こんにちは、特派員のI.Mです。
先日(9/25~29)ラスベガスで開催されたSAPカンファレンスである、SAP TechEd(テックエド)2017 に参加してきましたので、レポートをしたいと思います。
先日別の SAP イベント「SAPPHIRE NOW」について簡単にご紹介しました(SAP Leonardoの記事)。
「SAPPHIRE NOW」はユーザー向けのイベントですが、「TechEd」は「Technology & Education」の略で、技術者寄りのイベントとなります。
日程は5日間ですが、初日25日(月)は現地のユーザー会である ASUG (American SAP Users’ Group) によるプレカンファレンスや、出展パートナー企業 (Exhibitor) によるセッションが主となります。
本番は2日目からで、朝9時から SAP の CTO 且つ副社長 (vice-president) のビヨン・ゲルケ (Björn Goerke) の基調講演があり、その後は各日18時過ぎまで(最終日29日は午前まで)1300を超えるレクチャー、ハンズオン、ロードマップセッションなどが開催されます。
各セッションは、今年は以下の 5つのテーマに分類されます。
- DX (Engage): Design Thinking, UX 関連
- ANA (Know): Analytics 関連
- S4H (Run): S/4HANA 関連
- CPL (Transform): SAP Cloud Platform, Leonardo 関連
- HBD (Unlock big data): HANA, Big Data 関連
参加者はあらかじめ公開されたセッションカタログから上記テーマやセッションのレベル(難易度)、関連するSAP製品、プログラミング言語、関連職種やキーワード、開催日時で絞り込んで受けたいセッションを選び、スケジュールする必要があります。
ビヨン・ゲルケはSFファンで、毎年凝った演出で基調講演を盛り上げます。
2015年は映画「オデッセイ」(原題:The Martian)でマット・デイモンが火星で生き残るためにおこなった数々の奮闘になぞらえて、データ収集から視覚化、ダッシュボード作成、セキュリティ対策、予測モデルの作成、機械故障の予測、IoTセンサーデータの診断など IoT やデータ分析のソリューションを小一時間で一人で実施してみせました。
2016年は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンに乗って登場し、SAP の Cloud Platform (当時は SAP HANA Cloud Platform) でアプリケーション開発をおこない、太陽電池パネルの電力データを回収した体で、2036年に戻るというシナリオでした。
2017年は有名なSFドラマ「スター・トレック」のカーク船長になって、「Kobayashi-Maru」という非常に難易度の高い(必ず死ぬ)訓練シミュレーションのシナリオに現在の企業は直面していて、それをクリアするには大きな変化が必要だ、と説いていました。また、各乗組員(ミスター・スポックは女性!)に報告させる形で IoT や機械学習などのデモをおこないました。
(余談ですが、スタートレック原作では、「Kobayashi Maru」のシナリオをクリアするためカーク船長はシミュレーション用のプログラムを書き換えています)
大きな変化、つまり「Digital Transformation」のため、SAP は3つのポイントを強調しています。
- データの扱い
企業のデータ、ビッグデータを問わずシームレスにデータを扱うことができる。 - クラウドネイティブ
既存ビジネスの拡張や新しいアプリケーションにクラウドを活用するための手段の提供、
SAP のデータセンターに留まらず、AWS や Google などの IaaS プロバイダの活用(マルチクラウド) - オープンプラットフォーム(開発ツール)
Open API initiative(RESTful API の記述に関する標準化団体)に参加し、各種 SDK の公開、
サードパーティ(Mendix社)の開発ツールの採用など
私は DX や CPL のテーマでハンズオンを中心に受講したのですが、参加している人は何かを持ち帰ろうと非常に意欲的に参加しており、質問もバンバン飛び交う状況でした(~$3,000 もの参加費の元を取るためには当然ですよね^^;)。
ツワモノではハンズオンを早く終わらせることで、空き時間を作って他のセッションも受講する人もいて、圧倒されます。
私は英語が苦手なので、事前にテキストを読み込んでいってもテキスト以外の話について行くのがやっとで、英会話の必要性を思い知らされました。
AM7:00開場後フルーツやパンなどの軽食、昼食は Sands Expo(めちゃくちゃ広い)というスペースでフリーランチ、2時過ぎにはフリードリンク(コーヒーや炭酸飲料)とお菓子、お水(買うと高い!)は飲み放題という至れり尽くせりの環境で、朝早くから(一番最初のセッションは AM8:00~)勉強し、定時後はパーティで楽しむ!(26日にレセプションパーティ、28日に After Hour Party という SAP 主催のパーティがありました)それが、カンファレンスの醍醐味のようです。
何なら水曜日の早朝、ラスベガス市街で 5Kのファンランなど健康的な催しもあります。これも参加枠が一杯になっており、技術者の健康的生活に対する考え方について欧米人との違いを思い知らされますね。
SAP TechEd は10月にインド・バンガロール、11月にスペイン・バルセロナでも開催されますが、ラスベガスはその年で最初の実施で規模も最大です。
参加前は、「情報収集なら今時日本でも可能なのに、現地に行く意味はあるのだろうか」と懐疑的でしたが、参加してみてその熱に触れ、焦りを感じるとともに、非常に刺激的な体験となりました。