RPAの教育の在り方について

こんにちは。スマートテクノロジーオフィスの吉田です。
最近は、RPA導入支援、内製化支援、RPAやAI案件の開発マネージメント、RPAセミナー講師などを担当しています。

本日はRPAにおける教育の在り方について考えてみたいと思います。

一言で教育と言っても、例えば推進部門でRPA導入スケジュールや業務担当者との調整を担当する方や、情報システム部門でインフラを担当する方や、現場で自動化ロボットを作成する方、またそれらを全ておひとりで担当されている方などいろいろな方がいらっしゃると思います。

本記事では、自動化ロボットを作成する方(ロボット開発者)、特にプログラミング経験のない現場の業務担当者の方向けの教育を対象とします。

ロボット開発者の現状

  • 「RPAはノンプログラミングツールなので、業務担当者でも簡単に業務を自動化できる」
  • 「プログラミング未経験者でも、外部の研修を受講することで業務を自動化するスキルが身につけられる」
  • 「AIと違って、RPAは100%正確に動作し、システム開発を行うよりも、短期間で構築でき、投資対効果も出やすい」
  • 「ベンダーやSIerに開発を委託しなくても、自社でRPAを構築し、業務を自動化することができる(内製化)」

RPAに関するイベントやセミナーなどで、このような話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。これはRPAのセールストークとしてよく語られることでありますが、実際に現場でロボットを開発されている方と会話すると、以下のような声をよく聞きます。

  • 「ベンダーがデモで見せるレベルの作業であれば、プログラミングの知識はいらないかもしれないが、実業務を自動化するには変数や関数、分岐処理、反復処理といった制御構造も使わなければならず、簡単ではないことも多い」
  • 「以前受けたRPA研修は、RPA開発ツールの使い方を学ぶ研修で、業務整理や、業務フロー図作成などを学ぶことができず、実業務では、業務整理にかなり苦労した。」
  • 「エラーで止まっても良い、なにかあれば手動オペレーションに戻してよい業務であれば、作りこみを減らして素早く構築することができるが、重要な業務で、エラーは許されないものであれば、短期間では構築できない」
  • 「内製化はつらい。RPAの専任担当であれば良いが、通常業務の合間にRPAを構築するのは大変。困ったときに相談できる人が欲しい。このやり方でいいのか迷った時に相談できないと不安になる」

最近では、導入推進、教育推進をされている方から、内製化がうまくいっておらず、どのように進めるのがよいのかと相談される機会も増えています。ベンダー側や推進担当の抱いている理想と、現場の担当者が感じている現実とのギャップがあるように思います。このギャップがなぜ生まれているのか、どのようにすればギャップを埋めることができるのかを考えてみたいと思います。

RPAはノンプログラミングツールなので、業務担当者でも簡単に業務を自動化できる?

現場担当者の声:「ベンダーがデモで見せるレベルの作業であれば、プログラミングの知識はいらないかもしれないが、実業務を自動化するには変数や関数、分岐処理、反復処理といった制御構造も使わなければならず、簡単ではないことも多い」

例えば、「システムからデータをダウンロードする」、「毎日決まった情報を登録する」、「指定したフォルダをバックアップコピーする」といった単純な業務であれば、プログラミング知識がなくても自動化は可能な場合が多いです。

一方で、「Excelの一覧表を元にシステムに1件ずつ情報を登録する」といった業務の場合、反復処理を行う必要がありますし、Excelの入力データに不備があった場合、ユーザーに通知するなどの分岐処理が含まれます。また、システムからダウンロードしたデータを加工するなどの演算処理が含まれる場合は、変数の概念も出てきてしまいます。そして多くの業務はこちらに該当します。

つまり「プログラミング言語による開発ほど難易度は高くないが、それでも変数や制御構文の概念については、理解する必要がある」ということではないでしょうか。

そしてそれらを学ぶ場が少ないように思います。外部のRPA研修においても、ツールの使い方がメインで、変数や制御構文について時間をとって説明をしているケースは多くないのではないかと思います。結果として、プログラミング未経験のロボット開発者は変数や制御構文といった概念に対して、苦手意識をもっている人が一定数いるのではないかと考えています。これらは、変数や制御構文の概念を学べる入門者向けのRPA研修があれば、苦手意識を持たずに自動化できるのではないでしょうか。

弊社では、現場担当者の方にこうした概念に対して苦手意識を持たず、前向きにRPA開発をしていただくために、変数や制御構文の概念をしっかり学べる研修を2019年10月より提供することとしました。詳細は後述します。

プログラミング未経験者でも、外部の研修を受講することで業務を自動化するスキルが身につけられる?

