Airbnb本社とSAP Labsのオフィスを訪問してきた。

こんにちは、特派員のI.Mです。
先日ラスベガスで開催されたSAP TechEd 2017に参加してきましたが、
週の最終日は朝からカリフォルニアへ移動して、シェアリングエコノミーの旗頭Airbnb(エアービーアンドビー/エアビー)の本社オフィス(HQ)と、シリコンバレーの北端パロアルトにあるSAP Labsのオフィスに訪問してきました。
今回はそのレポートとなります。

Airbnb HQ

Airbnbの本社はサンフランシスコ市街南部にあります。
外観は普通のビルのようですが、入ってみるととても明るい吹き抜けのロビーに壁一面の緑、オープンスペースで仕事をするスタッフ、そして犬(!)がいました。

オフィスフロアでは各自のデスクスペースがあるものの、そこで仕事をしているスタッフはほとんどおらず、電話ボックスのようなパーソナルスペース、各国の街並みや文化をモチーフにしたミーティングスペースなどで仕事をしている人がほとんどでした。
実在のカフェをモチーフにしたリフレッシュコーナーにはセルフのフリードリンクディスペンサーが並び、ちょっとしたビュッフェのような軽食コーナーもあり、至れり尽くせりです。
(アイスコーヒーは水出しコーヒーだそうですが、コクがあっておいしかったです!軽食コーナーにはラーメン用のチャーシューなんかもありました)
1Fの食堂も毎日メニューが変わり、朝昼夕とフリーで利用できます。壁に並んだドリンクのディスペンサーでは、ソフトドリンクだけでなくワインやビールなどアルコールもありました。
食堂にはステージが隣接していて、節目にイベントがおこなわれたり、CEOの座談会が社内放送(ストリーミング)されてリアルタイムで社員とコミュニケーションを取って要望を聞いたりする設備になっているとのことでした。

オフィスのインテリアはほとんどがスタッフの発案やデザイン、手によるもので、ギークなスタッフはフィギュアやプラモデルをデスクの横に並べたり、持ち寄ってショーケースに並べたりしています。
オフィス(ロビー)にいた犬は、スタッフの自宅に置いてきた飼い犬が心配で仕事に集中できないということがないようにということで連れて来れるようになったそうです(有志の手作りドッグフードも置いてありました)。

これらの環境は、すべてスタッフであるデザイナーのパフォーマンス=クリエイティビティが十分に発揮されるために必要なこと、と考えているそうです。
デザイナーであるスタッフが刺激を受け、気持ちを切り替えて新しいもの・サービスを生み出すための環境ということです。

デザイナーが起業した会社ということで、昨今話題の「デザイン思考(Design Thinking)」は浸透しています。では、何を中心に据えてデザインしているのかというインタビューをしたところ、「」だという答えが返ってきました。
「人間中心設計(Human Centered Design)」という概念もあるのですが、Airbnbにおいては旅行者に宿泊スペースを提供するホストが対象ということで、ホストの満足度を上げることが、ホストによる「おもてなし」を充実させ、ゲスト(宿泊者)の満足度を挙げることに繋がり、Airbnbに返ってくる、ということだそうです。
「キリンは首が長く、遠くまで見渡すことができる」ということで「先を見通す⇒ゲストの望むものを提供する⇒満足させる」と同義に扱われ、Giraffing(≒おもてなし)という造語が生まれたそうですが、オフィスフロアに3mほどの高さのキリンの人形が置いてありました。

一般には公開していない招待制のオフィスツアーでしたが、色んなエピソードを聞いてフリーランチもいただいて、貴重な体験ができました!

SAP Labs(Palo Alto)

次はサンフランシスコ市街から南に約50km移動し、スタンフォード大学お膝元のパロアルトのSAP Labsに訪問しました。
SAP Labsは、世界に10数箇所あり、パロアルトのSAP Labsは1993年に設置されました。
現在9棟に約4,000人の従業員が働いており、シリコンバレーの外資系企業で最大です。

SAPは数年前までERPの売上が全体の9割を占めるほどでしたが、近年では6割以上をERP以外で売上げているとのことで、その収益モデルのイノベーションを参考にするべく、日本を含む大企業の首脳陣の訪問が後を絶たないそうです。

ここでは最新技術やインメモリデータベースHANAの研究開発などやデザイン思考を用いて顧客のビジネスモデルイノベーションのためのアイデア創造が実践されるとのことです。
顧客を招いてデザイン思考によるディスカッションを実践する場所はAppHausと呼ばれ、同じ建物内にはアイデアをすぐ形にできるよう3Dプリンタやレーザーカッターなど様々な機器が並ぶd-shopというワークショップスペースがあります。

SAPのスタッフはそこで、ソフトウェアだけでない最新技術を扱う機会を得て、より柔軟にデザイン思考を活用できるように日々精進しているとのことですが、どう見ても遊んでいるとしか思えないものが作られたあとがありました(笑)。

SAP Labsには9棟の建物が並んでいるのですが、すべてスタンフォード大学の敷地で、賃料を支払って借りているそうです。
ごく近所にはテスラやVMwareなどIT・ベンチャー企業もあり、リゾート地といっても差し支えないぐらいの都市郊外の山肌に洗練された雰囲気を感じました。

そういえば、AppHausの隣の棟は、故スティーブ・ジョブズが一度Apple Computerをリタイアして創設したNeXTという会社が過去にテナントしていた建物で、NeXT社がApple Computerに買収された後にSAPがテナントしたそうで、この話は有名みたいですね。
他にもオフィス内にガレージを模したミーティングスペースがあり、Appleがガレージから始まったことをリスペクトするシリコンバレーの風土が根付いているようでした。

ドイツ企業のSAPが20年以上も前からここに拠点を構えて、シリコンバレーのベンチャーに負けずに存在感を示してきたことは日本ではあまり知られていませんが、大きなビジョンを持って変革してきたのだと思い知らされました。

d.school (@Stanford Univ)

ドイツSAPの創業者の一人ハッソ・プラットナー(Hasso Plattner)氏は、デザイン思考の重要性を見抜き、これを学び訓練できるよう私財を投じて※スタンフォード大学にd.schoolを設立しました。
(※プラットナー氏はドイツのポツダム大学にも”Hasso Plattner Institute”を設立しています。インメモリデータベースHANAはそこで生まれたと言われています)
そこではデザイン思考のトレーニングや実践が徹底的におこなわれているとのことで、最後に訪れてみました。
(SAP Labsから車で10分ほどです。同じ大学の敷地内なのに!)

このd.schoolにてデザイン思考のワークショップに参加された方達?の写真が入ってすぐの壁から天井にかけてビッシリと貼られていました。

残念ながら週末の夕方ということで学生らしき影を人っ子一人見掛けられず、トレーニングの雰囲気を味わうことはできませんでしたが、毎週金曜日の昼12時からオープンツアーを実施しているそうなので、もし近くに行くことがあれば参加してみてはいかがでしょうか?
(参考URL:https://dschool.stanford.edu/contact-us#tour

SAPにおいても浸透・活用できるようになるまで数年を要したとのことで、デザイン思考を習得するのには時間がかかりますが、日本でも導入する企業が増えてきています。d.schoolでは社会人向けにExecutive Trainingコースもあるそうですが、私も学生に戻って留学したくなりました。

AirbnbのオフィスもSAP Labsも短い時間の訪問でしたが、あまりの環境と考え方の違いに同行した同僚が感動と衝撃を覚えていたそうです。
もちろん私にとっても重要な経験になったと思います。
この記事を読んだ方に、私たちが受けた刺激が少しでも伝わりますように。

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