こんにちは、AIテクノロジーセンターのあーくです。最近、世間はAIについて話題が尽きないですよね。今後、私達の生活を物凄いスピードで変化させていくと思われます。読者の皆さんもその変化を実感しているのではないでしょうか?

そんなAIの中でも特に今後注目を集めると思われる「アダプティブAI」について調査してみました!

アダプティブAIとは

簡単に言うと「現実世界の変化に適応するように成長するAI」のことです。

従来のAIは、環境変化によって判断精度が低下するという弱点がありますが、アダプティブAIは再学習を自動化することによってこれを補います。

イメージしやすい例として、「自動運転」が挙げられます。

自動運転車は、歩行者や自転車を認識できれば安全に走行できます。しかし、新しい乗り物が登場すると、それらを認識できないため、安全に走行できなくなってしまいます。この例を考えるだけでも、アダプティブAIの必要性がヒシヒシと伝わってきますね。

アダプティブAIを構成する三要素

そんなアダプティブAIを構成する要素は、Robustness(堅牢性)、Agility(敏捷性)、Efficiency(効率性)です。

Robustness(堅牢性) 限られたマシンパワーでも十分な精度が出せるか
Agility(敏捷性) 状況の変化にすばやく適応できるか
Efficiency(効率性) 十分な速さで学習や応答ができるか

堅牢性に関しては、AIを使う場面によってマシンパワーは変わってきますよね。例えば、家庭で使えるスマートスピーカーにアダプティブAIを搭載した場合、スピーカーに高性能なマシンを使うと、高い精度は出せるかもしれませんが値段が上がってしまうことが想像できます。

逆に性能があまり良くないマシンにしてアダプティブAIがしっかりと機能してくれなかったらユーザーの不満が高まってしまいます。ですので、それらのバランスを取ることが大切です。

敏捷性については、アダプティブAIの最大の特徴かと思います。周りの環境の変化にいかに素早く適応できるかどうか、がアダプティブAIの性能を決める、と言っても良いのではないでしょうか。

効率性においては、敏捷性に繋がる部分でもあります。十分に早く学習できれば敏捷性が高まりますし、素早い応答によって自動運転のような即時判断が必要なタスクにも対応することができます。

アダプティブAI vs 従来のAI

アダプティブAIと従来のAIとの違いは以下のようなものがあります。

特徴 アダプティブAI 従来のAI
人間との交流 必須 任意 or 不要
学習 リアルタイムに学習 再学習しない
パフォーマンス 環境変化に合わせて向上 固定 or 低下
メンテナンス 継続的な監視とメンテナンスが必要 必要性は低い
適した環境 変化の激しい環境 安定した環境
適応性 高い 低い
拡張性 高い 低い
実装 動的で柔軟 静的で柔軟でない

環境に適応するAIと聞くと、どんな場面でもアダプティブAIを使えば万能な気がしますが、アダプティブAIにも従来のAIにも得意な場面がありますので、それぞれに適した条件下で活用することが大切です。

それぞれの実装にかかるコストや時間との兼ね合いもありますよね。

UXの向上

UXの向上において、アダプティブAIは「個人化」と「感情的な繋がり」を重視しています。

個人化については、ユーザーの好みや興味に合わせたセール情報等を提供することで、ユーザーの満足度を高めることができます。

また、感情的な繋がりを築くために、アダプティブAIはユーザーとの対話を通じて、ユーザーの感情や考え方を特定しながら適切なコミュニケーションを図ることができます。

企業は、上記のようなアダプティブAIの特徴を活用してユーザーのニーズに応えることができ、UXの向上に繋がることが期待されます。

笑ったり悲しんだりするような感情を感じられるコミュニケーションをしてくれたら、たとえAIだったとしてもそこに人間らしさを感じますし、その内容が自分の状況に合ったものだったら、最高のパートナーとして活躍してくれそうですよね。

