こんにちは。スマートソリューションセンターの吉田です。
2018年1月26日に、UiPath社の年1回の大規模ユーザ向けカンファレンス「UiPath Forward Japan 2018」が開催されました。
本カンファレンスでは、UiPathのグローバル戦略や、日本戦略、国内外のユーザ事例、製品ロードマップなど、RPAを導入、運用するうえで非常に有益な情報が多くありました。
私も参加してきましたが、イベント参加者は1100名を超え、広い会場でも立ち見が出るほど、当日は大変盛況でした。今回はその中でオープンになっている情報をメインに、イベントレポートとしてお届けいたします。
本カンファレンスでは、UiPath 共同創立者兼CEOのDaniel Dines氏が来日され、登壇されました。日本におけるUiPathの始まりや、UiPathの歴史を振り返りながら、2017年は、激動の1年であったことが話されました。
- 1年間で顧客数は98⇒550に(うち100社以上が日本の企業)
- 1年間で売上高は対前年比1000%に(競合他社と比較してもかなり高い伸び率とのこと)
- 1年間でUiPath社員数は90人から550人に
「UiPath Forward Japan 2018」のスライド資料は本記事執筆時点で公開されていませんが、「UiPathForward India 2018」のhighlightsの資料(英語ですが)をご覧いただくとイメージがつきやすいかと思います。よろしければご参考ください。
Daniel氏から、UiPathは日本を最重要拠点と位置づけ、2018年度も積極的な投資を行っていくと紹介されました。UiPath StudioやUiPath Orchestratorも日本語に対応し、提供されるとのことです。合わせて世界最大規模の先端事例として日本の企業2社の事例が紹介されました。振り返ってみると、日本法人の設立、ドキュメントの日本語化など、日本市場への投資が目立った1年だったように思います。
続けてUiPathのグローバル戦略として、以下が紹介されました。
- Big Scale : 大規模展開に耐えうるプラットフォーム
- Cognitive:画像認識や、機械学習、AIとの連携の強化
- Agillity:設計や実装をより簡単にするための仕組み作り
- Together:顧客第一、その次にパートナー、最後にUiPath
詳細を見ていきます。
UiPathの強みの一つとして、スモールスタートからのUiPath Orchestratorによる大規模展開ができることが挙げられますが、大規模展開の際には、セキュリティの考慮が重要になります。世界有数の銀行も複数社顧客におり、セキュリティには非常に力をいれていることが紹介されました。また、すでに10000を超えるロボットがMicrosoft Azure上で管理されていて、単一環境で動作していることが紹介されました。
AI技術の発展とともに、RPAで有効活用するためのロードマップが示されました。
- Computer Vision
- Machine Learning
- Language
- Reasoning
これらについて、各分野のベンダーとエコシステムを構築し、戦略的に推し進めるとのことです。Process Miningの分野でグローバルリーダーであるCelonis社と戦略的パートナーシップを結んだことも紹介されました。
Agillityとして紹介された中で興味深かったのは、マーケットプレイスです。
開発者には、npmや、nugetなどのパッケージ・マネージャといったほうが伝わりやすいかもしれませんが、各ベンダーや開発者、ロボット作成者が再利用可能な部品として公開できる仕組みです。マーケットプレイスが提供されることにより、各ベンダーが提供するAPIと接続する機能などがライブラリのような形で利用することができ、今まで以上に効率的に、手軽にロボットを作成できるようになると思います。そのためには、部品提供してくれるベンダーや開発者の一助が必要ですが、一開発者としては、この機能は楽しみにしています。
それ以外にも、日本語サポートの強化や、ツールの使い勝手向上に向けて、取り組みを行うとのことでした。
RPAではいろんな技術や製品を扱う(自動化する)ことが求められますが、RPAベンダーで最大規模のエコシステムを構築していることが紹介されました。以下分野で各ベンダーと協業し、推し進めていくことが紹介されました。
- BPM
- Cloud / Virtualizatation
- Machine Learning & Deep Learning
- NLP , Digital Assistants
- Data Analytics / Dashboards
- CRM / ITSM
- Security
- Process Mining
これら取り組みをまとめたUiPathの製品ロードマップが紹介されました。年に2回、メジャーバージョンアップが予定されています。開発者向けのカンファレンスとして行われた「UiPath Developers Conference India」で詳細な内容が紹介されていましたので、よろしければご参照ください。
日本法人であるUiPath株式会社 代表取締役CEO 長谷川康一氏からも、高い品質を求める日本市場での成功がグローバルでの成功に繋がる、そのために日本を最重要拠点として、力をいれて取り組むことが改めて話されました。日本における2018年度のプランとして、以下が紹介されました。
- 日本仕様のグローバル標準製品への取り組み
- 日本語サポートの充実
- 自動化サポートノウハウの提供
- マーケットプレイス
- パートナー協業体制
そのほか、国内事例セッションでは、適用業務と適用効果、プロジェクト体制や、社内でRPAを推進するためのアクションプランなども紹介されました。PoCフェーズから、どのように拡大、全社展開していくかは各社頭を悩ませているところですので、大変参考になる話を聞くことができました。そのほか、パネルディスカッションや海外事例など、興味深い話が続きました。
RPA導入を検討している企業にとって、特に開発部門ではない現場部門で、RPAを普及させるには、画面が日本語化されていること、サポート体制が充実していることは重要な要因となります。そうした面で、グローバルリーディングベンダーであるUiPath社が日本を最重要拠点として、今後も積極的な投資が継続されること、手厚い体制を引いていることは日本におけるRPA導入を加速させる意味で、嬉しいニュースですね!
今回のレポートは以上となります。
次回はUiPathの構成要素であるXamlなどをソースレベルで解析し、どのようにしてロボットが構成されているのか、ロボットの大きさ(コードボリューム、ステップ数)を図るにはどのように解析すればいいのかなどをお届けする予定です。
お楽しみに!