はじめに
この記事では、私たちが実際に案件内でUiPathを使用して業務効率化を行った内容について解説するとともに、UiPathを使用した業務効率化によってどのくらいの工数を減らすことができたのか、使用した際の所感、業務効率化するメリットについて紹介します。
比較的簡単な実装内容になっているため、UiPathという名前は知っているが実際に使用したことはない・使ってみたいという方や、業務内容としては簡単な作業だが時間がとられてしまうといったよくある悩みを抱えている方に参考になればと思います。
目次
1. 業務効率化を行うことになった背景
2. 実際の業務効率化内容①
3. 実際の業務効率化内容②
4. 最後に
1. 業務効率化を行うことになった背景
業務を行っていくにあたって、作業内容としては簡単だけど、量が多くて時間がかかってしまう・・・ということは起こり得ることだと思います。
どの業務でも発生する状況で、効率化が可能であれば今後も活用できるのではないかと考え、今回ご紹介する取り組みを行いました。
以下の実際にあった業務内容の中で、効率化を実施した例を取り上げたいと思います。
① 大量のテストのエビデンスを作るためにひとつひとつテストケース名をコピー&ペーストするのは大変。
② 同じ文章を送るのに、宛先と冒頭の名前だけそれぞれのお客様の情報に変更していかないといけない。それをひとつひとつ入力して送信するのは大変。
2. 実際の業務効率化内容①
一つ目にご紹介する例は、「大量のテストのエビデンスを作るためにひとつひとつテストケース名をコピー&ペーストする手間を省きたい。」という考えから生まれた業務効率化です。
テストはどの開発でも必要な工程ですが、作業の際には大量のテストの実施と、エビデンス資料作成という作業が必要になると思います。
実際に私たちも以下の例のようなテストケースがあり、実施した内容をエビデンスファイルの各シートにひとつひとつコピー&ペーストし、証跡を残す作業が発生していました。
- 拡大
- テストケース(例)
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- エビデンスシート(例)
テストケースは600ケース以上ありましたので、業務効率化のために考えた内容が「大量のテストケースのテスト内容をエビデンス資料用に一気に抽出する」というものです。
この実装を行い、業務効率化を図ったことで、実際にテスト内容をエビデンスシート用に貼り付ける作業の工数を減らすことができました。
まずは簡単にどのくらいの工数を減らすことができたのかご説明します。
(600ケーステスト実施の場合)
1ケースのテスト内容をコピーしてエビデンス用シートに貼り付けての作業が10秒かかっていたとします。
単純計算で、テスト内容を貼り付けるだけの作業に以下の時間がかかります。
- 10(秒)×600(ケース)=6000(秒)=約100(分)
この作業をUiPathで実装し実施することで、一回の作業でテスト内容を一括抽出することが可能となり、毎度テスト内容をコピー&ペーストしていた作業の工数を削減できたということになります。
UiPathを実装するのに10分、実装したUiPathで抽出する時間(600ケース分)が12秒ほど(200ケースを3.4秒で抽出した実績あり)で抽出できました。
- 600(秒)+12(秒)=612(秒)
手作業が約100分かかると考えるとほぼ手作業の工数全てを削減することができています。
また、実際に気持ちの面でもひとつひとつテストを実施してエビデンス取得してエビデンスのシート作成のためにまずはテスト内容をコピーしてエビデンスのシートに移動して貼り付けてという作業がなくなり、とても楽になった気持ちになりました。
細かいことではありますが、実際には大きな工数削減につながっていたので紹介させていただきました。
次に実際のUiPathでの実装内容を記載します。
①Excelプロセススコープ: Excelを使います。

②Excelファイルを使用:対象のExcelを選択します。
右のファイルマークからExcelを選択することができます。

③範囲をコピー/貼り付け:希望する場所にセル内の文字を張り付けることができます。

以上のステップでセルの文字を大量に抽出できます。
3. 実際の業務効率化内容②
2つ目の例は「同じ文章を送るのに、宛先と冒頭の名前だけそれぞれのお客様の情報に変更していかないといけない。それをひとつひとつ入力して送信する手間を省きたい。」という考えから生まれた業務効率化です。
同じ文章のメールを、以下のようにExcelにまとめられている名簿に含まれている人全員に送信するという業務が発生しました。
ひとつひとつ名簿から名前を取得して送信する・・・という手間を省きたいと思い、実装しました。
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- Excelの名簿(例)
この実装も一つ目と同様に大幅な工数の削減に加えて、名簿に記載されている社員に対して、抜け漏れや誤送信が発生することなくメールを送付できました。
以下に実際のUiPathでの実装内容を記載します。
①Excelプロセススコープ: Excelを使います。

②Excelファイルを使用:対象のExcelを選択します。右のファイルマークからExcelを選択することができます。

③範囲を読み込む: シート内のデータをデータテーブルに読み込みます。

④データの繰り返し処理:データテーブルの各行を繰り返し処理します。

⑤Outlookメールメッセージを送信: 各行に対してメールを送信するアクティビティを配置します。CurrentRowは、現在処理しているデータテーブルの行を示す変数であり、宛先や本文を指定するのに便利です。

以上のステップでExcelに記載された各メールアドレスに対してOutlookでメールを自動送信するフローを構築することができます。
4. 最後に
今回ご紹介した2つの実装例も含めて、UiPathで業務効率化を行った所感を最後にお伝えしたいと思います。
まず、実装自体はGUIで行うため難しいと感じることがなく、理解しやすくて簡単であるということです。
実装にはテンプレートも使用できるようなので、初心者の方でも安心してUiPathを利用できると思います。
そして、業務効率化のメリットですが、上記の通り簡単に実装できることに加えて、ご紹介した内容では僅かな工数削減かもしれませんが、誤送信や記載ミス、記載漏れなどを防ぐことができました。
実際の業務に組み込んでいく発想はなかなか難しいかもしれませんが、まずは身近にある簡単にできるけど、時間がかかってしまう作業をUiPathで効率化するところからチャレンジしてみるといいかもしれません!!