目次

1. はじめに
2. ChatGPTとは何か
3. ビジネスでの問題は意思決定プロセスにある
 3.1 質の悪い判断による影響
 3.2 遅い判断による影響
4. ChatGPTは意思決定プロセスの改善に使用する
 4.1 選択肢の観点
 4.2 手掛かり付与の観点
 4.3 選択基準補強の観点
5. おわりに

1. はじめに

こんにちは。AIテクノロジーセンターのまあらいです。
 

新しい技術が次から次へと現れるI T業界で今の悩みの種の一つが「ChatGPTをビジネスでどう活かすか?」だと思います。
 

他の企業の導入実績があまりない中で、自分たちで新しい活かし方を考えていかなければいけません。
みなさんも手探りの状態で、ChatGPTをビジネスにどう活かすかを考えているかもしれませんね。
 

私もそのうちの一人です。
ChatGPTの導入案件に携わる機会が増えたこともあり、一体どのようにChatGPTを活用しようか日々考えています。そして、考えが自分の中である程度まとまったので記事にしてみました!
 

そこで、この記事では、どのようにChatGPTをビジネスで活かすべきなのか、この場を借りてお伝えできればと思います。
 

よろしくお願いします!
 

2. ChatGPTとは何か

ご存知だと思いますが、ChatGPTについて説明させてください。
ChatGPTは人間のような自然な会話ができるAIチャットサービスのことです。ChatGPTは情報を検索し、要約し、さらにはアドバイスを提供するなど、幅広いタスクに応用することができます。
 

しかし、あまりにも様々なことに応用できてしまうため、ChatGPTを使うこと自体が目的となってしまい、本当にビジネスにおいて効果のある使い方ができていないかもしれません。
 

確かに、ChatGPTはとても魅力的なツールで、とにかく導入してみることで新しい使い方を理解し探求することができ非常に有用です。
新しい技術を使って仕事をすることでワクワクして仕事のモチベにもつながるかもしれませんね。
 

しかし、その上で、ビジネスにおいて効果のある使い方ができれば、社内で生じる様々な問題を解決し、目に見えるほどの業務の改善に繋がり、生産性の向上をもたらしてくれるかもしれません。そんな可能性がChatGPTに秘められていると私は思っています。
 

それでは、ビジネスでChatGPTを活かすにはどうすればいいでしょうか。
そのためにはビジネスの問題がどのようにして生じるのかその原因を突き止める必要があります。
 

結論から先に申し上げると、その原因は意思決定にありました。
そのことについて見ていきましょう。
 

3. ビジネスにおける問題は意思決定プロセスにある

ビジネスにおける問題は意思決定にあると私は思っています。
(これはデータドリブン思考でも語られていることで今回の記事で参考にさせていただきました。)
 

私たちは1日に何千回と意思決定を行なっているようです。
例えば、歯磨きをしている時も、顔を洗っている時も、ご飯を食べている時も、通勤する時も、スマホを手に取るときも、意思決定をしています。
 

当然、会社でも、いろんな意思決定をしていますよね。どの優先度でタスクをやるか。どうやって上司に報告しよう、どんなプレゼンをしようなどなど。
全て意思決定なしではできないことです。
 

そう考えると、業務は意思決定の連続で構成されていると見ることができるかもしれません。
このことが事実とすると、意思決定がまずいと業務にどのような影響を及ぼしてしまうのでしょうか?
2つの観点から見ていきましょう。
 

3.1 質の悪い判断による影響

ビジネスは個々の意思決定が連続して組み合わさって成り立っています。
質の悪い判断が続いてしまうと、その影響がビジネス全体に波及してしまいます。
 

例えば、スーパーなどでの需要予測では、予測の精度が悪ければ無駄に商品を仕入れてしまい、在庫が余ってしまい不利益に繋がってしまうかもしれません。
 

また、プロジェクトにおいて、マネージャーの誤った判断で、プロジェクトのタスクや目標を優先順位付せずに、重要度の高いタスクを無理してプロジェクトを進めたり、リスクを過小評価して適切なリスク管理策を講じたりしない場合、プロジェクトで問題が生じてしまいます。
そして結果的に、計画のプロジェクトの遅延や、余計な工数がかかってしまい損失に繋げてしまうかもしれません。
 

このような質の悪い意思決定の例を挙げるとキリがありませんが、質の悪い判断はビジネス全体に大きな影響を与えてしまう可能性が非常に高いのです。
 

3.2 遅い判断による影響

さらに、意思決定の速度は、競争力と生産性に大きな影響を与えます。
迅速な意思決定によって、市場の変化に対応し、ビジネスチャンスを逃さないことが可能です。
また、適切な情報を迅速に収集し、迅速に判断を下すことで、生産性が向上し、競争優位を確立できるでしょう。
 

