2018年7月末に株式会社調和技研と共同でMeetup event in Sapporoを開催しました!

 

今回のテーマは「北海道の未来とAI」という大きなテーマで、北海道大学の山下 倫央准教授、札幌国際大学の田邊 龍彦教授を交えて総勢7名のスピーカーに話していただきました。
会場はミライストというとてもおしゃれなカフェで、その半分のスペースを貸し切りにして実施しました。
MIRAI.ST cafe & kitchen

概要は以下となります。

~DAYTIMEセッション~

  • 16:10 ~ 16:30 「北大調和系工学研究室の人工知能研究の取組み」北海道大学 山下 倫央 准教授
  • 16:30 ~ 16:50 「深層学習による眼病の判別」株式会社調和技研 加藤 雄大
  • 16:50 ~ 17:10 「画像診断で医療を変える」株式会社クレスコ 雅樂 隆基
  • 17:10 ~ 17:20  休憩 (10分)

~EVENINGセッション~
Lightning Talks

  • 17:20 ~ 17:26 「人の顔を浮世絵風に変換してみた」株式会社調和技研 秋元 紳吾
  • 17:26 ~ 17:32 「身近な AI活用」株式会社クレスコ 田中広将
  • 17:32 ~ 17:38 「農業へのAI利用」札幌国際大学 田邊 龍彦 教授
  • 17:38 ~ 17:44 「ちょっと気になる!?スマートスピーカー」株式会社クレスコ 伊藤 建一

「北大調和系工学研究室の人工知能研究の取組み」北海道大学 山下 倫央 准教授

調和技研の技術アドバイザーでもある山下准教授の調和系工学研究室での取り組みを紹介しました。

ディープラーニングによる路面画像認識を用いたロードヒーティングの制御システム

北海道ではそこらじゅうで見かける路面の融雪装置(ロードヒーティング)ですが、光熱費がばかにならないこともよく知られています。路面の降雪状況を画像認識することでロードヒーティングのON/OFFを実現し、旧来のセンサー方式のON/OFFに比べて45%もの稼働時間短縮が実現できているそうです。

人工知能が俳句を詠む「AI俳句一茶くん」

人間の感情を捉えるのはAIの苦手分野といわれているなかで、AIに俳句を詠ませるという、難題にチャレンジしている研究だそうです。NHK総合「凄ワザ!人類vsAI 三番勝負 」に取り上げられています。実際にAIが詠んだ俳句をいくつかピックアップして見せていただきましたが、なかなか味のある良い句でした。

方向性が異なる2つの研究を紹介していただきましたが、AIが作り出す未来に大きな可能性を感じました。

「深層学習による眼病の判別」株式会社調和技研 加藤 雄大

こちらはこの記事を作成している加藤の研究内容の紹介です。
クレスコで研究している深層学習による眼病の判別について課題や苦労について話しました。

畳み込みニューラルネットワークによる病気の分類は、研究を始めた当初からは予想がつかないような難題が多く含まれており、チャレンジがたくさんありました。例えば医療画像はなかなか教師データを増やすのが難しい為、少ないデータでやりくりする必要があり、画像の水増し方法に工夫を凝らしています。これからも他の新研究の成果を取り入れたり、独自の改良を施していくことでシステムをシステムを改善してく予定です。

「画像診断で医療を変える」株式会社クレスコ 雅樂 隆基

クレスコ技術研究所の雅樂さんが医療系の画像診断の未来について、ビジネス面を中心に話しました。少子高齢化による医療従事者の減少などを受けて、医師の負担軽減が重要になっています。そしてその流れの中でAIによる診断支援が検討されており、国としてもどのように取り組んでいくのかを決めているようです。そして、AIをどのように活用するかを考えるうえで、いわゆるブラックボックス問題の解決が必要だと言われており、クレスコでは説明可能な画像診断システムの開発に取り組んでいます。
 

ここからはLightning Talksセッションとなります。
Lightning Talksから調和技研の秋元さん、須郷さんがアロハシャツに着替えると共に、ドリンクが配られ、場が柔らかい雰囲気に変わりました。

アロハシャツの須郷さん

Lightning Talks「人の顔を浮世絵風に変換してみた」株式会社調和技研 秋元 紳吾

調和技研の秋元さんがCycleGANを使った人の顔の画像を浮世絵風に変換する取り組みを紹介しました。

現実世界の顔をデフォルメの効いた浮世絵に写像する技術的な課題を克服することと、アート的な面白さを追求するというアグレッシブな研究でした。アロハシャツと話している内容の真面目さのギャップが良かったです。

Lightning Talks「身近な AI活用」株式会社クレスコ 田中広将

クレスコ北海道開発センター田中さんがPythonを使ってAIを簡単に実装する方法について紹介しました。

足し算を問題と答えのセットを使って覚えさせたりする課題をプログラムのソースを交えて紹介しており、シンプルさでとても分かりやすかったです。あとから話を伺ったところ、本当は日付から曜日を充てるプログラム(うるう年などのルールを自動的に覚えるもの)を作りたかったそうですが、それは完成せず、謎の数字を出力するプログラムができてしまったそうです。2010年宇宙の旅を彷彿させますね。

Lightning Talks「農業へのAI利用」札幌国際大学 田邊 龍彦 教授

札幌国際大学の田邊教授が北海道における農業へのAI活用について話しました。

農業のシステム化のためには、トラクターの自動制御、ドローン、センサー情報の収集、画像認識などの幅広い技術が必要になるそうです。5分で鐘が鳴ってもまだまだ話し足りない様子で、田邊先生の好奇心の旺盛さを感じました。

Lightning Talks「ちょっと気になる!?スマートスピーカー」株式会社クレスコ 伊藤 建一

クレスコ技術研究所の伊藤さんが昨今はやっているスマートスピーカーについて話しました。

日本でもスマートスピーカは流行しており、とある調査では全体の8%の家庭に普及しているとの結果が出ているそうです。ハンズオンにて自社株の相場を確認できるアプリの使い方を紹介しました。音声が入力インターフェイスとして違和感なく使えるような時代が来ていることを感じました。

さいごに

このイベントは北海道では初めての取組みで、かつ主催者側も初めての取組みであったため準備はいろいろ大変でした。しかし、最後はお客様からまたやってほしい、というお声を頂けて良かったです。
また、北海道色を関する発表もいくつかあったので、狙い通り「北海道の未来とAI」について語っていただけたと思います。