こんにちは。UXデザインセンターの金井です。

 

最近、お仕事でストーリーボードを描くことがあったのですが、手書きではうまく書けず、しかも時間もツールもなかったので、Excelでお絵描きをしていた所、ちょっとびっくりされました。

確かにExcelに代表されるOffice製品のオブジェクト、結構色々なこと出来るのですが、あまりお絵描きには使われないかもしれないですね。。

Excelでイラストを書くなんて面倒と思われるかもしれませんが、基本のワンセットを作ってしまえば意外と楽で、やり直しも簡単、コピーもOK、色もサイズも簡単に変更できます。

また、反転やレイアウト配置も普段のExcel操作なので特別に覚えることはありません。
もちろん複雑なことは出来ませんが、シナリオやストーリーボードで使うイラストは、絵としてのクオリティは求められませんのでこれで充分か、と思っています。

いつ、何のために使う?

所で、UXデザインを進めるにあたり、このようなイラスト化(ビジュアル化)が行われるのには、どんな目的があるのでしょうか?

書籍「UXデザインの教科書」では、7段階のUXデザインプロセスを紹介しています。

1:利用文脈とユーザー体験の把握
2:ユーザー体験のモデル化と体験価値の探索
3:アイデアの発想とコンセプトの作成
4:実現するユーザー体験と利用文脈の視覚化
5:プロトタイプの反復によるう製品・サービスの詳細化
6:実装レベルの制作物によるユーザー体験の評価
7:体験価値の伝達と保持のための指針の作成

上から見ていくと、調査分析→コンセプト決定→プロト作成→評価という順になっているのが解ります。

この中の、

4:実現するユーザー体験と利用文脈の視覚化のフローで、ストーリボードというビジュアル化の手法がよく使われます。

ストーリーボードって何?

「理想とするユーザーの体験」を絵コンテのようなストーリー仕立てにしたものが「ストーリーボード」です。

このフェーズの目的は、調査・分析の結果から得られたコンセプトを、解りやすく視覚化する事です。
次のフェーズで具体的なUI仕様などに落としていくのですが、その前にコンセプトを関係者と共有する事で、機能や手段ではなく、

「理想のユーザー体験をもとに仕様化する」

ために使われるわけです。

また、文書で書かれたコンセプトや理想シナリオをビジュアル化することで、

「こんな事って本当に起こる?」「本当に顧客にとって価値がある?」

といったことを再度考えるきっかけになります。
つまり、「理想とするUXそのものの評価」に使えるんですね。

文書上では気が付かなくても、絵にしてみるとおかしいな、と思うことがよくあります。
これは文字から得られる情報と、絵から得られる情報に差があるからこそ起こります。人間って不思議ですね。

ストーリーボードに描かれる内容としては、以下のようなものがあげられます。

・ペルソナが製品やサービスを使う動機
・利用シーンやその環境
・製品やサービスの挙動や、ユーザーのふるまい(時系列に)
・ユーザーのゴールや継続利用へのモチベーション

ストーリーボード作成の注意点

お絵描きが得意な人には楽しい作業のストーリーボード作成ですが、楽しさのあまり忘れがちな注意点が何点かあります。

1:どのシナリオを採用するのかを吟味する

コンセプトやゴールはこの時点では決まっているはずですが、実際の業務では複数の課題が存在したり、ペルソナによって違った要求がある場合など、理想の体験が1つだけ、とは限りません。
そこでコンセプトの優先順位や選定が大変重要となってきます。
1つのストーリーにどのシナリオを書くのかを整理することで、共通の認識が作られていきます。

2:具体的なUI(や解決方法)を書かない

ついついボタンを押したり、検索したりといった具体的なソリューションを書きがちになってしまうのですが、実現方法を考えるのは、次のフェーズです。ここではあくまでも「体験」をベースに考えることが重要です。
前述の「UXの教科書」では使い方の説明をしないようにするため、あえて「それ」や「その仕組み」と呼ぶとなど工夫せよ、とあります。

3:前工程を忘れない

ユーザー調査などで出てきた主要ペルソナの属性、心情、リテラシーなどを忘れてはいけません!
自分なら・・というシナリオではなく、ペルソナが取る行動・気持ちに沿っているでしょうか。簡単な事のようで、意外と忘れがちで重要な点です。

最後に

ビジュアルとしての表現方法は実はイラストに限らず、写真や演技(!)などでもよいそうです。
#「アクティングアウト」や動画で作成してもよい

そもそもストーリーボードは映画の「絵コンテ」にあたるものなので、コンセプトや理想のUXが共有できればいいわけです。

ひとつ、共通して守ることは、時間をかけないこと。

コンセプト自体が複数あったり、書いてみたらコンセプト自体がしっくりこなかったりと何回も書いていく場合も多いですし、イメージの共有が目的ですので、上手く書こうとするのはNGです。

自分の得意な方法で短時間でどんどん「文章」→「ビジュアル化」を行っていきましょう!
人間の絵が描けなくても棒人間でOK、フリー素材など使えるものは使ってどんどんビジュアル化!が合言葉です。

・・でもイラスト描けたら楽しいですよね。。
やっぱり絵が上手い人はうらやましいです(笑)