目次

1.    はじめに
2.    AITRIOSとは
3.    AITRIOSの利用シーン
4.    AITRIOSを使うことのメリット
5.    デモシステムの概要
6.    デモシステムの構成
7.    デモシステムその2(混雑状況可視化)
8.    デモを引っ提げてAITRIOS Meet Upへ!
9.    まとめ

1. はじめに

こんにちは、先端技術事業部のはまもとです。初めてTechブログを投稿します!
AIによる画像認識・画像解析を活用したサービスは多く存在していますが、最近では取り扱うデータが急速に多様化しており、データ量の増加やセキュリティ・プライバシーへの配慮など、撮影した画像を扱うサービスおよびその提供者として考慮しなければならない点が増えてきています。

 

今回はそういった課題解決に大きく貢献する可能性のあるAITRIOSと、AITRIOSを利用して開発したデモシステムをご紹介したいと思います。

 

AIによる画像認識・画像解析に興味のある方や、そういったサービスを提供する立場にある方々にとって、きっと人生を変える記事になると思いますので、ぜひご一読ください!

2. AITRIOSとは

AITRIOSは、ソニーセミコンダクタソリューションズ社(以下、SSS社)が展開するソリューションの一つで、公式サイトでは以下のように説明されています。

エッジデバイスなどを活用したセンシングソリューションの効率的な開発・導入を可能にするエッジAIセンシングプラットフォーム

文章だけではイメージしづらい部分もあると思うので、説明用の絵を書いてみました。
 

AITRIOSの大きな特徴は、カメラに搭載されているAIロジックチップです。これによって、カメラ側でAIによる画像解析を行い、推論結果のみをクラウドストレージにアップロードできます。

 

従来のようにクラウド側で処理を行うAIやその仕組みを「クラウドAI」と呼ぶのに対して、AITRIOSのように、ネットワーク上の端末機器(エッジデバイス)に搭載されたAIを「エッジAI」と呼びます。

 

AITRIOSは、カメラやそれを管理するためのシステムをワンセットで提供し、エッジAIを活用したセキュアで信頼性の高い画像解析サービスの構築を支援するためのプラットフォームであると言えます。

3. AITRIOSの利用シーン

AITRIOSは画像解析を用いるシステムにおいて、その力を最大限に発揮できます。撮影画像に人が含まれるようなシーンにおいて、プライバシーへの配慮がなされているのが特徴的です。

引用元:

AITRIOS | Sony Semiconductor Solutions Group

 

本ブログ執筆開始時点からAITRIOSのサイトにアップデートがかかっており、現在では上記で挙げた以外の多くの利用シーンに関する説明が追加されています。

4. AITRIOSを使うことのメリット

AITRIOSを利用することで、従来の画像認識サービスで課題となっていたデータ量の増加やプライバシー・セキュリティ等に配慮したシステムを簡単に構築できます。

 

また、ユーザーはAITRIOSがもたらすメリットを享受することで、自身が提供するサービスそのものの品質向上や、価値実現に向けた機能検討に注力できるようになる点も、AITRIOSを利用するメリットの一つです。

引用元:
AITRIOS | Sony Semiconductor Solutions Group

 

今回、このAITRIOSを使って弊社プロジェクトルームの利用状況を可視化するデモシステムを構築したので、こちらをご紹介したいと思います。

5. デモシステムの概要

プロジェクトルーム内の各席それぞれに、誰が何時間座っている(滞留している)かリアルタイムで可視化するシステムです。画像内の席に丸がついている場合、人の着席を示し、丸の色で滞在時間が表されます。

 

画面上にはプロジェクトルームの画像が表示されていますが、これは推論結果を重ね合わせて表示するためのUIとして静止画を表示しているだけで、実際には推論結果のみがクラウド上にアップロードされています。

6. デモシステムの構成

システム構成図は以下になります。

AITRIOSはプロダクトの一つに開発用のSDKも含んでいますが、今回それは利用せず、カメラとAITRIOSコンソール+社内のAWS環境のみを用いて実現しています。

システム構成図を見てわかる通り、非常にシンプルな構成となっています。AITRIOSからDynamoDB(データ格納)へのデータ登録処理は、AITRIOSからS3に推論結果が格納され、格納をトリガーにしてLambdaが起動し、必要な加工処理を行いDBに格納します。

 

画面への推論結果表示は、API経由でDynamoDBのデータを取得し、ReactベースのWebアプリで加工して画面に表示しています。

 

また、このデモシステムの開発期間や工数についてですが、4-5名程度のメンバーで週1回3時間の作業を行い、合計1.0人月未満の規模で開発ができました。

7. デモシステムその2(混雑状況可視化)

本記事の執筆中に2つ目のデモシステムを完成させることができたので、こちらについても簡単にご紹介します。

 

前述のデモシステムは人の滞留状況を可視化するものでしたが、こちらは混雑状況を可視化するものです。システム構成は1つ目のシステムとほとんど同じで、AITRIOSによってアップロードされるメタデータの解析方法などを変更しています。

 

AITRIOSが画像認識のコアな部分を担ってくれるので、アイデア次第でこのように様々な応用が効くのが素晴らしいですね!

先日行われたFamilyDay2024(社員家族を対象としたイベント)でも活躍してくれました!

※2023年(昨年)のFamilyDayの様子についてはこちら

8. デモを引っ提げてAITRIOS Meet Upへ!

AITRIOSはコミュニティも活発で、定期的にSSS主催のMeet Upイベントが開催されています。

 

このイベントは、様々な業界・業種の人々が集まり、AITRIOSの活用アイデアを披露し合う場であり、交流会を通じて多くの気づきを得ることができます。

 

今回ご縁あってMeet Upに招待いただき、開発したデモシステムを披露する機会をいただきました。ご招待いただきありがとうございました!

 

イベント自体の雰囲気は明るくリラックスしており、AITRIOSやITに興味のある方であれば、参加するだけでも楽しめると思います。個人的な話になりますが、こういった人がたくさん集まるイベントでは、普段の性格上どうしても気後れしがちですが、そんな私でも楽しく過ごせる有意義なイベントでした!

 

クレスコ登壇時の様子はこちらから。

AITRIOS ためしてみた
AITRIOS ためしてみた
発表資料はこちらからダウンロードいただけます。

発表資料はこちらからダウンロードいただけます。

その他、今回参加したMeet Upに関する情報はこちらをご覧ください。

9. まとめ

いかがでしたでしょうか。AITRIOSを利用することでエッジAIのメリットを活かしたWebシステムを簡単に構築できました。

 

今回はプロジェクトルームの利用状況を可視化するデモシステムを構築しましたが、実際にAITRIOSを使ってみて、このデモシステムのようなものや、利用シーンの項で挙げたもの以外にも、アイデア次第で様々なサービスに応用できそうだと感じました。画像解析を使ったサービスに興味はあるけれど、データ、プライバシー、セキュリティなどのハードルでなかなか実現に踏み切れない方々に、ぜひAITRIOSをお勧めしたいと思います!

 

イベントへの参加も多くの気づきがあり、おすすめです!

 

本記事を最後までご覧いただき、ありがとうございました。