こんにちは、サービスデリバリーセンター(通称:SDC)所属の那須です。

 

先月、社内の勉強会で紙飛行機ワークショップを行いました。
このワークショップは、複数人で編成されたチームに分かれ、チームごとにお題に沿った紙飛行機を製作し、完成した紙飛行機の数を競い合います。

なぜ、いい年をした大人が紙飛行機を作るのか?と思った方もいるのではないのでしょうか。
このワークショップは紙飛行機を作るという単純な作業でも、時間を短く区切り、その時間の中で計画立案、制作と完成チェック、活動の振り返りを繰り返すことで、アジャイルのプロセスを体験することができます。

今回のエントリーはアジャイルに興味がある方に、読んでいただけると嬉しいです。

ワークショップの流れ

勉強会は以下の流れに沿って進められました。

  • 紙飛行機ワークショップのルール説明
  • 紙飛行機ワークショップ開始
  • まとめ

紙飛行機ワークショップのルールについて

まず、作成する紙飛行機の仕様や折り方のルールの説明がありました。
以下のルールに沿って紙飛行機を数多く作成したチームが勝利という内容です。

ルール①:A4の紙を4つに切って使う
ルール②:紙飛行機の先端はハサミで丸くする
ルール③:ハサミはチームで1つ
ルール④:同じ人が連続で折らない
ルール⑤:テスト飛行は1回につき1機だけ
ルール⑥:飛行機がテスト飛行できるのは1回だけ
ルール⑦:テスト飛行場で3m飛べば合格
ルール⑧:前回作ったものはすべて回収

これらは、ワークショップのルールではありますが、

  • 紙飛行機に実装されるべき「仕様」
  • 紙飛行機が完成したとみなされる「完了基準」
  • 制作作業に対する「制約事項」

と考えると、紙飛行機を作るという活動は、ソフトウェア開発プロジェクトと同じものと捉えることができます。
そして、参加者は、このルールの解釈が勝敗を決めると直感的に感じたのか、質疑応答が非常に盛り上がりました。

チーム活動の様子

ルール説明後、1チーム3~4名の構成で、3チームに分かれました。

▲テーブルには、大量のA4用紙、ハサミ、付箋紙、筆記用具が置かれており、これらを使って紙飛行機を作ります。

チーム活動の進め方

計画(2分)

チームごとに段取りを決めます。紙飛行機作成に向けてのアプローチがチームで異なっており、見ごたえがありました。

▲こちらは実際の作業をシミュレーションしながらの計画立案をしているBチーム。

作業(作成、テスト飛行)(3分)

チームごとに制作を行います。ここでもチームごとに制作の速さが異なり、早いチームに対して、遅いチームから疑問の声(?)が飛び交います。

▲テスト飛行場には3m飛ばずに墜落した飛行機が散らかっています。

振り返り(2分)

チームごとに振り返りを行います。テスト飛行においてどのような飛行機が成功したか、どういった飛行機はうまく飛ばなかったかを分析、議論します。

▲こちらは、過去は振り返らず、常に新しいこと方法を模索するAチーム。果たして、その結果は如何に!?

このような流れで、計画⇒作業(作成、テスト飛行)⇒振り返り を4回行います。

結果

結果は以下の通りです。

1回目

  • チームA:0機完成
  • チームB:4機完成
  • チームC:4機完成

この結果を受け、各チームで、次はどうすれば、より多くの飛行機を完成させられるかの振り返りを行い、結果を踏まえて、次のイテレーションの作業計画に移っていきます。

2回目

  • チームA:0機完成
  • チームB:6機完成
  • チームC:7機完成

2チームは前回より成果を上げています。

3回目

3回目はチームごとに、紙飛行機ワークショップのルールのうち、「完了条件」となる【ルール⑦】を除く6つのルールから、1つを除外してもよいという、ボーナスタイムになります。
ボーナスタイムを通じて、普段、当たり前のように思っている活動ルールを見直したら、生産性が向上するかもしれないことを体験します。

実際の結果は

  • チームA:4機
  • チームB:10機
  • チームC:7機

と、これまで、1機も合格を得られなかったAチームも、念願の成功体験を得られました。

4回目

4回目はボーナスタイムが終わり、これまでどおりのルールで、紙飛行機を作成し、飛ばします。

結果発表

チーム 1回目 2回目 3回目 4回目
チームA 0機 0機 4機 3機
チームB 4機 6機 10機 5機
チームC 4機 7機 7機 7機

どのチームも1回目の時より成功数が増えたことがわかります。

まとめ

今回の紙飛行機ワークショップでは、計画⇒実施⇒振り返りを短いサイクルで行い、振り返りのときに立てた対策を次の回に活かすことができました。また、その対策が有効かそうでないかをすぐに判断でき、有効でないものに対してまた違う対策をすぐにたてることが出来ました。
4回の作業時間の繰返しで約1時間を使いますが、これが1時間内で一発勝負だったら、何機の飛行機が飛ばせるかを考えてみると、短いサイクルで実装とテストを繰り返して開発を進めていくことの良さを実感することができました。

ワークショップの最後ではスクラムの役割や会議体の目的とワークショップの何に位置するのかの解説を行い、勉強会を終了しました。

一時間程度でアジャイルプロセスの良さを感じることが出来ますので、皆さんもぜひ体験してみてください!