この記事は『CRESCO Advent Calendar 2022』 4日目の記事です。
こんにちは、エクスペリエンスデザインセンターのsgi-changです。
昨今、「メタバース」という言葉を耳にする機会が増えてきたなあと感じる今日この頃。
2021年、世界的ソーシャルネットワーク企業のFacebookがメタバース実現に向けて本格的に動き出し、社名を「Meta(メタ)」に変更すると発表するなど、それをきっかけにメタバースという言葉を聞いた方は多いのではないでしょうか。
「メタバース」や「メタバース×NFT(非代替性トークン)」に参入、活用する企業や個人が増えています。
私たちエンジニアもこれからメタバース関連の開発が増えてくるのではないかと予想されます。
そこで今日は、メタバース、VR開発を開始するにあたり、準備するもの・ことをまとめたいと思います。
これからメタバース・VR開発する方にとって、少しでもご参考になれば幸いです。
非代替性トークン(ひだいたいせいトークン、英: non-fungible token、略称: NFT)とは、ブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータ単位である。NFTは、画像・動画・音声、およびその他の種類のデジタルファイルなど、容易に複製可能なアイテムを一意なアイテムとして関連づけられる。
wikipediaより抜粋
メタバース×NFT
メタバースとNFTはよく一緒に語られることが多いですが、メタバースとNFT間には依存関係はありません。NFTはメタバース空間以外でも活用されていますし、メタバースにNFTが必須というわけではありません。ただ、さまざまな他者とのやりとりができるメタバースのなかで、唯一無二のデジタルコンテンツに価値をもたらすことができるNFTはとても相性が良く、今後さらなる活用が期待されています。
現時点ですでにメタバース上で活用されているNFTの事例としては、デジタルアート、デジタルアイテム(服や小物など)、メタバース自体(空間、土地など)の売買があります。
目次
メタバースという用語は「超(メタ)」と「宇宙(ユニバース)」を組み合わせた造語であり、メタバース解説書『メタバース進化論』(技術評論社、2022)では
「空間性」
「自己同一性」
「大規模同時接続性」
「創造性」
「経済性」
「アクセス性」
「没入性」
メタバース解説書『メタバース進化論』(技術評論社、2022)より
の7つの要件を満たしたオンラインの仮想空間として定義されています。
しかし実は「これがメタバースだ!」「メタバースとは○○である」といった誰にでも共通する定義は現時点ではない、と言われています。
とはいえ…それでは先に進めないので、ここではメタバースを「仮想空間」として、それを実現するためのVR(バーチャル・リアリティ)技術の開発について準備するものを紹介します。
バーチャル・リアリティ(英: virtual reality)とは、コンピューターによって創り出された仮想的な空間などを現実であるかのように疑似体験できる仕組み。コンピューターによって提供される感覚刺激 (視覚像や音など) を通じて体験される人工的な環境であり、環境内で起こることを人の行動により部分的に決定することができるもの。略語はVR。日本語では「仮想現実」と訳される。
wikipediaより抜粋
・展開プラットフォーム
・ゲームエンジン、開発ツール
・開発端末
・3DCGモデルについて
まずは必要最低限、選定・考慮が必要なものを紹介します。
VRデバイス・ヘッドセット | MetaQuest2 (旧Oculus Quest)、PICO、VALVE INDEXなど |
スマートフォン | iOS、Androidなど |
PC | Windows、macOS、Linuxなど |
ブラウザ (WebGL) | Chrome、Edge、Safari、Firefoxなど |
などがあります。
メタバースといえば、MetaQuest2などのVRデバイスを思い浮かべると思いますが、スマートフォン、PC、Webブラウザなどでもメタバースは体験できます。
開発コンテンツ、対象ユーザー、提供したいユーザー体験(UX)などを考慮してどのプラットフォームでメタバースを展開するかを検討してください。
VR、3DCGを動かすためにはゲームエンジンが必要です。
候補としては「Unity」と「Unreal Engine」があります。
それぞれ特徴があり、メリット・デメリットがあります。
ここではよく比較される特徴を簡単にお伝えします。
Unity | ・アセットストア(モデル)が充実
・情報量が多い ・スマホ、VRデバイスからPC、Webブラウザ(WebGL)まで幅広いプラットフォームに展開できる ・起動が遅い ・無償利用からスタートできるが、企業で開発する際には条件に合わせたプランを購入する必要がある。 |
Unreal Engine | ・グラフィック性能の高さ。
・無償で利用できる。ゲーム製品の総収入額によりロイヤリティを支払う必要があるが、基本的にはロイヤリティフリー。 ・ハイスペックのPCが必要、動作が重い ・情報量が少ない |
比較検討は色んなサイトで紹介されています。
