リモートで Fun Done Learn ふりかえりをやってみた

こんにちは。ディベロップメントテクノロジーセンターのあかみーです。
前回、様々なふりかえりの手法について記事を書かせていただきました。そしてそちらに手法の一つとして書かせていただいた 「Fun Done Learn」 を用いたふりかえりを、とある案件で実施させていただきました。(私はファシリテーターとして参加させていただきました。)
このふりかえりは、新型コロナウイルスの影響で、メンバー全員がリモートワークでの開催となりました。今回はリモートワークの状況下でのふりかえり実施について書かせていただきます。

とある案件からのふりかえり開催の依頼

ある日、社内のとある案件でふりかえりを実施するにあたり、ファシリテーターをお願いしたいとの依頼をいただきました。依頼をいただいた案件の概要と、依頼内容はこのようなものでした。

  • 依頼概要:アジャイル開発ではないが、これまでのふりかえりを実施したい
  • 案件の期間:約2ヶ月間
  • 案件の内容:アーキテクチャの設計、開発ガイドの作成
  • メンバー: 8名
  • 案件内の役割:アーキテクチャの設計や開発ガイド作成、技術的な問い合わせに対して調査、回答し技術支援を行う
  • 案件の状況:期間中はメンバー全員リモートワークを実施(1回もメンバーが直接集まったことはなし)
  • ふりかえりの目的:案件の取り組みの中での成功体験を認識し、今後も継続したいことを見つけたい

この案件のふりかえりを実施するにあたり、どのように振り返りを実施するかの検討を行いました。

どうやってふりかえりを実施するか

依頼をもとに、どのようにふりかえりを実施するかを検討してみました。今回は、以下について検討を行いました。

  1. 成功体験を認識できるふりかえりを実施する
  2. 参加者全員リモートでの実施のため、同時編集ができるツールを使用する

成功体験を認識できるふりかえりを実施する

成功体験を認識できるようなふりかえりを実施するには、様々な振り返りの手法の中でどの手法を用いるのが良いかを検討してみました。「ふりかえり」といえばKPT (Keep, Problem, Try) が用いられることがわりと多い印象があります。しかしこの手法だと、これまでの経験上、P (Problem問題点や課題) に目が行きがちになるという傾向があり、成功体験を認識するという目的には適切ではないと思いました。では、成功体験を認識するにはどうするか検討したところ、「Fun Done Learn」を用いてふりかえりを行うのが良いのではないかと考えました。

Fun Done Learnって?

チームが行ったことをFun、Done、Learnという3つの領域を示す円がそれぞれ交わるように、以下のように描きます。

ぞれぞれの項目には以下のような事実や感情を書き出していきます。

  • Fun: 楽しかったこと
  • Done: 完了したこと
  • Learn: 学んだこと

これらを書き出して、チームで共有する際に、それぞれ項目の意味について疑問が生じたり、人によっては捉え方が異なっていた場合は、チームで議論して認識を揃えていきます。

参加者全員リモートでの実施のため、同時編集ができるツールを使用する

Fun Done Learn でふりかえりを行うためには、各メンバーが Fun, Done, Learn を書き出すためのツールが必要となります。メンバーが実際に集まってふりかえりを行う場合は、ホワイトボードや付箋紙などを使用して実施できますが、今回は、参加者全員がリモートということで、オンライン上で参加者全員が同時に閲覧・編集ができるツールが必要でした。オンライン上で利用できるツールは色々ありますが、今回の振り返りでは、Jamboardというツールを使用して実施することにしました。

Jamboardって?

Googleが提供している電子ホワイトボード機能を持つアプリケーションです。付箋メモを書いて貼ったり、手書きメモや、ラインマーカーを引いたり、画像の挿入、レーザーポインタ機能で参照などを行うことができます。複数人で同時編集も可能で、リアルタイムで更新を見ることができます。

ふりかえりの流れを検討

今回のふりかえりは以下の流れで行うようにしました。

実施時間:1時間
参加者:ファシリテーター2名、 とある案件のメンバー5名

  1. メンバーに振り返りの目的を説明
  2. Jamboard の使い方を説明(参加者全員、Jamboard の使用は初めてのため)
  3. Fun, Done, Learn の説明
  4. チェックインの実施
  5. 各メンバーで Fun, Done, Learn を書き出す
  6. 書き出した内容について共有
  7. 書き出した内容の中から成功体験、今後も継続して取り組んで行きたいことを数個挙げる

「4. チェックインの実施」は、Fun, Done, Lean で実際にふりかえりを行う前に、参加者全員が発言する場をつくり、ふりかえりの場で誰でも発言しやすい環境を作るために実施しました。チェックインもふりかえり手法の一つです。(前回執筆したエンジニアブログでこちらの手法についても紹介させていただいています。)
今回のチェックインでは、「ふりかえりを行うにあたり、オノマトペ(ドキドキ、ワクワクなど)で気持ちを表現してください」という内容で行いました。参加者にはJamboardにそれぞれの気持ちについて書き出してもらい、書いた気持ちについて共有していただきました。

いざ、ふりかえり実施!

