はじめまして。クレスコの「せんむ」です。
已む無くエンジニア家業は既に引退していますが、今回、縁あってエンジニアブログに参加させてもらうことになりました。私が毎週クレスコ社員向けにその週の出来事からの気づきをメルマガ風に発信している「the Weekly AWareness!(通称 WAW!)」をそのままこのブログに載せてしまえ!というコラボ企画での投稿です。いつもの技術系のブログ記事とは趣が異なりますが、ご一読いただけたら幸いです。

動かしてなんぼ

先々週の話になりますが、11月16日に日本を代表する航空会社の旅客サービスシステムが刷新されました。検討開始から8年を要した超ビッグプロジェクトです。私たちクレスコのメンバーも周辺システムの開発・移行作業に携わらせていただき、微力ながらもお客様に貢献でき、とても貴重な経験を積ませていただきました。

このプロジェクト以外にもこの数か月の間に、クレスコのエンジニアが参画させていただいた大規模システムのサービスインが複数件続いています。規模の大小にかかわらず、プロジェクトを完遂し本番稼働という節目を迎える度に、携わったエンジニアも組織もひと皮むけて強くなる様子が実感でき、本当に頼もしい限りです。

一方、システムの開発を終え、プロジェクトとしては節目を迎えたものの、実稼働に時間を要しているシステムも何件かあります。最終段階で要件不足と判断され対策を検討中だったり、関係者との調整に時間がかかっていたりと夫々理由はあります。クレスコとしては一旦は納品を完了し、ビジネス的にもエンジニアとしての開発成果物的にもサービスインしたプロジェクトと全く同じなのですが、何故かエンジニア各位のひと皮むけた輝き具合がちょっと違って見えてしまうのは気のせいでしょうか。

要件に沿って設計・開発し、不明確な部分があれば調整し、追加や変更で対応し、テストで品質を確認し、検証いただいて納品。と一連の作業を完了しているのですから、サービスインする・しないは納品後の『手の届かない』お客様の責任と割り切ってしまうこともできるのですが、やはりエンジニアとしては「納めてなんぼ」ではなく「動かしてなんぼ」ですから、サービスインを実感できたかどうかで目の輝きも違ってくるのだと思います。

お客様の声 ×2

某銀行のプロジェクトにおいてお客様から言われた印象に残っている言葉があります。要件定義において、開発期間・規模・コストの適正化を目指して契約数の少ない商品は新システムでは開発せず、別商品への切替で対応することを検討して欲しいと提案する私に
『それって「プロジェクトリスク」と「リーガルリスク」のどちらを取るかを判断しろってことなのよね。物差しが違う2つのものをどうやって比べるんだろう?考えたことある?』
と問いかけられました。

また某メーカーのお客様は品質プロセスをどこまで人手をかけて強化するかという話題の際に
『製品開発にどこまで品質にコストを投入するかは「製品ライフサイクル」×「リコールリスク」と「品質コスト」をどう判断するかってことなんです。とても難しい判断ですよね。』
とおっしゃっていました。

ともに私たちソフト開発屋には『手の届かない』簡単には踏み込めない領域だと感じさせられる言葉でした。

「雲の上」と「壁の向こう」

視点を変えて、私「せんむ」は不本意ながら立場的に「雲の上」の人と言われてしまうことがあります。残念ながら、全ての社員の皆さんと直接話をする機会を持てているわけではないので全体会議でしゃべっている姿や間接的な話でしか接していない社員には『手の届かない』場所にいる人と考えられてしまうのかもしれません。

そんな私なりに「なるべく社員と話す機会を作ろう」とある会合に参加した時の社員の話です。クレスコでは昨年、管理部門と事業部門を一部融合させる組織変更を実施したのですが、それから1年半たった感想を聞いたところ
『壁が低くなって仕事がやり易くなりました。相手がよく見える感じ。でもこちら側もきっとよく見えるようになったんですよね。相手からの期待値(要求)は高くなりました(笑)』
と嬉しい話をしてくれました。

『壁』なんですよね。『手の届かない』ように思えるお客様も「雲の上」ではなく同じ高さの「壁の向こう」にいるのだと思います。ちょっと頑張って背伸びやジャンプすれば顔が見えるかもしれないし、迂回すれば手が届く場所に立てるかもしれません。どこかに扉があったり、もしかしたら開いてたりして。

納品後のサービスインに向けたお客様の作業をスムーズに進めるために、私たちに何かできることはないのか(なかったのか)。お客様の様々なリスクに同じ目線で向き合うにはどうしたら良いのか。エンジニアとして組織としてひと皮向けて輝くために、常日頃から壁を低くする工夫ができないか、なんとか考え・提案する姿勢を持てたらイイなと思います。

また、役員も「雲の上」ではなく、社員の皆さんと同じ高さにいて、仮に見えないと思っても低~い壁の向こうの手の届く範囲でいられるようにすれば、いつでもエンジニアの皆さんと一緒に輝けるのではないかと。

おわりに

エンジニアブログと[WAW!]のコラボ企画による初投稿、いかがでしたでしょうか。

サービスインの話を書きながら、過去に自分が実装に携わったシステムを思い返してみました。考えてみたら実機を直接触る役割から離れて20年近く経ってしまっていました。もう私がこしらえたコードは1ステップもこの世で稼働していないのだろうと今更ですが寂しく感じてしまいました。

ものを動かすってやっぱり楽しいですよね。エンジニアの皆さんが羨ましい限りです!