はじめに

こんにちは、ENKです。

 

クラウドプリセールス事例紹介シリーズとして、当社のクラウドに関する取り組みの一端を紹介させていただきます。本記事は、ある程度のクラウドに関する知識を持った方向けの内容となっていますので、予めご了承ください。

 

第4回目のテーマは「クラウドCoE(Center of Excellence)」に関する内容になります。クラウドCoEは、クラウドを活用して組織をより効率的かつ円滑にするために重要な役割を果たす存在です。当社はクラウドCoEの立ち上げから運用まで、お客様のニーズに合わせたご支援を提供しています。具体的には、クラウド戦略の策定やプランニング、コスト管理、テクノロジー選定、アーキテクチャと設計、そして人材に関する支援など、幅広いものとなります。今回はこの活動について紹介したいと思います。

目次

  1. クラウドCoEとは
  2. 昨今の相談事例
  3. 当社からのご支援例
  4. まとめ
  5. Appendix

1. クラウドCoEとは

「クラウド CoE (Center of Excellence)」、あるいは「クラウド活用推進組織」と呼ばれる、会社や組織横断でクラウド活用に必要な人材、資源、知見などを集め、各部門のクラウド利用を促進するためのチームを指します。チームの成果は、企業文化の変革、技術的なスキルや知識の向上、効率的なビジネスプロセスの確立などが挙げられます。これらの成果は、組織全体にポジティブな影響を与えることができます。

2. 昨今の相談事例

昨今の相談事例では、クラウド化の波に乗って導入が進んだものの、既存のITガバナンスや設計標準との整合性が追いついてない、といった問題が主な悩みとなっています。

 

昨今の相談事例

  • 社内でクラウドが利用されているが、全社でのクラウドの利用方針がまとまっておらず、クラウドシステムの毎に個別に最適化されているため、クラウド向けのインフラ準備や運用面で全体最適化の余地がある。また、シャドウITが生まれる懸念もある。
  • 個別最適化が進んだ結果、閉域網接続が個別に回線引かれ、本来集約可能なものが分散管理されてしまっているため、コストがかさんでいる。
  • クラウド導入時のシステム設計の考え方が、ベンダーや開発者の考え方により統一されておらず、ITガバナンスや設計標準の観点で整備が求められている。まずは、クラウド利用/導入に関してベストプラクティスに則った標準化を進める必要がある。
  • ベンダー任せでクラウド構築/運用を行っていたため、社内にクラウドに関するスキル・経験・人材不足が生じています。

 

上記は一例ですが、当社に相談をいただくお客様の多くは、オンプレの仮想基盤で設計標準などを持っており、これにクラウドの特性を活かした利点を追加したいと考えています。そのため、現在の運用を改善することで、より効率的にクラウド活用を進めていくことを目指すために、クラウドCoEといった役割を担う組織で対応していこうという施策になっていると考えています。

3. 当社からのご支援例

クラウドCoEの導入によって、クラウドの真の価値を引き出せるようになるには、お客様の組織全体での粘り強い取り組みが必要です。そこには、お客様のIT全般の活用状況やリテラシーを理解することが必要であり、段階的に適切なアプローチを講じる必要があります。このようなアプローチは、地道な作業が必要となります。当社でクラウドCoEとしてお客様の事業所でサポートしているメンバーも、足掛け数年以上の活動をしていることを目の当たりにしています。

当社ご支援は、お客様のニーズに応じてカスタマイズしていますので、サービスをパッケージ化したものではありません。ただ、AWSの記事を参考にしながら、以下の3つの環境条件を念頭にした対応になります。これらの条件に対応していくことで、クラウドCoEの価値をより発揮することができると考えています。当社は、お客様の課題を確認し、どの環境条件の課題が最も大きなものかを把握してから、適切な改善策を提供できるように取り組んでいます。

 

1. 会社/組織としてクラウド活用の意思を持つ

お客様の組織がクラウドを活用するためには、ステークホルダーの意識や協力度合いを確認することが最重要事項になると考えています。クラウド活用を組織横断で推進していくためには、ガイダンスなどの情報を発信する際にはステークホルダーの承認を得る必要があります。協力度合いによっては、クラウドCoE活動の成果に影響を与えるため、常に意識のレベルを確認し、啓蒙や協力関係を良好に保つようにします。

 

2.クラウド活用において、組織横断かつ構造上の課題を有する

クラウドCoEは、現場の課題を改善することを目的とした組織であるため、現場の方々に「現場に寄り添った活動をする組織である」ということを理解していただいた上で、関係性を築くのが大事です。この理解が欠けてしまうと建設的な話が難しくなり、本当の課題を見つけ出すことができず、改善活動がうまく進められなくなる可能性があります。

まず現場の方が分かりやすい課題としては、共通基盤や認証/認可、閉域網や名前解決などの機能の対応などあります。クラウドCoEは、この数多くある課題に対して実現可能な改善計画を立案して実行することで、現場の方々の信頼獲得に努めます。信頼は成果が出始めてから得られることが殆どであるため、抱えている課題に対して真摯に向き合い、解決していくことが大切だと考えています。結果、良い関係性を築けるようになります。また、クラウドCoEを担うメンバーは、様々な質問に答えることもありますが、常に建設的な会話を心がけ、保有しているクラウド活用のノウハウを惜しみなく提供していくことも重要な仕事の一環として取り組んでいます。

 

3.クラウド活用スキルの不足やリソースの偏りがある

 ここでいう「クラウド活用スキル」とは、技術的な能力ではなく、クラウドを使って価値を得るための推進スキルを指します。具体的には、ビジネス活用方法を探るスキルや課題の可視化、仮説検証、周囲を巻き込むコミュニケーション能力などが挙げられます。クラウドCoEはクラウド活用推進を後押しする役割を持つため、このような人材と協力し、一層のクラウド活用を進めることが重要です。募った人材の中に技術的に不安がある場合には、研修や技術的な支援を提供することで、実現案を提示できるように取り組みます。

 

上記3つの環境条件に対する当社のご支援観点を解説しましたが、この活動で達成したい目標は「クラウド活用において現場の良き相談相手として認知されること」です。この達成こそが、お客様内のクラウド活用を活性化の源泉になり、お客様に価値が提供できている状態になっていると考えています。この状態は、様々な成果を出した先に存在するのもになるため、日々のご支援の積み重ねが欠かせません。

5. まとめ

  クラウドCoEの活動には、技術的なことだけでなく、非技術的な人間関係やコミュニケーションなども含まれます。私たちは、お客様の会社/組織をより良くするために、現場の声に耳を傾け、柔軟に対応することで、クラウドCoEの活動を推進しています。私たちの3つの重要な価値観は、クラウドを使って会社/組織をより良くするための情熱、現場のために考え、行動すること、変化を楽しむ柔軟な姿勢です。これらの価値観に基づき、お客様のニーズに合わせて、最良の解決策を提供いたします。