様々な準備を行い、実際に振り返りを実施しました。事前に設定していた流れに沿って、ファシリテーターがふりかえりの進行を行いました。ふりかえりの目的、Jambord説明後、チェックインを行いました。今回のチェックインでは、参加者(ファシリテーター含む)がふりかえり実施時の現在の心境をJamboardにペタペタと以下のように貼っていただきました。

チェックインで貼ってもらった付箋の内容については、参加者に簡単に説明してもらい、どんな心境(状況)でふりかえりに参加しているかを共有していただきました。チェックインを行い、場を暖めた後は、いよいよFun, Done, Learnでのふりかえりの実施です。ふりかえりは以下のような流れで行いました。

  1. 各メンバーで Fun, Done, Learn に関して Jamboard の付箋に書き出して貼ってもらう (約5分)
  2. Jamboard に貼り付けた内容について各メンバーが説明して共有する(約10〜15分)
  3. 貼ってもらった内容の中から、更に今後も継続して取り組んで行きたいことをメンバー皆で相談して決める(5〜10分)

Fun, Done, Learnを用いたふりかえりを行った結果、以下のように様々な成功体験が挙げられ、更にその中から今後も継続して取り組んでいきたいことを複数挙げることができました。

チェックインで各メンバーが発言してから、Fun, Done, Learn のふりかえりを行ったことで、各メンバーも気軽に発言しつつ、ふりかえりを行うことができていたようでした。また、Fun, Done, Learn を各メンバーで書き出した後、書き出した内容を皆で共有している際に「こんな Learn もあった!」と更に気づきを得てLearnを追加するといったこともあり、より多くの成功体験を挙げることができました。そしてこれまでの取り組みに対するふりかえりだけでなく、今後の取り組みに関する事についても話し合う事ができ、とても盛り上がっていました。

実施してみた感想

私自身、リモートでの振り返りの実施は初めてでした。正直、実施する前は、リモート状況下ではメンバー揃って対面で行うよりも、発言が少なかったり、ふりかえりに関する議論がしづらい状況になってしまうのではと不安ではありました。しかし、ファシリテーターがふりかえりの進行を行い、チェックインや Fun, Done, Learn 実施時に各メンバーへの発言を促したことで、多くの成功体験を挙げたり、今後継続していきたいことを複数挙げることができ、充実したふりかえりを実施することができました。リモートでのふりかえりを実施する場合、ファシリテーターの存在が大事だと思いました。(ふりかえりに限らず、リモートでの会議をスムーズに行うためにはファシリテーターの存在は大事かもしれません。)
今回はFun, Done, Learnを行うためにJamboardを使用しましたが、その他の手法を用いてふりかえりを行う際にもこのツールは十分活用できそうです。

また、今回のふりかえりはファシリテーター、参加者共にほぼ全員がリモート開催でのふりかえり参加は初めてでした。Fun, Done, Learn によるふりかえりも初めてという方々も多く、参加していただいたメンバーにはふりかえりの感想をいただきました。いただいた感想を一部抜粋して紹介させていただきます。

  • 一人で考えているときはできなかったことにフォーカスがあたり、ネガティブな意見が頭を占めたが、Fun Done Learnによるふりかえりでポジティブな意見を見ることでプロジェクトを通じて得られたものが小さくなかったという気づきが得られた。
  • 正直タフな案件だったので、振返り会を始めるときは嫌な気持ちだった。が、実際に 進めるうちに、前向きな気持ちになれたし、今後続けていくと良いことが明確になった。
  • 実施することで少なからず前向きにはなれた。
  • けっこうキツい案件なのでネガティブな気持ちで臨んだが、プラスの気持ちになれた。

まだまだ新型コロナウイルスの影響で、リモートワークを行っている方々は多いと思います。そんな状況でも様々な工夫をすることでふりかえりを行うことは可能です。皆様もぜひトライしてみてください!

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