この記事は 『CRESCO Advent Calendar 2022』24日目の記事です。

 

こんにちは。ディベロップメントテクノロジーセンターのつるだです。
アジャイル開発のプロジェクトにて、スクラムマスターとして複数チームを担当しています。
社内ではアジャイル推進としてコミュニティで活動しており、
アジャイルコーチとしてプロジェクトの課題解決にも取り組んでいます。
今回は、アジャイルコーチを実施中に出た「アジャイルではどのように質問したらよいのか」という疑問について考察していきます。

アジャイルにおける質問の大切さ

アジャイルソフトウェア開発宣言の「プロセスやツールよりも個人と対話を」、
またアジャイル宣言の背後にある原則でも「情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法は
フェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。」と謳われています。

当然ながら対話の中には質問することも含まれるため、アジャイルにおいて質問は重要な要素だと言えます。
情報を共有して課題を解決したり、共通認識を醸成するためにはどのような質問が効果的でしょうか。
またアジャイルではチームで活動することが求められるため、課題に対しても個人ではなくチームで立ち向かう必要があります。
つまり、責任の所在を明らかにするような責める質問ではなく、助けを求める/助けるための質問が必要です。

助けを求める場合の質問のやり方

まずアジャイルに限らずですが、以下のような情報共有が欠かせません。

  • 問題点
  • 試したこと
  • スケジュール(期日)
  • (思いついていれば)今後の方針

加えてアジャイルではメンバーの自律、自主性が求められます。
質問するか、自分で調べるかのバランスは永遠のテーマではありますが、
自主性を高めるやり方として、「質問の目的を宣言する」のことをお勧めします。
具体的には、これからする質問は答えを教えて欲しいのか、ヒントが欲しいのか、自分の脳内整理のために聞いてほしいだけなのか
先に宣言することで、ネタバレを避けて自分でもうちょっと頑張ってみることができます。

またアジャイルのスタンダードな手法であるスクラムの原則には「透明性」があります。
質問する時に状況共有するでもよいですが、例えば分報のようにリアルタイムの状況をあらかじめ共有することで
状況共有をスムーズにするだけでなく、周りのメンバーもそろそろヘルプしたほうが良さそうか?などフォローも受けやすくなります。

共通認識を醸成する/助ける場合の質問のやり方

チーム活動では情報格差を減らすことが重要です。
情報の種類としては、要件や機能、進捗状況、開発環境など様々な情報があります。

この中で進捗状況はネガティブな内容を含む場合があり、人間心理的に(無意識に)取り繕ったりごまかしたりしがちになります。
このような枷を外すには心理的安全性が高く保たれている必要がありますが
手っ取り早く課題解決に効果があり、心理的安全性も高くなる質問として、「愚かな質問」を紹介します。

愚かな質問とは、わざわざ確認しなくても良さそうな分かりきった質問のことです。
この質問には以下のメリットがあります。

  • 初歩的な質問をして良いため、質問のハードルが下がる
  • 簡単な内容なので回答が容易。最初の一言を喋りやすくすることで議論を活性化させることができる
  • 初歩的なミスをしてないか意識するようになる
  • 詳しくない人でも質問することができ、チーム活動に貢献できる

やり方によっては効果的ですが、面倒な人という評価を受けるかもしれません。
「初歩的な質問ですが」など枕詞をつけるとネガティブな印象が薄れると思います。

最後に

アジャイルにおける質問のやり方について考察してみました。
アジャイルを推進している身としては個人の性格/特性/スキルに頼るのではなく、仕組みでも解決して欲しいと考えます。
例えばデイリースクラムで相談したい課題がないか確認するコーナーを設けたり質問のルールをチームで決めておくなどです。

この記事で紹介したテクニックはアジャイルに限らず有効なので、気になった人は試してみてください。