[2025年6月19日 時点]

 

2024年度の研究開発活動は、当社においては、過年度からの医療領域での高度な知識を有する医師たちとの共同研究で追究・検証し、さらに実用化へ向けた活動などを中心に行ってまいりました。継続中の研究テーマに加えて、数件の新研究テーマにも着手しております。医療領域で得られた知見を用いて産業への展開活動も行っております。AI技術による画像処理技術の研究テーマが多い状態が続いていますが、画像処理技術に続く研究テーマの柱の立ち上げに向けて体制を強化し、お客様のご要望にお応えする新たな研究テーマに着手することに取組んでおります。
研究開発のテーマとしては「先端技術に関する研究開発」「デジタルソリューションに関する研究開発」に大別されます。

1. 先端技術に関する研究開発

先端技術に関しては、眼科およびその他の医療科目における深層学習を用いた医大や医療機関との共同研究を複数(当連結会計年度の実績で11件)行っており、その成果を初となる海外の学会を含む眼科学会および情報処理系の学会にて発表してまいりました。これまで進めてきた画像診断だけでなく、問診票との組み合わせやガイドラインの参照などマルチモーダルな技術にも取り組んでおります。臨床の現場だけでなく、製薬会社の方々と創薬などへのサポートの取り組みも進めつつあります。研究成果の社会実装に向けて、医療系学会,医療機器業界団体との連携を進めております。
医療関連で培われた技術は、他の分野への応用も可能です。航空機エンジンなどに代表される大型で高度な産業機械に関しても、航空運送事業者とともに、点検・整備などの保守作業のIT技術によるサポート、そしてそれを通じた早期の故障検知や予測を目指して取り組んでいます。
当連結会計年度からは、昨今進展著しい大規模言語モデルの、ソフトウェア開発への応用にも取り組んでおります。慎重に検証を行いつつ、すぐにでも開発の現場に活かせる部分を見出していくとともに、大規模言語モデルならではの特性を活かしたより高度な応用方法の探索も進めております。
医療系を中心とした共同研究などを経て得られた成果やその周辺の技術は、分野を超えて、社会や、そして実ビジネスへの貢献しうるものであり、今後もこうした研究活動を続けてまいります。

2. デジタルソリューションに関する研究開発

先端技術に関する活動の結果を用いて、実ビジネスへの展開も継続して取り組んでおります。前節でも触れたように、学会や医療機器協会と協力して医療機関との共同研究の成果の実用化へ向けた活動を行っており、使いやすく見やすい形のGUIを搭載したデモシステムとして、眼科学会併設機器展示会場での学術展示をコンスタントに行っているのに加え、現在、認可取得に向けて、これを用いた治験のフェーズに入っています。このデモシステムは、我々の研究成果だけでなく、他の大学による研究成果の実用化のためのシステムとしても動いており、広く、医療へのIT活用のための研究の実用化に我々の活動が貢献しうることが示されつつあります。
航空機エンジン整備支援の共同研究の成果も、まだ試用段階ではありますが航空機エンジン内部検査ツールとしてまとめ、改良を行っています。検査ツールの実用化を進め、それより得られた検査記録をデータベース化し、整備士に負荷を掛けずにより精密な検査を可能にするとともに、今後は日々の検査で蓄積された情報と運航中に収集しているエンジンデータを融合させることで、不具合の発生を予測して事前に整備処置を行う予測整備へとつなげることを目指し活動を続けてまいります。