この記事は『CRESCO Advent Calendar 2022』 21日目の記事です。

 

皆さんこんにちは。北海道開発センターのいおです。
わたしはここ2~3年ほどBIツールを使用したプロジェクトに参加しています。
Tableauを触ることがほとんどだったのですが、最近PowerBIを使用しはじめ、Tableauとけっこう違うところがあるなと感じました。
そこで、この記事では私が感じたTableauとPowerBIの違いなどをご紹介したいと思います。

TableauもPowerBIもさまざまなデスクトップアプリや関連機能、サービスがありますが、
ここではTableau DesktopとPowerBI Desktopを対象に、ダッシュボード作成時に感じた両者の違いを述べていきます。

【わたしのTableau経験】
Tableau Desktop、Tableau Prep、Tableau Cloud(旧:Tableau Online)などを約2年利用しています。主にTableau Desktopでダッシュボード作成を行っていました。
Tableau Certified Data Analystを取得しています。

【わたしのPowerBI経験】
PowerBI Desktop、PowerBIサービスに触りはじめ、現在2か月経ったところです。
PowerBI はMicrosoft製品のため、PowerBI Desktop上でPowerQueryを使用できます。わたしはPowerQueryは今回PowerBIを触るにあたりはじめて使用しました。

TableauもPowerBIも基本的に、できることに大幅な違いはありません。
棒グラフなどのビジュアルを作成し、ダッシュボードに配置し作成していくというのは同じです。
ですが、使用するうえでの細かな点でちょっと気になるなと思うところをピックアップしました。
PowerBIを使いはじめてまだ間もないことや、私の個人的な意見・感想もありますのでご承知おきください。

目次

基本的な操作方法

まずは、違いをご紹介する前に、基本的な操作方法の説明です。
※表示しているのはTableau、PowerBIに用意されているサンプルデータです。

【Tableau】

ビジュアルを作成する

①左にあるデータ欄から、項目をドラッグアンドドロップで列シェルフ、行シェルフに運びます。
※青色アイコンの項目はディメンション項目、緑色アイコンの項目はメジャー項目です。
②作成したいビジュアルに切り替えます。

ダッシュボードに配置する
1)ダッシュボードシートに移動します。左に作成したビジュアルが並んでいるので、そこからドラッグアンドドロップでダッシュボード上に配置します。

【PowerBI】

Tableauはまずワークシート上でビジュアルを作成し、ダッシュボードシートに置いていくという手順で作成しましたが、PowerBIはダッシュボード上でビジュアルを作成していきます。
①作成したいビジュアルを選択します

②X軸、Y軸、凡例にフィールド欄から項目をドラッグアンドドロップします。
※Σがついているのがメジャー項目、ついていないのがディメンション項目です。

では、ここからTableauとPowerBIの違いを見ていきます。
まず、わたしが使った印象ですと、PowerBIよりTableauのほうがストレスなく操作できます。
そこでどのような点にストレスを感じたのか、心地よさを感じていたのか分析してみました。

GUI面の違い

①直観的な操作

軸の幅など見た目の細かな設定を直観的に編集するという点ではTableauが優れていると感じました。

ビジュアルを作成したときに、「もう少し軸の幅を広げたい」「項目の表示名を変更したい」「年月の縦向き/横向きに変更したい」などさまざまこだわりたい部分があると思います。
そんなとき、Tableauでは編集したい部分にカーソルを合わせて右クリックやダブルクリック、ドラッグ操作などをするとそこで行えるメニューを表示してくれるのです。
なにかやりたいことがあるときに、メニューバーやツールバーをマウスでカチカチ探しにいくのは面倒ですから、まず右クリックでなにかできることがないかという行動をとります。
そうすると自分のやりたかったことがメニューに用意されているため、すぐに変更できことが心地よさを感じるひとつの要因と思います。

【Tableauの画面】

一方、PowerBIはビジュアルの書式設定を視覚化エリアで行います。
X軸の書式を変更したい場合は、視覚化エリアの対象のプルダウンを展開し、スクロールしながら自分が変更したい対象を探していきますので、Tableauよりクリック数とスクロールが多く発生します。
ビジュアル上からは、軸と凡例の並び替えのみ設定できます。それ以外の設定は視覚化エリアで行います。
スクロールやクリックしているうちに目当ての設定項目を見逃していたり、「これはどこで設定するんだっけ?」と迷子になってしまうことがありました。
また、PowerBIはビジュアルごとに設定画面が変化するため、それも迷子になりやすい要因のひとつかと思います。