例えば、市場の変化に対応した製品を企画するために、迅速に意思決定を行わなければ、ビジネスチャンスを逃すことに繋がってしまいます。
また、日常の業務でも、迅速な意思決定ができなければ、作業が進まず生産性を低下させることにつながるでしょう。
 

以上を踏まえると、質の悪い判断や、遅い判断によって、さまざまなビジネス上の問題が生じるのを想像することは難しくないと思います。
 

このようにChatGPTの能力はビジネスの意思決定において重要な役割を果たし、課題を明確に理解し、効果的な戦略を構築するための強力なツールとなることが期待されます。
 

4. ChatGPTは意思決定プロセスの改善に使用すべき

ビジネスで生じる問題が意思決定によるものであるとすれば、ChatGPTをビジネスで活かすには意思決定の改善に役立てるのが良いのではないかと私は思います。
 

問題となるのが、はたしてChatGPTは意思決定の改善に役に立つのかどうかです。
この問題に答える前に、一度意思決定ついて、もう少し分析しておきましょう。
 

私たちはどのように意思決定を行なっているでしょうか。
例えば、お腹が空いてどこかお店を探している状況を考えてみます。
あなたは、ネットでお店を探すかもしれませんし、行ったことがあるお店を候補に挙げるかもしれません。
これが選択肢を集める段階です。
 

そして次に、それぞれのお店の情報である、お店の料理の値段や、見た目や、立地や、提供している料理の種類などを調べます。
 

そこから、自分の気分やお財布の事情などの、何らかの自分の持っている基準に従って選択肢の中からお店を選択すると思います。
このように私たちは意思決定を行なっているはずです。
その他、多くのサイトの中からタイトルをクリックしてこの記事にたどり着いたのも、多くの選択肢の中から、キーワードによって選択肢を絞り、あなたの価値観によって選択したはずです。
 

もう一つ、業務における例を挙げてみましょう。
例えば、製造ラインにおいて、製品が故障しているものを見つける機械があるとしましょう。
この機械では、これまでのデータ分析によって、製品が故障するとき、製品の重さが10キロ以上であれば故障した製品であると判別できるようになっています。
そして、その機械は多くの製品の選択肢の中から、一つ一つ製品の重さを測り、手掛かりを集めます。そうして得られた重さを基にして、10キロ以上であれば異常であるという選択基準を基に故障した製品の判別を行います。
 

これも今までの例と同じような意思決定を行なっていますね。
 

さて、今までの例から意思決定の流れを一般化すると次のようになります。
「選択肢を集める→手掛かりや情報を得る→選択基準に基づいて選択をする」
この流れは様々な意思決定で適用できるのです。これを意思決定プロセスと呼ぶことにします。
 

つまり、意思決定プロセスを構成している、3つのの手順のどれかに対して支援できるのであれば、ChatGPTは意思決定の改善に役立つといえそうです。
 

実は、どの手順においてもChatGPTは支援できるのです。その根拠として「選択肢の観点」「手掛かり付与の観点」「選択基準改善の観点」で説明していきましょう。
 

4.1 選択肢の観点

ChatGPTは選択肢の生成と絞り込みに大きく貢献します。
 

まずは、選択肢の生成について見ていきましょう。
選択肢の生成によって、私たちは選択肢の候補がなかった状態から選択肢を手に入れることができるので、意思決定を速く行うことができます。
 

例えば、コーディング作業では、PythonでのPDFを読み込みたい場合、何を使ったらいいか分かりません。その場合、ChatGPTに「PythonでPDFを読み込む方法を教えてください」と質問すれば瞬時に答えを出してくれるのです。
 

また、デザイン企画の例では、いろんなアイデアを出さなければいけないかもしれません。アイデアがどうしても思いつかない時にChatGPTにアイデア出しを手伝ってもらい、選択肢を生成させることが可能でしょう。
 

これによって私たちが調べたり考えたりする手間が省けます。
 

次に、選択肢の絞り込みについて見てみましょう。
選択肢の絞り込みによって、多くの選択肢の中からいくつかの選択肢に絞ってくれます。
選択肢を絞り込むことによって、少ない選択肢の中から選べば良いので意思決定が迅速になります。
もちろん、一つに絞り込めるようなものであれば、選択肢を選ぶ必要はないので、とても効率が良くなります。
 

例えば、粗大ゴミの収集では分類によって価格が大きく変わってきます。
たくさんの分類の中から、自分が処分したい粗大ゴミの分類を絞り込まなければいけません。
そんな時に、ChatGPTに「粗大ゴミの分別の種類」と質問をすれば、的確な分類を教えてくれるでしょう。もちろん自治体によって分類は異なるのですが、自治体ごとの分別に特化したChatGPTがあれば、選択肢の絞り込みに貢献をすることが可能になります。
 

