・法人契約情報と請求情報を照合・支払データ生成登録
小売・消費財 ・本部・店舗間の受発注の自動化
・商品マスターデータ管理
・売上管理・店舗現金管理
エネルギー ・小売部門での電気の新規申し込み・切り替え受付業務(電力自由化により事務業務増加)
製造 ・企業間取引(受発注)取り込み
・部品表展開・原価計算などマスターデータ管理

「業務別」に見る、RPAが得意な業務

前述の通りRPAでは、PCのクリック・入力・コピー&ペーストなどの操作や、ファイルのダウンロードを自動化することが可能です。

ここではRPAに向いている業務をご紹介します。

業務 概要と自動化事例
集計・加工 データを収集・加工し、レポートなどの資料を作成
[例] 営業訪問前の情報収集
各種DBや外部サイトから情報収集してレポートを作成
突合・判断 データを収集・加工し、レポートなどの資料を作成
[例] 支払額チェック
請求書記載の金額とERPシステムの支払額を照合し、購買管理システムのデータを更新
モニタリング モニタリングを行い、判定ルールに基づいて異常ケースを検知
[例] 経費申請確定前チェック
ルールに従って経費申請が行われているかを確認し、必要に応じて差戻し
システムへの入力・登録 他部門・他社から受領した情報をシステムに入力
[例] 給与支払い情報の変更
所定のフォーマットで申請される従業員の給与支払口座の変更を、人事システムに入力・更新
データベース補正 情報鮮度を高めるためのデータベースの補正・アップデート
[例] 競合商品の情報収集
競合商品の情報を特定のWEBサイトから取得し、社内データベースを更新
照会受付・回答 第三者からの照会依頼を受けて、必要情報を確認・回答
[例] IDパスワード紹介
システムのログインIDの照会依頼を受領後、確認し依頼者に通知

RPAの導入事例

ここでは、多くの企業に共通して存在する、営業部門、財務・経理部門、人事部門でのRPAの導入事例をご紹介します。

営業部門「請求管理 – 請求書作成」

従来の業務手順
1. 取引先より発注書を受領する
2. 同一請求番号で過去の情報を自社営業データベース上で検索して、比較する
3. 受注データを社内基幹システムへ新規登録する
4. 請求書を作成する

RPA導入の効果
・自動化前は、請求書作成は時間がかかりミスも誘発しやすい業務であった
・業務時間削減:単純なデータ転記処理にかかる時間が削減した
・業務品質向上:転記で発生するヒューマンエラーを排除した

財務・経理部門「現金出納管理 – 支払前の請求書チェック」

従来の業務手順
1. 取引先より請求書データを受領する
2. 同一品目について金額・数量を比較する
3. 金額・数量が定めた閾値内に収まっているかを目視で確認する

RPA導入の効果
・内部統制強化:比較用の過去データがサンプル抽出から全量抽出に代わり、チェックの精度が向上した

人事部門「勤怠管理 – 長時間残業のアラート」

従来の業務手順
1. 各従業員は日次で勤務実績を勤怠管理システムに登録する
2. 勤怠担当者は、勤怠管理システムから勤務実績データを定期的にExcelにエクスポートする
3. 勤務担当者は、Excel上で集計し、残業時間の多い従業員を特定する
4. 勤怠担当者は、人事システムで当該従業員の上長の連絡先を確認する
5. 勤怠担当者は、当該従業員の上長にメールで報告する

RPA導入の効果
・これまで手作業で起こ案っていた作業をRPAにより完全自動化を実現
・勤怠実績のモニタリングのサイクルの短縮化(週次→日次)

RPA導入が失敗する共通理由と回避策

「RPAを導入したものの、その後の展開・拡大がうまく進まない」といった声が多く聞かれます。主な課題として、クレスコ主催セミナーでのアンケート結果では、以下の3つの課題が上位となっています。

RPA導入後の課題
・自動化する業務が見つからない
・現場が多忙でRPAに時間をさけない
・RPAを開発・運用できる人材不足

それぞれの課題について、そのような状況になる原因と解決のヒントをご紹介します。

課題1「自動化すべき業務がみつからない」

RPAでROI(費用対効果)をだすためには、一部の業務にRPAを適用するだけでなく、効果の見込める自動化対象の業務を継続的に現場から引き出す必要があります。

単純な繰り返し業務や多人数で時間のかかる業務がRPAに適していますが、日本のホワイトカラーの業務は「複雑」「少量」「多様」という特徴があり、現場の意見を聞かなくては対象業務を見つけることができません。

継続して自動化に適した業務を抽出するには、現場から継続してリクエストを上げることができる仕組みが必要といえます。

課題2「現場の理解・協力が得られない」

「勝手にRPA導入を進めて、余計な仕事を増やさないで欲しい」
「自分の仕事はロボットにできるほど単純ではない」

情報システム部門やRPA推進チームがRPA導入を中心となって進めている場合、現場からはこのような声が聞かれることがあります。
効果の見込める自動化対象業務を現場から引き出すには、対象業務を抽出するための基本的な考え方を理解してもらうことが必要となります。

そのためにはまず、現場の社員にRPAを体験し、効果を実感してもらうことが重要となるでしょう。

課題3「RPAを開発・運用できる人材不足」

前述のように、RPAでは継続的に自動化対象の業務を抽出して自動化を実現することが重要となりますが、RPA専門のチームだけで社内の業務の自動化をすべて実施することは困難です。

大規模で複雑な社内共通のシステムに関連する自動化はRPA専門のチームが推進し、個々の業務の自動化は現場主導で行うことが不可欠となります。

RPAに関する参考情報

当記事の執筆にあたり、下記のセミナーや書籍の内容を参考にしました。
RPAはまだまだ発展途上で、毎年のように新しいツールや活用方法がでてきています。RPAの導入を検討される際は、ぜひ最新の情報をチェックしてみてください。

セミナー

「RPA導入ファーストステップセミナー」

RPAをはじめて導入する方に向けた入門セミナーです。
当記事のRPAに適した業務や導入事例は、こちらのセミナーの内容から抜粋してご紹介しました。

「RPA本格導入のためのポイント3選 ~スモールスタートのままでは終わらせない~」

RPA導入後に、さらなる活用を進める方に向けたセミナーです。
当記事のRPA導入後の課題については、こちらのセミナーの内容から抜粋してご紹介しました。

クレスコのRPAセミナー
UiPath Japan MVP 2021選出の吉田将明をはじめ、RPAコンサルタントやエンジニアがRPAの導入に役立つ情報をお届けする無料セミナーを開催しています。
過去の人気セミナーの動画アーカイブも公開中です。ぜひお気軽にご視聴ください。

クレスコのセミナー・イベント一覧

参考書籍

・RPAで成功する会社、失敗する会社/大西亜希(2021.7.20 インプレス)
・成功と失敗で学ぶRPA/日経クロステック(2020.6.4 日経BP)
・RPAの真髄/安部慶喜(2019.1.30 日経BP)
・いちばんやさしいRPAの教本/新藤圭(2018.10.15 インプレス)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事をご覧の方へ、オススメの動画

共存させて効率アップ!
UiPathの開発環境「StudioXとStudio」
使い分けポイント


クレスコのRPA技術者が講師を務めるセミナーのアーカイブ動画を無料で公開中です!
セミナー終了後のアンケートでは、満足度91.4%と高い評価をいただきました。ぜひご覧ください。

◆ 受講者の声 ◆
「StudioXのデモが印象に残りました。」
「StudioXなら誰でもデキそう!と思いました。」
「それぞれターゲット業務が異なる点が印象に残りました。」

今すぐ無料で動画を視聴する