こんにちは。PAP-2の越川です。
最近Autopilot for everyoneがリリースされ、生成AIと自動化の新たな形が示されました!!!

Autopilot for everyoneを簡単に説明すると、Chat GPTのようなUiPathのAIアシスタント機能になります。ユーザーはチャット形式で質問や指示を入力することで直感的にUiPathを操作でき、業務の効率化を図ることができます。Autopilot for everyone の詳しい説明は公式ドキュメントをご覧ください。


主な機能として次の4つがあります。

  1. 生成 AI:コンテンツの作成、データの分析、インサイトの生成を行います。
  2. コンテキスト グラウンディング:コンテキスト グラウンディングのインデックスを検索してユーザーのクエリに回答します。
  3. オートメーション:UiPath のオートメーションを推奨および実行します。
  4. Clipboard AI:AI を活用したコピー/貼り付け操作を実行します。


Autopilot for everyoneの一番の目玉は何と言っても3のオートメーション機能だと私は思います!

この機能では、UiPathで作成したロボットをチャットで呼び出して、チャットの内容を情報として与えた上で動かせることができます。
今回はAutopilot for everyoneにロボットを登録して実行するところを一から解説したいと思います。

目次

1. Autopilot for everyoneで使用するロボットの作成方法
2. Autopilot for everyoneへのロボットの登録方法
3. Autopilot for everyoneでの実行方法
4. まとめ
 

1. Autopilot for everyoneで使用するロボットの作成方法

まず、Autopilot for everyone(以下、Autopilot)にて呼び出すロボットを作成したいと思います。普段作成するロボットと違い、Autopilotで呼び出すロボットにはAutopilotのラベルが必要です。テンプレートの「AutopilotAutomationTemplate」プロセスを使用することで、自動でラベルが付くので、簡単にロボットを作成することができます。


テンプレートの使用方法

① Studioのホームのテンプレートの検索欄に「Autopilot」を入力し、「AutopilotAutomationTemplate」を選択してください。

図1:「AutopilotAutomationTemplate」の選択方法
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図1:「AutopilotAutomationTemplate」の選択方法

② 「テンプレートを使用」をクリックしてください。

図2:テンプレートの使用を開始画面
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図2:テンプレートの使用を開始画面

③ 必要情報を入力して、「作成」をクリックするとテンプレートの使用が可能になります。

図3:新しいAutopilotAutomationTemplate作成画面
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図3:新しいAutopilotAutomationTemplate作成画面

テンプレートからプロセスが作成できたら、実行処理をフローに入力していきます。今回実行する処理はAutopilotから入力として、「ファイル名」、「フォルダ名」、「書き込み内容」を受け取り、その内容のテキストファイルを作成するロボットです。


ロボットの処理の実装方法
① 引数を設定してください。
ここで設定した入力の引数が、Autopilotでユーザーに入力してもらう項目になります。
※必ず英字で引数を作成してください。(Autopilotで入力を受け取る際には日本語に変更できます)
※初期で設定されている「RequiredArguments」と「OptionalArguments」は削除して構いません。

図4:引数の画面
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図4:引数の画面

② 「Try Executing Automation>Try」の中に実行する処理を入力してください。
今回「ファイルを作成」アクティビティと「テキストファイルに書き込み」アクティビティを配置しました。
 

図5:初期のフロー図
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図5:初期のフロー図
図6:実装後のフロー
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図6:実装後のフロー

上記実装完了後、パブリッシュ作業を行います。「パブリッシュ先」を「Autopilot」フォルダに設定し、パブリッシュを行ってください。このときに、「Autopilot」フォルダがない場合はOrchestratorから作成をお願いします。

 

パブリッシュ方法
① UiPath Studioの画面右下フォルダを「Autopilot」フォルダに設定してください。

図7:フォルダの設定画面
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図7:フォルダの設定画面

② プロジェクトタグに「Autopilot」が存在することを確認した後、「パブリッシュ」をクリックしてください。

図8:プロセスをパブリッシュ画面
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図8:プロセスをパブリッシュ画面

2. Autopilot for everyoneへのロボットの登録方法

次にロボットをAutopilotで実際に呼び出せるようにする作業を行います。ロボットのパブリッシュが完了したら、Orchestratorでプロセスの追加と、AI Trust Layerでオートメーションの登録を行います。


プロセスの追加方法
① Orchestratorの「Autopilot」フォルダのオートメーションで、「プロセスの追加」をクリックしてください。

図9:プロセス画面
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図9:プロセス画面

② パッケージソース名で先程パブリッシュしたテキスト作成ロボットを選択して「次へ」をクリックし、その他の設定画面で「作成」をクリックしてください。
※「新しいタグが見つかりました。」のポップアップが表示された場合、「追加して続行」をクリックしてください。

図10:プロセスの設定画面
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図10:プロセスの設定画面
図11:その他の設定画面
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図11:その他の設定画面

③ 「Autopilot」フォルダのプロセスに、先程パブリッシュした「テキスト作成ロボット」が表示されていたら、プロセスの追加完了です。

図12:プロセスの追加後のプロセス画面
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図12:プロセスの追加後のプロセス画面

