技術研究所のまつけんです。
先日の数学セミナーの際に、PowerPointにたくさんの数式を載せました。最近、PowerPoint(やWord)の数式エディタでTeX[1][2]での入力が出来るようになりました。これを使えば、数式がサクサク入力できます。ただし、TeXの全ての機能が使えるわけではないようです。今回は、TeXをご存知ない方向けに「TeXとは何か」、「PowerPointでTeX入力する際の細かいコツ」、そして、「数学セミナーのスライド作りで実際に役立ったTeX表記」について紹介したいと思います。
TeXで記号などを出すには、半角バックスラッシュを使います。バックスラッシュはその名の通り、スラッシュ(/)を左右反転した記号です(日本語キーボードでは¥です):
は、「\hat y=x_1k_1+x_2k_2+x_3k_3+\cdots+x_nk_n=\sum_{k=1}^nx_ik_i=\vec x\cdot\vec k」です。\hatは後ろに続く文字の上にハット記号^を付けます。\cdostは・・・、\sumは総和記号としてのΣ(通常の大文字のギリシャ文字Σを出したい場合は\Sigma)、\vecは次に続く文字の上に矢印を付けます。アンダーバーは後ろに続く文字を下付きに、ハット^は上付きにします。
は「x_1^2」です。\hat、\vec、、^などで、複数の文字を対象にしたい場合は、{}で囲みます。例えば、
は「x_{123}^{10}」です。詳しいことは、[3]や[4]のようなサイトや入門書がありますので、そちらを参照してください。
PowerPointではTeXのすべての記法が使えるわけではないようです。また、{}の代わりに()を用いるようです。TeXで記述したあと、スペースキー(または、+-/!^や括弧やリターンキーなど)を押すと記号に変換されますが、スペースを押すタイミングも重要です。以下、スペースを押すべき位置を#で示します。例えば、
は、「\sum#_(k=1)^n#x_i#k_i#」です。間違えて「(k=1)」の直後にスペースを押してしまうと、そのあとに「^n」を入力してもΣの上にnが載ってくれなくなります。
同様に、定積分の入力についても
は「\int#_0^\infty#x^2#+x#dx」となります。最初の「_0」の直後にスペースを押すと、∞が正しい位置に入れられません。
分数の入力は、PowerPointの方が便利です。スラッシュで自動的に分数にしてくれます。
は、TeXではそれぞれ「\frac\partial{\partial x}」と「\frac{dy}{dx}」ですが、PowerPointでは、「\partial/\partial#x#」と「dy/dx#」で入力できます。
その他の例としては、
は、「\sqrt#(a+b+c)#」または「\sqrt(a+b+c)#」、
は、「\vec#」や「\hat#」のあとに左カーソルキーを押してから「y」を入力します。あと、地味に便利だったのは、「\cdot#」、「\cdots#」、「\vdots#」、「\ddots#」あたりでしょうか。
なお、ベクトル・行列の入力に関しては、数式編集中に「デザイン」タブ:
の右端にある「行列」で挿入したあと、「2次元形式」と「行形式」を押すことで、モードを切り替えながら作業すると楽でした。
皆さんも是非、PowerPointやWordなどで数式を入力する際は、いろいろと試してみていただければと思います。
[1] https://ja.wikipedia.org/wiki/TeX
[2] https://ja.wikipedia.org/wiki/LaTeX
[3] http://www002.upp.so-net.ne.jp/latex/index.html
[4] http://www.latex-cmd.com/