はじめに

こんにちは、ENKです。
 

今回のテーマはクラウド技術者(もしくはクラウドエンジニア)になるためのお話をさせていただきます。皆様が思い描く「クラウド技術者」とはいったいどういうものなのかは多様な意見があると思いますので、私の視点となりますが整理させていただき、一般的にクラウド技術者と呼ばれるようになるための考え方について、情報提供していきたいと思います。

ちなみに私は(自称)インフラ技術寄りのクラウドエンジニアですので、アプリケーション開発については多く言及しておりません。予めご了承ください。

目次

  1. クラウド技術者とは
  2. クラウド技術者に期待されること
  3. クラウド技術者のキャリア形成
  4. クラウド技術者になるために
  5. まとめ
  6. Appendix

1.クラウド技術者とは

用語の整理として昨今流行りのAI Chatに聞いてみました。これが一般論かどうか分かりませんが、私の理解と概ね一致しているので紹介したいと思います。
 

“クラウド技術者とは、クラウドサービスを利用したシステム設計、構築、運用などを担当する技術者であり、クラウドサービスとは、インターネット上で提供されるさまざまな機能や処理のことで、例えばAWSやGCP、Azureなどが該当します。”
 

ここのポイントは「クラウドサービスを利用したシステム設計、構築、運用などを担当する技術者」の部分です。このクラウドサービスの種類が非常に豊富であるので、これを担当できる技術者の期待について、具体的にどのようなものなのかを見ていきたいと思います。

2.クラウド技術者に期待されること

 一般的なクラウド技術者への期待は、クラウドが提供する様々なサービスを駆使し、パズルのようなサービスが巧みに組み合わさったシステムの構築および保守になり、そのシステムで必要になる多くのサービスを実際に使い熟せることです。これに加え、様々なサービスの著しい技術進歩に応じて変化対応しつづけていくことも求めれます。なかなか難儀な要求をする時代がやってきたかなと思いますが、これが実態です。

 このようになった背景で考えられるのは、少し前のITシステム開発においては、そのシステムを構成する技術レイヤー毎にOSやミドルウェア、特定開発言語スペシャリストといった形で分業が進んでいましたが、クラウドサービスを使っていると、かなりの部分で特定技術レイヤーに依存せずに個人で対応ができる部分が多くなったことが挙げられます。

 個人で対応できる範囲が広くなった一方で、昨今ではクラウドサービスの中でも技術的に尖ったサービスも提供されており、その全てに対応できる人材は多くありません。例えば、お客様がクラウド上でAIサービスを提供したいなどのニーズに答える際、必要なクラウド技術者は、AIサービス特化とAIを使うための環境整備ができる人材といった組み合わせになります。このように相互技術補完し合いながらシステム開発をしていくのがクラウドを用いた開発の流れになります。

 この様な流れよりクラウド技術者に期待することは、クラウドサービスを動作させるための基本サービスを使い熟せるというのが前提であり、そこから様々な技術に派生した、コア技術(コンテナ(API活用含む)、データ分析やAI関連サービスなど)を有しているかどうかになります。昨今では前提となる技術を有しているのは多くいるので、後者の技術の何か合わせて習得していることが肝になり、この技術の有無でお客様の期待(ビジネスの実現)に応えることができるかの分かれ目になります。

3.クラウド技術者のキャリア形成

クラウド技術者の価値は、お客様の期待に応えるクラウド技術を有していることが全てです。現在の多種多様なクラウドサービスが存在する中で、どのような技術を身に付けてたクラウド技術者であるかを語れる必要があります。何も語れないならば、クラウド技術者としては未だ道半ばと思いますので、更なる日々の研鑽が必要になります。
 

ここで皆様にご紹介したいのは、以下の昨今のIT業界に要求される人材全般にも言える人材構造のモデルになります。今回のテーマに沿うとクラウド技術者は∩型人材とされているので、このモデルを参考に、自身が目指すクラウド技術者としての将来像をイメージしていただくのが良いと思います。
※∩:ここでは「逆ユー」として便宜上、呼称させていただきます。
 

●I型人材(←単体物理サーバー技術者)
・ネットワーク、サーバー、ストレージ、OS、DB、ミドルウェアなどの単位で、極めて尖った人材を指します。

●T型人材(←仮想基盤技術者)
・仮想基盤を軸に関連する、仮想化技術自体、ネットワーク、ストレージの技術を有し、I型人材と比較し程度複数の技術を有している人材を指します。

●∩型人材(←クラウド技術者)
・クラウドはハードウェアがソフトウェア化されているので、インフラ全てソフトウェアの世界になっており、利用方法自体が容易的に利用可能な状態になっているので、効率的に使っていくための幅広い知識が求められます。

・∩型人材の見方として、二つの専門分野を持つというのは単純に二つの事が出来るだけでなく、二つの専門分野の間に立って物事を考えられる、といった見方になります。例えばインフラもアプリも分かり、お互いの視点で検討ができるというのは非常に有用な事だと思います。これが今求められている人材です。

 

図:専門技術に関する人材構造モデル
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図:専門技術に関する人材構造モデル

4. クラウド技術者になるために

 これまでクラウド技術者になるための前提として、知っていただきたいお客様や現場の期待値などについて説明させていただきました。次に「どうやったらなれるか?」について説明させていただくと、その答えは極めてシンプルで、「習うより慣れよ」になります。
技術習得に関する「習う(知識習得)」は「倣う(既にあるやり方を真似る)」部分もありますので、慣れるためにはクラウドを扱っている現場で習いながら倣っていくのが最良の方法であると考えています。
 

●習う(知識の習得)
・クラウドを扱う上で様々なIT用語がマニュアル上記載されているので、これをまず理解出来る必要があります。例えばIPAの基本情報や応用情報技術者などの資格があるのが望ましいです。ITパスポートでも良いのですが、扱う用語がやや少ないので余りお勧めはできません。

・次にクラウドの中でネットワークやデータベース、セキュリティの分野の知識を深めていくには、IPAの高度情報の区分される資格を習得するのが良いかと思います。

・またクラウドベンダーからも多くの資格試験が提供されています。初級~上級などに分類され、さらにスペシャリティ枠の試験もありますので、そこで更なる知識を獲得していくことができます。

●倣う&慣れる(経験の積上げ)
・現場には様々な要求や利用する技術があり、様々な考え方も学ぶことができます。その中で実績ある技術を倣っていくことで、効率の良く経験を積むことができます。

・経験を更に積み上げるために場数を踏むことが重要になります。多くの事例を知ることで、お客様の様々な要件に対して適材適所のアプローチが可能になるために欠かせません。

5.まとめ

クラウドを使うこと自体簡単ですが、クラウド技術者を名乗るならば、自身のキャリアから知識と経験を積み上げていき、質実ともに名乗れる技術を身に付ける以外の方法は無いと思います。私が伝えたい「クラウド技術者」とは、このような体現者だと思います。そんな体現者に私はなりたいなぁと思います。