オートメーションの登録方法
① Automation Cloudの管理画面から「AI Trust Layer」を選択してください。

図13:Automation Cloudの管理画面
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図13:Automation Cloudの管理画面

② AI Trust Layerの画面で「Autopilot for Everyone」タブをクリックし、テナントの欄でパブリッシュを行ったテナントを選択してください。

図14-1:AI Trust Layerの画面(テナント選択)
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図14-1:AI Trust Layerの画面(テナント選択)

③ ツールを開き、「ツールを設定」タブをクリックし、Orchestratorのフォルダの欄で「Autopilot」、オートメーションの欄で「テキスト作成ロボット」を選択してください。

図14-2:AI Trust Layerの画面(ツール設定)
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図14-2:AI Trust Layerの画面(ツール設定)

④ オートメーションのプロンプトの説明にどういったときにこのロボットを実行するのかを記載し、Autopilot向けに有効化にチェックが付いていることを確認してください。

図15:ツールを設定の画面
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図15:ツールを設定の画面

⑤ ユーザーに入力してもらう引数で設定を行います。
各引数の右にある鉛筆マークをクリックしてください。

図16:ツールを設定の画面
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図16:ツールを設定の画面

⑥ 引数のプロパティが右に出てきます。
表示名に「テキスト」、ユーザー向けの説明に「出力したいテキストの内容を入力してください」、Autopilot向けの説明に「入力テキスト」を入力して、「保存」をクリックしてください。

図17:引数のプロパティ画面
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図17:引数のプロパティ画面

各項目の詳細については下記表を確認してください。

項目

内容

表示名

Autopilotでロボットを実行時にユーザーに表示する項目名です。

ユーザー向けの説明

表示名に対してユーザーへ詳細に説明するテキストです。

Autopilot向けの説明

Autopilotがこのロボットをいつ使用すればよいのかをプロンプトとして記載する欄です。

ドロップダウンオプション

Autopilotでユーザーに項目を選択させたい場合に使用します。

内容はカンマで区切ってください。

例:非常にそう思う,そう思う,どちらともいえない,そう思わない,全くそう思わない,分からない

非表示

チェックをオンにすると、入力のボックスを「追加の入力を表示」欄に強制的に表示することができます。

 

上:「テキスト」のプロパティで非表示のチェックをオフにした場合

下:「テキスト」のプロパティで非表示のチェックをオンにした場合

プロパティの非表示の設定に関する説明

表1:設定項目の詳細

⑦ 他の引数についても同様に項目を入力してください。

図18:引数のプロパティ画面
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図18:引数のプロパティ画面

⑧ 全ての引数で入力が完了したら、「変更を保存」をクリックしてください。
以上でAI Trust Layerの設定は完了です。

図19:ツールを設定の画面
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図19:ツールを設定の画面

3. Autopilot for everyoneでの実行方法

この章では実際にAutopilotで先程作ったロボットを呼び出してみます。今回のユースケースとして、「明日の天気をAutopilotに聞いて、その結果をテキストに保存してもらう」といった内容を行います。


Autopilotでロボットを実行した結果
① まずはAutopilotで「明日の川崎の天気を教えて」という質問をします。

図20:「明日の川崎の天気を教えて」の質問画面
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図20:「明日の川崎の天気を教えて」の質問画面

② 結果が返ってくるので、テキストに保存したい旨の内容を入力します。

図21:天気の回答結果の画面
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図21:天気の回答結果の画面

③ ロボット実行用のボタンがでてくるので、文書のタイトルの欄にファイル名、文書の保存先の欄にフォルダパスを入力し、「実行」をクリックします。
※左上に星の付いた入力項目はAutopilotが気を利かせて入力内容を予測してくれた項目になります。今回が文書のタイトルが「川崎の天気予報_3月1日」と予測してくれました。

図22:ロボット実行画面
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図22:ロボット実行画面

④ 実行すると、「オートメーションが正常に実行されました。」という表示と、今回行ったロボットの実行結果のサマリを報告してくれます。

図23:ロボット実行結果画面
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図23:ロボット実行結果画面

また、保存先のフォルダを見ると「川崎の天気予報_3月1日.txt」で保存されており、内容も質問結果が記載されていることが確認できました。

図24:ロボット実行のフォルダとテキストファイル
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図24:ロボット実行のフォルダとテキストファイル

4.まとめ

今回、Autopilotで使用するロボットの作成方法を解説しました。実際に作成したロボットを呼び出してみた結果、チャットボットであるAutopilotからロボットを実行し、テキストファイルを作成することができました。今回はかなり簡単なケースになりますが、実際に使用できる例として、請求書を読み込んで入力項目を判別させ、精算処理を自動化させるなどが考えられます。
またAI Trust Layerのツールバンドルには、ロボットを作成しなくてもすぐに使える自動化ロボットがまとめられています。ぜひインストールして使ってみてください。
OutlookやGmail, Salesforceで使えるロボットが公開されています。

図25:ツールバンドル画面
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図25:ツールバンドル画面

今回の解説した内容は自動化の恩恵をいままで以上に実感できる内容なのでみなさんもぜひ試してみていただければと思います。
以上です。
ここまでご覧いただき、有難うございました!