【PowerBIの画面】

ダッシュボードへビジュアルを綺麗に簡単に配置するという点ではPowerBIが優れていると感じます。

ビジュアルを綺麗に配置したいとき、上下左右のラインをそろえたいと考えます。
PowerBIではビジュアルをドラッグして動かすと、パワーポイントでオブジェクトを置くときに現れるような赤い点線のガイドラインが表示されます。
これを目安に配置していくことで簡単に配置できます。
また、オブジェクトをコピーして別ダッシュボードに貼り付けた際はコピー元にあった位置と同じ場所に貼り付けされるため、同じオブジェクトを量産したい場合は便利です。

【PowerBIの画面】

一方、Tableauです。
Tableauはコンテナと浮動という考え方があります。水色枠で示した水平コンテナではオブジェクトは横方向に並んで入り、ピンク枠で示した垂直コンテナでは縦方向に並びます。
コンテナは階層化されており、シート1は水平コンテナの中に入っています。凡例は水平コンテナの中にある垂直コンテナに入っています。
浮動モードはコンテナに入らず、自由に配置できるモードです。
このコンテナに入れたり出したりという操作が思うようにいかないこともあるため、時間がかかってしまうことがあります。

【Tableauの画面】

②視線移動

2つ目は視線移動についてです。これはTableauを使用していた慣れの影響もあるかもしれませんが、TableauはPowerBIより視線移動が少なかったり、作成しているときに画面の狭さを感じないように思います。

まず、画面の中でデータの項目が配置されている場所ですが、Tableauは左側、PowerBIは右側にあります。Tableauは右上にある行/列シェルフや、マーク欄に項目をドラッグするため、左から右という移動になります。PowerBIは視覚化エリアに項目をドラッグするため、右から左への移動です。
普段右から左へ文章を書きますし、Zの法則などもあるのでTableauのほうがより自然な操作に感じるのかもしれません。

【Tableauの画面】

【PowerBIの画面】

次に設定画面についてですが、Tableauはポップアップ画面で設定できることが多いです。
一方、PowerBIは視覚化エリアでの操作がほとんどです。
画像を見ていただくとわかりやすいですが、色の設定を行おうと思ったときTableauはポップアップ画面上で設定できるため狭さを感じません。(ポップアップ画面は任意の場所に移動できるのでビジュアルが隠れて見えないということはありません。)
PowerBIは赤枠の中でスクロールしながら設定を行うので見切れてしまう部分が多く、どうしても狭い印象です。Tableauは17色分表示されており、PowerBIは5色分の表示です。

【Tableauの画面】

【PowerBIの画面】

機能面の違い

では次に機能面についての違いをご紹介します。

①データの加工

1つ目はデータの加工についてです。こちらは違いというよりわたしがはじめ戸惑った点です。TableauもPowerBIもダッシュボード上で項目の作成が可能です。作成の過程で用意されている関数を使用することもあります。
Tableauは項目追加するときは主に「計算フィールドの作成」を選択し、計算フィールド内に処理を記述します。Tableauを使用していたわたしは「計算項目の作成=計算フィールドの作成」という式が頭の中にありました。

その後PowerBIを触ったとき、PowerBIには計算項目を作成できるメニューがいくつかあったため、どれを使用するのが適切か戸惑ってしまいました。
「新しいメジャー」「クイックメジャー」「新しい列」はどれもDAX式を使用して処理を記述します。PowerQueryを開けばPowerQueryからも項目追加できます。
調べて使ってみると役割や特徴を理解できますが、DAX式やPowerQuery初心者のわたしにとっては難しく感じるものでした。

【Tableauの画面】

【PowerBIの画面】

②パラメータ

TableauにもPowerBIにもパラメータはありますが、Tableauのほうがパラメータの柔軟性が高いと感じます。
まずTableauです。パラメータはデータ型や許容値の選択を行い、リストを作成する場合は値と表示名を入力していきます。「値の追加」からカテゴリなどのすでにある項目をパラメータの値に自動で表示することも可能です。「ワークブックを開いたときの値」にデータソースの項目を指定することも可能なため、”今日”や”前月”などの可変な値も指定できます。

