生成AIビジネス変革研究室は、クレスコグループにおけるAI技術の適切な活用と、将来の展開を⾒据えた戦略的取り組みを行う基盤として、2024年7月に社長直轄の部門横断組織として設立されました。
AIに関する深い洞察や分析を行い、最新のAI技術の潜在力を最大限に引き出すことで、現在の開発業務を効率化するだけでなく、将来的に起こりうる開発プロセスの変化を予測し、迅速に対応することを目指しています。
当研究室は、複数の部門や社内公募メンバーが関わり、中期経営計画2026で掲げるクレスコの成長戦略「技術・デジタルソリューションの拡張」と「デジタル変革実現」を推進する2つのチームで構成されています。また、当社と関わりの深い北海道大学の川村教授にアドバイザーとしてご支援をいただいています。
生成AIビジネス変革研究室 体制

ソフトウェア開発における品質と生産性の向上を目指し、要件定義や基本設計といった開発の上流工程を対象として、生成AIを効果的に活用する方法の検討・検証を行っています。
1.多様なLLMエージェントによるシステム設計支援フレームワークの構築
LLMエージェントを複数用意し、多様な特性を持たせ、それらが協調的に対話することで設計工程を支援するフレームワークを構築する取り組みを行っています。
人間はシステム設計書を提示するのみで特別な介入を行わずとも、「大規模な汎用モデル」「特定業務領域に特化した小規模モデル」「RAGを活用するモデル」などをバックエンドとするエージェント群がそれぞれの専門性や役割に応じた意見交換を行い、設計上の問題点や改善余地を指摘します。多様な複数のエージェントを用いることで、単独のエージェントを用いる場合よりもより高度に、システム設計工程の効率および成果物の品質向上が支援できるようになると考えています。
2.車載システム設計への生成AI適用
車載システム開発を対象として、社内の仮想プロジェクトにおいて、上流工程における生成AI活用設計の試行を行いました。この活動により、Automotive SPICEのプロセス参照モデルにおけるSYS.1~SYS.4工程で生成AIを活用し、人間の設計者の負担軽減に繋がる工程変革の実現性を検証しました。
車載システム開発における生成AI適用範囲と実施内容

クレスコでは、約500名の車載/組み込みエンジニアがお客様の製品開発をご支援しています。
詳しくはこちら:車載システム開発
3. 開発文書の品質評価
生成AIを用いて開発文書の品質を定量的に評価し、曖昧性を解消した文章に校正する取り組みを行っています。後続の工程に対する誤認を防止することで、開発品質の向上が期待できます。

上図のように、期待するアウトプットを生みだすことができるプロンプトや品質ガイドの策定を行いました。今後は開発プロジェクトへの適用に向けて、ノウハウの整備と社内展開を予定しています。
ソフトウェア開発における全ての工程に生成AIを活用し、品質と生産性の向上を実現することを目指し、ノウハウの整備・展開および開発プロジェクトへの適用を推進しています。
また、社員が生成AIを効果的に業務で利用できるように、人財教育と環境の整備を行っています。
1.AI駆動開発の推進
従来型の開発手法の一部に生成AIを用いる取り組みと同時に、システム開発の中で全面的に生成AIを活用する「AI駆動開発」を開始しています。
「AI駆動開発(AI-driven development)」とは、AI技術を活用してソフトウェア開発プロセス全体を効率化し、迅速に高品質なシステムを開発する手法です。具体的には、コードの自動生成、テストの自動化、要件定義の支援、デザイン提案などさまざまな分野でAIが関与します。
AI駆動開発は、従来の開発手法と比較して、以下の点で優れています。
生産性向上:
AIが多くの作業を支援または自動化するため、開発スピードが向上します。
品質向上:
AIはバグ検出やコードレビューを自動で行うことができるため、潜在的な問題を早期に発見し、修正することが可能です。
創造性の向上:
単純作業が減ることで、開発者はより創造的な業務に集中できます。
当社におけるAI駆動開発

上図のレベル2~3を「AI駆動開発」と定義し、当社独自の手法やプロセスをまとめた知的財産に「CRESCO AI-Driven Development」という名称を付け、現場プロジェクトへの適用を進めています。
2.生成AI時代に向けた人財育成
生成AIの活用があたり前となる時代に向けて、全社員が生成AIのリテラシーと実践スキルを身に付け、業務で活用できるよう、人財育成を進めています。
- 生成AIリテラシー向上
社員の生成AI利用リテラシーの向上を目指し、オリジナルのeラーニング教材「生成AIリテラシー講座」を作成し2024年6月にリリースしました。2024年度10月末時点で、95%以上の社員が受講を完了しています。
- 実践的なハンズオンで具体的な活用法を学習
各部署の業務内容に合わせて、より実践的なハンズオン講座を開催しています。2024年3月までの累計で、22部署以上を対象にハンズオン講座を開催しました。
3.生成AIを効率的に利用できる環境の整備
社員一人ひとりが生成AIをより効率的・積極的に活用できるよう、以下の環境を整備しています。
- セキュリティに配慮して利用できる、社員専用の生成AI環境を構築
Azure OpenAI Serviceを利用した当社社員向け生成AIチャットサービス「CrePT(クレプト)」を構築し、生成AIの利活用を推進しています。現在利用率は72%に達し、業務に生成AIを利用しています。
CrePTと同等の環境を構築するサービスを企業様向けに提供しています。
詳しくはこちら:生成AI環境構築サービス
- 社内情報検索の自動化
社内規定や業務マニュアルを参照し、社員からの問い合わせに生成AIが自動回答する「社内コンシェルジュサービス」を社内公開しています。当システムにより、社内情報の入手にかかる負荷を削減し、より高度な業務へ集中できる環境を整えています。
社内コンシェルジュサービスと同等の環境を構築するサービスを企業様向けに提供しています。
詳しくはこちら:RAG (検索拡張生成) によるチャットボットでの社内情報検索
- Microsoft 365 Copilotの導入
2025年度よりMicrosoft 365 Copilotを1,000ライセンス導入し、多くの社員が利用を開始します。Microsoft 365 Copilotは、既存のOfficeアプリケーションと統合され、ユーザーの作業をサポートする強力な生成AIツールです。このツールにより、議事録の自動生成や文書作成、データ分析、プレゼンテーション作成がより一層スムーズになり、業務の効率化を図ります。
クレスコグループのAI活用ノウハウを生かし、企業のDXやシステム構築をご支援しています。
当社のAI活用事例について詳しく知りたい方や、同様の環境の導入を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
生成AIビジネス変革研究室や関連ソリューションに関するお問い合わせ |
03-5769-8080
月~金(土日祝を除く)10:00~17:00