技術研究所のりまてぃです。

 

最近話題の”機械学習””Deep Learning”ですが、「実際にサービスに組み込まれるとどんな感じかな?」ということで、リリースされているサービスを使ってみました。この記事では、ファッション人工知能アプリのSENSYを”エンジニア”(以下エ)と”洋服大好き女子”(以下女)という2つの立場から考察してみようと思います。

SENSY(センシー)とは

SENSYは、自分の好みに合わせて洋服やコーディネートを選んでくれるアプリで、運営はカラフル・ボード株式会社です。SENSYは一般消費者向けのアプリとして提供されている一方で、過去には東京ガールズコレクションで初めてのテクノロジーパートナーになったり(※1)、伊勢丹新宿店の店頭で「人工知能接客プロジェクト」をやってみたり(※2)と、企業とのコラボレーションにも積極的なサービスです。

なんだかワクワクしてきますね!面白そう!(女)

機械学習やDeep Learningを使ったサービスはデータを多く集めるのが大事だけど、無料のスマホアプリでユーザーのデータを集めて、企業向けのサービスでマネタイズするビジネスモデルなのかな。なるほどー。(エ)

SENSYを使ってみました

9月中旬ごろの私のSENSY。白い洋服ばかり。

SENSYのアプリをインストールすると、初めの数日は1日数十~百着程度の洋服にLike or Not でフィードバックするように促されたと記憶しています。そうしてSENSYに自分の好みを覚えさせ、育てていきました。左のキャプチャは、9月中旬ごろのFAVORITE画面です(※1)。見てわかるとおり、Likeしたのは白っぽい洋服ばかりです。私の好きな色は白・黒・グレーなどのベーシックカラーなのですが、候補に出てきた洋服が白かカラフルか黒っぽいけどデザインが好みではない洋服だったので、白だけLikeすることになりました。その後数日は、白っぽい洋服が候補に出てきました。

もしかして、これは過学習(※)!!ということは、今後継続的に使っていけば(=訓練データを増やせば)過学習が解消されるかも。(エ)

こうして、私のSENSY育成生活は始まったのでした。

※1 現在のバージョンでは、画面の仕様は変更されています。

※2 過学習とは:機械学習のモデルが訓練データに過剰にフィットしている状態を指す。過学習の解消方法としては、訓練データを増やすことが挙げられる。

9/25(金)SENSYに大幅アップデートが!

アップデートで増えた主な機能は以下のとおりです。

  1. 人工知能とチャットができるようになった
  2. 人工知能に全身コーディネート(「好き」を選択した洋服を1点含む)をお願いできるようになった
  3. 自分のセンスを色で可視化できるようになった

TALK画面。SENSYとチャットできる

SENSYが提案してくれたコーディネート。好きか嫌いかを選択する。

MY PAGE画面。好みに合わせてSENSYの色合いが変わる。

チャットについては、話題を選択する形式なので、チャット風のユーザーインターフェースと言ったほうが正確かもしれません。(エ)

提案されたコーディネートは、雑誌や街中で見たことのあるような納得感のあるものが多い印象。私の好みが平凡ってこと(笑)?(女)

2016春夏の新トレンド「タッキ―(Tacky)」コーディネートを作ってみよう

タッキ―(Tacky)とは「悪趣味な」という意味。柄同士や奇抜な色同士を組み合わせる、オシャレなのかダサいのか際どいスタイルです。実験の流れは以下の通りです。

  1. SENSYをインストール
  2. 派手な洋服のみ「好き」を選択する
  3. SENSYにコーディネートを提案してもらう

個性的な柄や派手な色の洋服だけ「好き」を選択しました

コーディネート1つめ。黄色いカーディガンは「好き」を選択した洋服。他はSENSYが提案してくれたもの。

コーディネート2つめ。黄色いカーディガンにカラフルなストールの組み合わせで少し派手め?

コーディネート3つめ。黄色のカーディガンでも他の洋服・小物のトーンを抑えれば、落ち着いた印象に。。

上図の通り、SENSYがコーディネートを3つ提案してくれました。2つ目は多少派手目になったものの、全体を通して黄色いカーディガンに対し白・茶・黒の落ち着いた色の洋服・小物を合わせています。

このコーディネートだどタッキ―スタイルとは言えないな。黄色のカーディガンに落ち着いた色を合わせて、うまく着こなしている印象。さらに3つのコーディネートは、似たようなコーディネートではなく、別々の傾向のコーディネートになっている。設定画面で好みを最大3つ選ぶことができるので、その好みに合わせてコーディネートしてくれているのかな(女)

どうやってコーディネートの訓練データを作っているかわからないけど、奇抜なコーディネートの訓練データは用意されていないのかな。奇抜なコーディネートを好むユーザーは多くないだろうから、奇抜なコーディネートの訓練データを用意すると普通のコーディネートを作るときに悪影響になるのかも(エ)

ということで、実験の結果としてはタッキ―コーディネートは作れませんでした。逆に言うと、一見着こなしにくく見える洋服でも、誰でも着こなしやすいコーディネートを提案してくれるということですね。また、SENSYはコーディネートの提案を通して、ユーザーが好きな洋服だけでなく今まで注目しなかった洋服とも出会うきっかけを提供していることがわかりました。

今後のエンハンスでどんな機能が増えるのか楽しみです。引き続き注目したいと思います。