PowerBIのパラメータはビジュアルに表示したり、DAXの入力値として使用できます。数値範囲パラメータとフィールドパラメータが用意されています。
数値範囲パラメータはディメンション項目に使用すると正常に動作しないという制限があります。フィールドパラメータは項目の切替を行います。

Tableauは「項目の値」をパラメータの値として使用できますが、PowerBIは「項目」をパラメータの値とするため、PowerBIのパラメータは使い方が限られてくるかなという印象です。

PowerQueryにもパラメータが用意されていますが、閲覧モードでは触れない仕様になっています。値の変更は手動での操作が必要なこと、値を変更するたびにPowerQueryの処理を動かす必要があることから、ユーザーがダッシュボードで分析をするときに使用するということには向かないのかなと感じています。

【Tableauの画面】

【PowerBIの画面】

③細かな作り込み

ここではPowerBIでダッシュボードを作り込もうと思ったときに、不便だなと感じた点をポロポロ並べていこうと思います。

・ツールヒント

PowerBIでツールヒント内の文字表現を変えたいことがあると思います。
「ここは太字にしたい」「項目名じゃなくて別の文字を表示したい」など、書式設定や見せ方の調整をしたいものですが、PowerBIではツールヒントの内容を編集できませんでした。
(わたしがまだ編集方法を見つけられていないだけかもしれませんが、この2~3か月触ったかぎりでは見つけられませんでした。)
別ページで作成したビジュアルをツールヒント内に表示させることはできますが、自動で表示されるテキストのツールヒントは編集できないようです。

Tableauでは、「ツールヒントにビジュアルでは表示しないけど見れると便利」な情報をツールヒントに表示したり、「ビジュアル上では数値をまるめて表示するが、ツールヒント上で正確な数値を表示する」などツールヒントを使用した見せ方の工夫をしていただけにPowerBIでツールヒントを編集できないというのは驚きました。

【PowerBIの画面】

・項目に対する書式設定

日付項目などは、yyyy/mm/dd や mm月dd日などの形式を指定したいものですが、PowerBIではビジュアル上から書式の変更ができません。
ではどこで書式設定するかというと、レポート画面ではなくモデル画面で行います。
モデル画面では、項目をクリックするとプロパティ画面が現れ、項目ごとに書式設定を行えます。
Tableauではビジュアルごとに書式設定を行えましたので、項目1つに対し複数の書式設定を設定できましたが、PowerBIでは項目1つに対し1つの書式設定となります。
そのため、同じ項目を使用するけどスペースの関係で書式を変えたいというような場合は、別項目を用意する必要がありそうです。

【PowerBIの画面】

・テキスト表の表示行数

Tableauではワークシートページの左下に行数やマーク数が表示されます。
PowerBIではこれは表示されません。また、PowerBIでははじめから全行は表示されず、スクロールしていくと新たな行を描画するというような動きをします。
そのため、PowerBIでテキスト表を作成すると全体で何行あるのかというのが把握しにくいです。
描画に時間がかかるときやパフォーマンスの改善を行う場合は全体の行数を知りたいのですが、知りたい情報を得られずやきもきすることがありました。

【Tableauの画面】

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。
TableauとPowerBIの違いをつらつら並べてきて、Tableauのほうが優れている点が多いと感じたことと思いますが、そもそもPowerBI(Microsoft365ライセンスがあれば追加料金なしで使用可能)とTableau(月額 8,400円の年間契約:2022/12時点)のライセンス料を比べると、PowerBIのほうが安価です。
そのためこのような機能の違いは当然な気もしますね。
「そこまでダッシュボードを作り込まないけど、ビジュアル化して分析してみたい」という方にはPowerBIはよいかもしれません。Microsoft365ライセンスをお持ちの方にはTableauより手を出しやすい製品かと思います。

ただ、もし自分でTableauかPowerBIを購入してください言われたとき、私自身はTableauを購入するような気がしています。
わたしははじめにTableauに触れたためこのような感想を持ちましたが、TableauよりPowerBIを先に触れていたという方にもお話を伺ってみたいなと思いました。

ここまで読んでいただき、興味を持ってくださった方はぜひTableauやPowerBIを触っていただけたらなと思います。
TableauもPowerBIも制限はありますが無料版もありますので、調べてみてください!

さいごに、これらの印象や感想は私個人のものですので、ほんの参考にしていただけますと幸いです。