こんにちは、UXデザインセンター 小林です。
最近は、機器連携のスマートフォンアプリ開発で、UI/UXデザインをやっています。

 

アプリ開発におけるUI/UXデザインにはいくつかの工程がありますが、その中でも個人的に好きな工程のひとつでもある、文言(Wording)作成を今回のテーマにします。

アプリのUI/UXにおいて、文言は非常に重要な役割を担っています。
ユーザーの達成したい目的を理解し、適切なアプローチをするために、UIに言葉をのせていく。
そんな作業をおこなう上で、気をつけていることを3つ挙げます。

1. 整合性をとる

表記の統一

いわゆる「表記の揺れ」はユーザーを混乱させ、不安な気持ちにさせます。
意味はほぼ一緒でも、微妙に異なる表現が複数回登場することにより、ユーザーをためらわせ誤解を招き、最悪の場合は操作を失敗させることすらあります。
そのようなことが起こらないよう、アプリ内で何度も登場する事柄や行為については、表記を定義しておきます。

ポリシーに則る

OSのポリシー

スマートフォンアプリ開発の場合、AndroidとiOS、それぞれのポリシーを尊重したUIデザインが求められますが、文言についても同様です。
文言をどちらかのOSに強引に寄せることで、もう一方のOSのユーザーにとって「ピンとこない」文言になる場合があるからです。
特に、ナビゲーションやメニューの文言には注意が必要です。
OSの純正アプリのUIを観察するのが手っ取り早いですが、OSガイドラインに文言のポリシーも記載されています。

ブランドのポリシー

アプリを提供する企業やブランドが文言のポリシーを持っている場合は、それに則ります。
例えば、「ひらく漢字」「体言止めルール」「不訳語」など、把握しておくと検討がスムーズになり、ここが決め手になる場合も多いです。
ポリシーのドキュメントが存在しない場合でも、ブランドが手がけた他のサービスやプロダクトの文言が、参考になる場合があります。

2. 短く端的に

長いと伝わらない

長い文言は読まれずにスキップされたり、話の要点がぼやけ分かりづらくなることがあります。
全てありのままを説明することが、必ずしもユーザー理解につながる訳ではありません。
そして、文言をのせるエリアには制限がある場合がほとんどで、いかに短い言葉で意図を的確に伝えられるか、が重要になります。
センスが問われます。

同時に英語を考える

多言語に対応しているアプリでも、私は基本的に日本語から考えるのですが、どうもしっくりこないときは、同時に英語を考えることで日本語がシンプルになる場合があります。
英語は、文法的に「先に結論」がくるので、UI文言で最優先の要素を抽出しやすい。
私は普段触れるデバイスを英語設定にして、英語UIに慣れ親しむようにしています。
また、多言語(特にロシア語)翻訳で文章が長くなってしまうことも少なくないですが、あらかじめ無駄のない英語文言があれば、多言語翻訳もスマートになる傾向があります。

3. 価値を伝える

仕様説明にしない

機能の実現性を調査して、仕様検討を繰り返し、UIを策定した末の文言作成です。
がんばって考えた仕様を説明してしまうのです。(個人的についやっていまいがち)
ユーザーが知りたいのは、機能のメリットであって、仕様説明ではありません。
その機能がどんなことをもたらしてくれるのか、ユーザーの言葉で伝えることが求められます。

何が嬉しいのか

ここが、文言作成で一番大切なテーマかもしれません。
UI/UXデザインの過程で煮詰まったとき、「この機能って、何が嬉しいんだっけ?」と出発点に立ち返ることがあります。
利用調査や要求分析を経て、求めるUXを機能として実装することを決めた日、どんな部分に魅力を感じていたか。
様々な検討の過程で、忘れがちになっていた機能の本来の魅力を思い出すのです。
そうすることで、文言はさらに分かりやすくポジティブな表現に変わるかもしれません。

日常生活において、言葉が重要なコミュニケーションツールのひとつであるように、アプリにおいては、文言を含めUIがユーザーとのコミュニケーションツールとなります。

「また使ってほしい」

その思いが、ユーザーとのコミュニケーションの質を高め、良いUXを生み出すのではないでしょうか。