将来的には、悩み相談は人間ではなく、AIがほとんどを担うのかもしれません。

活用例

アダプティブAIの活用例をいくつか挙げていきます。

健康管理

  • 個人に最適な治療:患者のニーズや経過に基づき、個人に合った治療計画を立てることができる。患者特有の病歴に基づいて特定の薬や治療法を推奨したり、患者の状態の変化に応じて計画を調整したりすることができる。
  • リアルタイムのモニタリング:患者をリアルタイムでモニタリングし、患者の状態の変化を検知することができる。例えば、心拍数や血圧などのバイタルサインを監視して変化を検知し、医療従事者に潜在的な問題を警告することができる。
  • 臨床的な意思決定サポート:大量の医療データを分析し、医師に診断や治療に関する推奨事項を提案できる。

金融

  • クレジットスコアリング:顧客の支払い履歴や雇用情報などの膨大なデータを分析し、借り手がローンを返済する可能性を予測する。これにより、貸し手は融資の承認や金利の割合を決める判断がしやすくなる。
  • 不正行為の検知:金融取引のパターンや異常を特定し、不正行為の検知と防止ができる。例えば、顧客の口座からの多額の引き出しなど、通常とは異なる取引を検知し、不正の可能性について金融機関に警告できる。
  • ポートフォリオの最適化:市場動向や過去データ、財務予測などを分析することで、投資ポートフォリオを最適化し、将来のパフォーマンスを予測できる。

運輸

  • ルートの最適化:リアルタイムの交通データと需要パターンに基づいて輸送ルートを最適化し、移動時間の最小化、燃料消費量の削減などができる。
  • リスクのモニタリング:車両の性能や交通パターン、天候を監視し、潜在的なリスクを特定することで、事故防止に努めることができる。
  • 需要の予測:交通需要のパターンを分析し、交通サービスに対する将来の需要を予測できる。これにより、車両の配備や価格設定について判断できる。
  • メンテナンス時期の予測:自動車、バス、列車などの車両がメンテナンスを必要とする時期を予測し、事前に計画できる。これにより、ダウンタイムを最小限に抑え、機器の故障による影響を軽減できる。
  • 不正行為の検知:チケット詐欺や不正な車両使用などの不正行為を特定し、運輸事業者の損失削減とセキュリティを向上することができる。

上記を見るとユーザーの状態変化に対応したり、普段と異なる事象が発生したりすることに対応したりしていることが分かります。時間に沿って変化するものを考えてみると、アダプティブAI実装が適した場面が見えてきますね。

ビジネスに与える影響

アダプティブAIがビジネスに対してどのように影響するのか、以下のようなことが考えられます。

  • 自動化と効率化:ルーティンのタスクやプロセスを自動化することで、効率的に時間が使え、生産性を向上できる。
  • 顧客満足度の向上:より迅速で効果的なサービスを提供して顧客満足度を向上させる。
  • パーソナライズ:各個人の好みを理解し、個人に合った体験や製品を提供できる。
  • 競争の優位性:競合他社よりも先にアダプティブAIを導入し、高い効率性と革新性を持って競争で優位に立てる。
  • 意思決定の改善:リアルタイムのデータに基づいて意思決定の提案をすることで、人為的ミスの可能性を低くする。
  • コスト削減:自動化と意思決定の改善により、コストを削減して他の事業に投資するためのリソースを確保できる。
  • リスクマネジメントの向上:データを分析して潜在的なリスクを予測することで、問題発生を事前に回避できる。

上記より、ユーザー側にとっても経営側にとってもアダプティブAIはビジネスに良い影響を与えてくれることが分かります。

さいごに

アダプティブAIはまだまだ発展途上の技術ではありますが、導入すれば生活がかなり便利になります。AIが自分に合わせていろんなことをしてくれるAIパートナーもそのうち生まれるかもしれません。

スマホで自分のパートナーAIに名前を付けていろんなところでサポートしてくれる…そんな未来はすぐそこなのかな、と考えるとワクワクしてきますね!