こんにちは、エクスペリエンスデザインセンター(EXDC)の三輪です。
近年、耳にする機会も増えている「マーケティング」ですが、自分には関係ないと考えているエンジニアの方もまだまだ少なくないのではないでしょうか。
今回は、エンジニアがマーケティングを学ぶべき理由と、知っておきたいマーケティングの基礎知識3選をご紹介します。

目次

マーケティングとは?

マーケティングの定義は時代の流れとともに移り変わっています。
現代で言われる「マーケティング」とは、顧客価値を創造し提供するための組織の機能とその一連のプロセスのことです。
マーケティング=”売れる仕組みをつくること” と簡単に説明されることもあり、それが間違っているわけではありませんが、現代のマーケティングでは顧客を最上位に置くことが重要となっており、企業の大きな目的は顧客の創造であるべきだとされています。

エンジニアがマーケティングを学ぶべき理由

私が考えるエンジニアがマーケティングを学ぶべき理由は2つあります。

① 顧客にとって価値のあるサービスを提供するため

私たちエンジニアの仕事は、作るのがゴールではなく、使ってもらうために作る。つまり、選ばれるサービスやプロダクトを生み出す必要があります。
選ばれるサービスを生み出すには、顧客の真のニーズを理解することが重要ですが、開発時にはつい、開発のしやすさやデータなど裏側の都合ばかりを考えてしまいがちです。
マーケティング担当者は常に顧客のニーズを考えているため、マーケティング担当者からの提案を開発で実現するのは難しいこともあります。視点が違うので意見や認識がずれることも少なくありません。
エンジニアがマーケティングを学ぶことで、マーケティング担当者とのコミュニケーションをスムーズに行い、顧客のニーズと開発都合の双方を考慮した提案や開発ができるようになり、結果的に顧客にとって価値あるサービスを提供することに繋がります。

② VUCA時代に生き残るエンジニアになるため

ノーコードが流行っていたり、シンギュラリティが近づいていたりと、エンジニアを取り巻く環境は刻々と変化しています。
先行きが不透明な時代に生き残るエンジニアになるためには、エンジニアとしてのスキルだけでなく+αのスキルが必要になってきています。
エンジニアが+αの知識としてマーケティングを学ぶことで、顧客のニーズを理解し、サービスやプロダクトに何が不足しているか、どうしたら顧客価値を創造できるか、を具体的に提案できるようになります。
顧客ニーズに沿って開発のサイクルを回していける人材はどんなプロジェクトでも重宝されるはずです。
さらに、マーケティングの市場規模は右肩上がりの成長を見せており、今後も企業にとってますます必要不可欠なものとなることが予想されます。
マーケティングもできるエンジニアとして自身の市場価値を高めていきましょう。

エンジニアが知っておきたいマーケティングの基礎知識

エンジニアがマーケティングを学ぶ方法は、独学やセミナーなど様々な方法がありますが、
この記事では入門編として、ぜひ知っておいていただきたいマーケティングの基礎知識3選をご紹介します。

① マーケティングプロセス

まずはマーケティングの一連の流れ「マーケティングプロセス」についてです。
マーケティングプロセスは以下の6つのステップに分けることができます。

    • STEP1:市場分析

初めに、企業内外の環境を調査・分析します。
SWOT分析で企業内の分析、PEST分析や3C分析で企業外の分析を行います。
(※詳しくは② マーケティングの分析手法・フレームワークを参照)

    • STEP2:セグメンテーション(市場細分化)

続いてSTEP2では、STEP1で得た情報をもとに企業やサービス・プロダクトに最も適した市場を発見するために市場の細分化を行います。

    • STEP3:ターゲティング

STEP3では、STEP2で細分化された市場(セグメント)の中で、どのセグメントを標的(ターゲット)にするかを決めます。

    • STEP4:ポジショニング

STEP4では、STEP2~STEP3で定めたターゲットに対して、自社のサービス・プロダクトが優位に立てる(他社と差別化を図ることができる)位置付けを検討します。
ここまでのSTEP2~4は関係性が深く、各ステップの頭文字をとって「STP分析」とも呼ばれています。

