UXデザインセンターのabです。
今回は先日私が受検した、UC級についてお話ししたいと思います。

 

注)記事内にある画像については、ある型の色覚特性を持つ方の見分けにくさ、見づらさを模擬したイメージ図です。色の見え方はタイプによっても異なり、また、個人差もあるので実際には異なる場合もあります。

そもそもUC級とは?そして何を学ぶの?

昨年に色彩検定協会が新設した検定のひとつです。
UC(色のユニバーサルデザイン)とは、色覚の多様性に配慮した、誰もが見やすい色使いのことでありUC級ではそれも含めて色について体系的に学びます。

世の中には様々な色が溢れているわけですが、色には対象物や状況を「わかりやすく」伝えるはたらきがあります。
ところがその色は、すべての人が同じように見えているわけではありません。
遺伝や疾患、高齢化によって色を区別しづらい人には見え方が異なるため、情報が正しく伝わってない可能性があります。

例えば下図。

黒背景に赤文字は誘目性があるため、例えば禁止や危険を示したい場合などに使われているのをよく見かけますが、ある型の色覚特性を持つ方にはこのように見えます。

赤が黒っぽく見えるので、全然目立たないし、むしろ文字がとても見づらいですね。。。

そして毎日見かける信号機(のつもり)

緑・黄・赤の並びはこんな感じに見えます。

黄色は分かりますね。でも、緑は白っぽく、赤は黒っぽく見えます。
記憶だけが頼り!?運転が怖くなりますね…

色覚の特性によっては、日常生活では生のお肉と焼けているお肉の区別が付かない、カレンダーの祝日が見分けられない、学校では緑の黒板で赤いチョークの字だと読みづらい、強調色であるはずの赤文字が他の黒文字と同じに見える、などなど他の色覚を持つ人には思いもよらない色の見え方の違いに起因する問題があるのです。
そういった色覚特性がある方は日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人、全体で350万人存在していると言われています。
高齢化も進みこういった問題がどんどん増えていく事が考えられるため、今後ますます需要が高まる資格なのではないかと思っています。

そして何ができるようになるの?

多様な色覚を理解したうえで、誰にでもわかりやすいデザインになっているか、そのチェックや対処ができるようになります。
例えば最初に一例として挙げた「黒背景に赤文字で”禁止”」の図。
それを、色のユニバーサルデザインの考え方を元に改善してみます。

最初に出した図との違いは分かりましたか?
オレンジ寄りの赤に変えただけです。
でも、色覚特性によってはこれだけ見え方が違ってくるのです。

ちょっとの変化でも見やすくなりましたよね。

 

また、「色の」とは謳っていますがそれだけではなく柄や文字を入れたり、境界線を引いたり色以外の要素を活用して見やすくする方法もあります。
例えばこの図。さきほども例として挙げた黒×赤の組み合わせです。

 

うーん、相変わらず見づらいですね。。。

今回は色を変えず、白の文字枠を付けてみます。

これだけでもだいぶ見やすくなりますよね。
など、これはほんの一部にすぎませんが上記のようなデザインを理論的に学ぶことが出来ます。

UXエンジニアに必要な資格?

私はUXエンジニアですが、色や配色などをデザインするところまでは含みません。
しかし、デザイナーさんに依頼したり、出来上がったアウトプットを確認したりする際に、アクセシビリティの観点のひとつとして、色のユニバーサルデザインを学ぶ必要があると思ったのが受検するきっかけでした。

多様な色覚に配慮した仕事というと、教育関係者やWebデザイナー、インフラなどの業界の方がまず思い浮かびますが逆に学ぶ機会が少ない私達こそが必要な資格なのでは、と実は感じています。
職種関わらず、仕事をする上では何かしら資料をまとめたり、何かと色の選択を迫られる場面が多いですよね。
やはり誰にでも分かりやすい資料を作るには、色も理論的にデザインする必要があります。
色のデザインって、感覚というかセンスの問題とどこかで思い込んでいて、学ぶ機会もなくまた思ったこともなかったので(汗)

私にとってはそういった意味でも価値のある資格でした。

さいごに

最後になりますが、個人的な感想もふくめ、UC級の難易度や対策なども載せたいと思います。
新設されて間もない検定であり、情報も依然として少ないと思いますので、資格取得を検討されている方の参考にもなれば幸いです。

問題形式は公式サイトによると「マークシート(一部記述)」とありますが、初回はマークシート74問、記述が5問でした。
記述式といっても文章を書かせるものではなく、穴埋め問題で単語を記入する形式でした。
合格ラインは「満点の70%前後。問題の難易度により多少変動」とありますが、今回は初回ということもあってか、79%(158点/満点200 点)と高い基準値となりました。
次回はもしかしたら難しくなるかも!?

もちろん、ノー勉強では合格は出来ないと思いますので対策は必要です。
公式サイトで「『色彩検定 UC級 公式テキスト』の内容だけで合格に必要な知識を得ることができます」と記載されている通り、テキスト以外からの出題はありません。
そして満遍なく出題されました。
テキストの内容ですが、色という身近なものということもあり「へぇ~、なるほどね~」とか楽しく読めて、1時間もあれば読み切れる内容ではないかなと思います。
ポイントとしては、繰り返しになりますが、自分とは違う色覚特性を持つ方はどの様に色が見え、どんな色が区別しづらいのかを理解した上で、どう改善すれば伝わるのか、を意識しながら読むことです。
ちなみに、テキスト巻末の事例集は<Before><After>なので、最後にどれだけ理解できているのかのチェックにするとよいと思います。