現場担当者の声:「以前受けたRPA研修は、RPA開発ツールの使い方を学ぶ研修で、業務整理や、業務フロー図作成などを学ぶことができず、実業務では、業務整理にかなり苦労した。」

RPA研修の多くは、ツールの操作方法の説明、操作演習に終始することが多いと感じています。業務整理手法や、業務フロー図の書き方を学ぶRPA研修は少なく、研修を受けてツールの使い方はなんとなく理解したが、いざ自部門の業務の自動化をしようとしても、どこから手を付けていいかわからず、結局進まない。というケースも一定数あるのではないでしょうか。

RPAで一番難しいのは、業務整理や業務フローの見直しだとも言われています。その作業を省略すると、本来はRPA化に向いていない業務手順のまま自動化してしまったり、考慮漏れのケースが噴出して、つぎはぎだらけの安定しないロボットになってしまいます。

業務フロー図作成方法を学ぶには集合研修が適しています。ただし、業務フローの見直しなどは業務によって最適解が異なりますので、研修受講後に専門家のサポート、質問相談ができる体制を作ることも重要であると考えています。

「AIと違って、RPAは100%正確に動作し、システム開発を行うよりも、短期間で構築でき、投資対効果も出やすい」

現場担当者の声:「エラーで止まっても良い、なにかあれば手動オペレーションに戻してよい業務であれば、作りこみを減らして素早く構築することができるが、重要な業務で、エラーは許されないものであれば、短期間では構築できない」

本来は、業務によって優先するものは異なるはずで、効率スピード重視の場合もあれば、安定性重視の場合もあるはずです。また構築の難易度も業務によって異なります。業務を棚卸しする際に、削減見込み時間や構築難易度によって、自動化要否、優先順位を決めるということは多くの企業で実施されていると思いますが、その業務が重要な業務で、エラーは許されないものであるならば、しっかりと時間をかけてテスト、作りこみを行い、エラーを排除する必要があることを考慮に入れる必要があります。

企業によっては、難易度の低い業務、効率スピード重視の業務は現場担当者で自動化し、難易度の高い業務、エラーが許されない業務はIT部門や外部委託にて自動化するなど、明確に分業体制を敷いているところもあります。なぜなら、エラー制御やリトライ処理の作りこみ、安定するロボットの構築には、一定のノウハウや知識が必要になるからです。RPAはまだ発展途上であり、自己流でやっている方も多く、専門家から安定するロボットの構築方法を研修やOJTで学ぶことは意義があると思います。

「ベンダーやSIerに開発を委託しなくても、自社でRPAを構築し、業務を自動化することができる(内製化)」

現場担当者の声:「内製化はつらい。RPAの専任担当であれば良いが、通常業務の合間にRPAを構築するのは大変。困ったときに相談できる人が欲しい。このやり方でいいのか迷った時に相談できないと不安になる」

現場部門主導での内製化を成功させるためには、標準化と教育とがカギであると思っています。

自立的に内製化が回りだすためには、開発規約、運用規約が整備されており、承認プロセスやレビュープロセスが確立していることが必要です。効率的に開発できるようになるには、エラー発生時の作りこみや人によって品質が異なることを防ぐためのロボットテンプレートの提供や、同一システムに対する個別の作りこみをなくすための共通部品の充足などが重要です。

と文章で表現するのは簡単ですが、これらを整備するにはかなりの体力が必要です。自社で内製化で作るよりも、ベンダーの持っているノウハウや標準化資料、部品をベースに、自社向けにカスタマイズするのが良いと思っています。

一方で、これも「大規模展開を前提にした場合はそうかもしれないが、うちは標準化まで行うつもりがない」企業もあると思います。

その場合、より重要になってくるのは教育です。

変数や制御構文、基本的な業務整理手法、ツールの使い方を学ぶ研修を受けることで、多くの場合RPA開発を進めることができますが、いざ自動化を進めていくと、わからないこと、不安なことがどうしても出てきます。社内で問合せ回答できる体制があれば、それが一番理想ですが、有識者がいないのであれば、ベンダーのテクニカルサポートなどを活用することも必要なのではないかと思っています。多くの企業でサポートなしで内製化を進めようとした結果、現場が疲弊し、モチベーションが消えてしまい、賛同を得られず凍結するケース、うまく進まないケースが増えてきています。教育の在り方について、見直しをする時期に来たのではないでしょうか。

RPA教育の理想と現実について考察してみました。

前半で少し触れましたが、当社でもRPA研修、教育サービスを提供しております。
当社はUiPath社の認定リセラーであり、トレーニング・アソシエイトです。
本記事内で綴った想いから、この度「速習プログラム」というプログラミング経験のない方向けのUiPath入門研修の提供を開始しました。
そのほか、開発経験者向けの研修、より応用的な自動化ノウハウを学びたい方など、レベルに合わせた研修コースをご用意しております。

クレスコのRPAオーダー研修

研修受講後、テクニカルサポートや、導入コンサルティングなどのご支援を行うことも可能です。
もし詳細を聞いてみたいという方がいらっしゃいましたら、上記リンクよりお気軽にお問い合わせいただければと思います。
最後になりますが、PoCや部門での試験導入が終わり、スケールアップを考えている企業も増えてきた中で、もう一度RPA教育の在り方について再検討するきっかけになればと思います。

クレスコのRPAセミナー

クレスコではAIやRPAをテーマとした技術セミナーを定期的に開催しています。現役エンジニアが実践的なノウハウを提供します。ぜひご活用ください。

◆受講者の声
[無料セミナー]RPA導入ファーストステップ
「UiPathのデモ、各ツールの比較が分かりやすく有益と感じた。」
「RPA導入で種々の問題点があるので、”つまずき”の部分が参考になった。」

[オーダー研修]RPA/UiPathハンズオン
「今まで迷ったところや分からなかったところがすべて判明した爽快感がありました。もっと早く受けたかったです。」
「RPA導入新任者向け研修として最適。今後、当社のRPA開発者向け研修として活用させていただく事を検討します。」


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