    • STEP5:マーケティングミックス

STEP5では、これまでのステップで分析してきた結果に対して、4Pや4Cといったフレームワークを用いて実際にどのように戦略を打っていくか計画し、KPIを設定します。
(※詳しくは② マーケティングの分析手法・フレームワークを参照)

    • STEP6:実行と評価

STEP6では、これまでに策定した戦略を実行・評価します。
ただ良し悪しを評価するのではなく、KPIに基づいて施策を評価し、そこからPDCAサイクルを回していくことが重要です。

② マーケティングの分析手法・フレームワーク

①のマーケティングプロセスの中でご紹介したように、マーケティング戦略をでは様々な分析手法が利用されます。
代表的な分析手法をいくつかご紹介します。

    • SWOT分析

SWOT分析とは、自社を「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つの観点で分析する手法のことです。
分析結果から、戦略目標(方針)を明確にしていきます。

    • PEST分析

PEST分析とは、外部環境(マクロ環境)を「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4つの要因に分類し、自社に与える影響を分析する手法のことです。
これらの要因は自社でコントロールすることができないため、分析結果を受けて世の中の動向やトレンドにあった戦略が必要になることもあります。

    • 3C分析

3C分析とは、外部環境として「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」、内部環境として「自社(Company)」の3つを調査し、自社のマーケティング戦略を客観的に分析するための手法です。

    • 4P

4Pとは、「製品・サービス(Product)」「価格(Price)」「プロモーション(Promotion)」「流通(Place)」の4つの要素を組み合わせて実行戦略を考えるフレームワークのことです。
4Pがマーケティングミックスの構成要素であることから、4Pとマーケティングミックスが同義として説明されることもありますが、近年は売り手の視点(4P)だけでなく買い手の視点も取り入れるために「4C」という考え方も使われています。

    • 4C

4Cとは、買い手の視点である「顧客価値(Customer Value)」「顧客負担のコスト(Cost)」「利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」の4つの要素を組み合わせて実行戦略を考えるフレームワークのことです。

③ マーケティング手法

マーケティングの代表的な手法をいくつかご紹介します。
様々な手法を知っておくことで、マーケティング担当者との円滑なコミュニケーションや、サービス・プロダクトに合った施策提案に繋がります。

    • マスマーケティング

マスマーケティングとは、不特定多数の顧客に対して同一のプロモーションを行うマーケティング手法です。
大量生産・大量販売を前提とすることが一般的で、大企業が実践することが多いです。
顧客の多様化が進んでいる現代ではマスマーケティングが有効ではなくなってきており、マスマーケティングの全盛期は1900年代初めから1970年代までと言われています。

プロモーションの展開方法によるマーケティング手法は他にも「ダイレクトマーケティング」「インバウンドマーケティング」「ゲリラマーケティング」などがあります。

    • デジタルマーケティング

デジタルマーケティングとは、デジタルテクノロジーを活用したマーケティング手法のことです。
「Webマーケティング」「メールマーケティング」「SNSマーケティング」「コンテンツマーケティング」「O2Oマーケティング」など様々なマーケティング手法がこのデジタルマーケティングに含まれます。

デジタルマーケティングと対になるマーケティング手法として「リアルマーケティング」があります。

    • セグメントマーケティング

セグメントマーケティングとは、多様な顧客(市場)を条件に基づいて細分化し、それぞれのセグメントに適したマーケティングを行う手法です。
市場を細分化し、ターゲットを絞ったマーケティングを行うことから「ターゲットマーケティング」と呼ばれることもあります。

    • ニッチマーケティング

ニッチマーケティングとは、特定の小さな市場セグメントに焦点を当てたマーケティング手法のことです。

    • リレーションシップマーケティング

リレーションシップマーケティングとは、顧客と良好な関係を構築し、優良顧客になってもらうことにより、顧客の生涯価値(企業利益)の最大化を目指すマーケティング手法のことです。

今回はいくつかの代表的な手法をご紹介しましたが、このほかにも様々なマーケティング手法があるのでぜひ調べてみてください。

まとめ

企業でマーケティングが重要視されるようになったのはまだまだ最近の出来事で、その規模は年々大きくなっています。
エンジニアにとって、マーケティングの知識を持つことが”当たり前”になる日もそう遠くないかもしれません。
マーケティングを学ぶ一歩として、この記事が少しでもお役に立ちましたら幸いです。