以上のように選択肢を生成または絞り込むことによって、意思決定の効率化につながるのです。特に、答えが一つに決まっているような、選択肢が1つに絞り込めるようなタスクは意思決定の迅速化につながるので効果が出やすい適用領域だと私は思っています。
次の2つの観点は使い手のスキルに大きく依存するため、適用の難易度がやや上がると考えています。
 

4.2 手掛かり付与の観点

手掛かり付与の観点でのChatGPTの意思決定支援を見ていきましょう。
 

選択肢がある状態で、ChatGPTに多角的な情報の提示や、整理された情報、あるいは手掛かりとなっている情報を整理してもらうことによって、
様々な観点から選択肢を眺めることができるので、意思決定の質の向上や、迅速な意思決定につながるでしょう。
 

例えば、クラウドサービスAとBのどちらかを選ばなければいけないケースを考えましょう。全く情報がない中で、ChatGPTによって、「コスト」「性能」「精度」「保守性」「拡張性」など様々な観点から情報を得ることができるでしょう。さらにChatGPTは簡潔に情報をまとめてくれるので、ネットで調べるよりも速く情報得て、整理することができます。
多くの情報があることで、情報の欠如によって誤った意思決定に繋がらないため、意思決定の質の向上にもつながるでしょう。
また、意思決定者の選択の基準が「コストが安く性能がいいもの」と決まっているような場合は、ChatGPTに選択の基準を伝えることによって、AサービスとBサービスのどちらが良いかを提示してくれるかもしれません。その場合、意思決定の迅速化に貢献してくれるでしょう。
 

このように、ChatGPTに選択肢を選ぶために必要な手掛かりを付与してもらうことによって、意思決定者は迅速にそして質の良い意思決定を可能にすることができるでしょう。
 

4.3 選択基準改善の観点

次に選択基準改善の観点でChatGPTの意思決定支援を見ていきましょう。
 

選択基準は選択肢の中から、意思決定するために必要な基準です。これは価値観や考え方などに大きく依存します。
例えば、「コスパの良いものを選ぶ」「リスクが低いものを選ぶ」「自分の利益を最大にしてくれるものを選ぶ」などです。
私たちの選択基準は必ずしも合っている保証はありませんし、状況の変化や、利害関係者が多くなれば、選択基準を変えていかなければいけません。
ChatGPTはこのような選択基準に対して、状況に応じた最適な選択基準の提示や、他の選択基準との比較や、現状の選択基準を整理し明確化してもらうことで、選択基準の改善を行い質の向上に貢献します。
選択基準の質を向上することによって、高精度な意思決定に貢献するでしょう。
 

例えば、小売業の会社の販売戦略を担当している社員がいるとしましょう。
この場合、新商品の価格設定の選択基準として「利益最大化を目指すために競合他社の商品の価格よりも低く設定する」と考えているとしましょう
この時、戦略担当者は、この選択基準を改善できないかと考え、ChatGPTに「他の選択基準は考えられないでしょうか」と質問したとすると、価格設定の選択基準として「価値ベースの価格設定」「差別化価格設定」「導入価格設定」など様々な価格設定の選択基準の知見を得られる可能性があります。
このように別の選択基準を提示してもらうことで、意思決定の質の向上に繋がる可能性があります。
 

ただし、たしかにこのような使い方ができるのですが、個人のスキルに依存する部分が大きいでしょう。この観点をメインにChatGPTを使って意思決定を改善しようとするのは難易度が高いと私は思います。
逆に言えば、難易度が高いからこそ、選択基準の改善の観点でChatGPTを活用したサービスがあれば価値を生み出せるかもしれません。
 

5.おわりに

「選択肢の観点」「手掛かり付与の観点」「選択基準の改善の観点」3つの観点からChatGPTは意思決定を支援できることを述べました。
意思決定プロセスは、記事中で説明したようにビジネス上の課題を生み出している大きな原因になっています。そのため、意思決定プロセスを改善することによって、ビジネス上の問題を解決し、大きな利益に繋げることが可能になると私は考えます。
 

以上より、ChatGPTをビジネスに活かすなら、意思決定を改善に使用するべきであると私は考えています。
 

みなさんも、ぜひこの観点でビジネスに活かせるかを考えて見てはいかがでしょうか。


私なりにChatGPTの使い方について考えてみました。私はこれで満足しているわけではありません。もっといいChatGPT使い方ができるのではないか、まだ考えている途中です。
また考えを整理できたら投稿したいと思います。
 

同時に、ぜひみなさんと一緒に考えることで、ChatGPTとは何かの答えを出し
より良いサービスを作り出していきたいと思っています。