これから開発するものがどんなものなのか、規模やコンテンツの内容、提供するユーザー、展開プラットフォームなどを考慮して採用して頂ければと思います。
通常のシステム開発とは違って、3DCGの描画にGPUを使うので、グラフィックボードが搭載された高スペックPCが必要になります。
以下はUnityの公式ドキュメントで掲載されている最低限必要なスペックです。(Unity 2021 LTS)
最低要件 | Windows | macOS |
---|---|---|
OSバージョン | Windows 7 (SP1+)、Windows 10、Windows 11、64 ビット版のみ。 | High Sierra 10.13 以上 (Intel エディター) Big Sur 11.0 (Apple シリコンエディター) |
CPU | SSE2 命令セットをサポートする X64 アーキテクチャ | SSE2 命令セットをサポートする X64 アーキテクチャ (Intel 製プロセッサー) Apple M1 以上(Apple 製シリコンベースプロセッサ) |
グラフィックス API | DX10、DX11、DX12 対応のGPU | Metal 対応の Intel と AMD GPU |
追加要件 | ハードウェアベンダーが公式にサポートしているドライバー | Apple の公式サポートドライバー (Intel プロセッサー) Apple シリコンデバイスで、Apple シリコンまたは Intel 使用の Unity エディターを動作させるには、Rosetta 2 が必要です。 |
すべてのオペレーティングシステムにおいて、Unity エディターはワークステーションやラップトップのフォームファクターでサポートされ、エミュレーション、コンテナ、互換性レイヤーなしで実行されます。 |
グラフィックボードが搭載されていなかったり、ここに記載してあるPCよりもかなり低いスペック、数年前のPCだと、インストールすら出来ない場合もあります。
比較的新しいグラフィックボードを搭載したゲーミングPCやクリエーター向けのブランドPCなど、発売された時期が最近のものならまず間違いないと思います。
ちなみにこれはUnityでの開発スペックになります。
「Unreal Engine」の場合は、これよりももっとハイスペックの端末が必要になります。
※開発小話 ~インターネット環境について~
開発準備をするにあたり、開発端末の選定は充分に検討しましたが、インターネットについては特に考慮していませんでした。
データはgitで管理していましたが、扱うデータ量が大きいので、在宅による各自のインターネット環境によってはファイルのダウンロードの遅延や中断が起きました。
ネットワーク帯域が狭いと開発パフォーマンス低下にもつながりかねません。準備段階で開発端末と合わせての検討をおすすめします。
UnityやUnreal Engineは主にゲーム開発で利用されるゲームエンジンです。
その中で動かす3Dモデルや素材は別で用意する必要があります。
Unityの場合ですが、Unity Asset Storeという3Dモデルやテクスチャ、アニメーション、オーディオなど、ゲーム制作やアニメーション制作に必要な素材をダウンロードできる販売サイトがあります。
無料のアセットもあるので手軽に試すことができます。
またMy AssetをUnity Editorに簡単にインポートすることができます。
Unity Asset Storeのようなモデルを販売しているサイトは他にもいくつかあります。
※開発小話 ~ストア規約違反・著作権侵害について~
Unity Asset Storeのようなモデル販売サイトから、コンテンツに合ったモデルを見つけることができたら、料金も安く手軽に使えて、とても便利なよい手段です。
しかし、制作物が著作権を侵害している場合があったり、制作者のストア規約違反発覚などで、購入後に商品が利用できなくなることもあります。
モデル販売サイトのモデルなどの商品は、基本的に商用利用はOKですが、そういったリスクがあることも念頭に置いて検討してください。
3Dモデルを作成する場合は、MayaやBlenderなどのソフトがあります。
ただし専門的な知識が必要になり、ゼロから始める場合は知識習得に時間がかかります。
オリジナルのモデルを使用したい場合は、3Dモデル制作会社に依頼する方法もあります。
3Dモデル制作といっても、
CGデザイナー、ゲームCGデザイナー、VFXアーティスト、3DCGモデラー、モーションデザイナー、モーションキャプチャーアーティスト…など
3Dモデル制作はたくさんの役割に分かれているので、その会社にどういった制作を依頼するのか、どこまで制作してもらうのか、また、どんなモデルを依頼するかによって費用も工数も違ってきます。
早めに制作会社を見つけて依頼することをおすすめします。
さあ、準備はできました。もし、どんなコンテンツやメタバースを実現すればよいか、アイデア発想で困ったら…
エクスペリエンスデザインセンターがサービスデザイン支援ワークショップであなたのメタバースビジネスをお手伝いします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき誠にありがとうございます。