株主・投資家のみなさまへ [38期 期末]

株主・投資家のみなさまには平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

当期の経営環境

諸外国間の保護主義的な通商政策をきっかけとして、国内企業において輸出価格の見直しや、原価の抑制、サプライチェーンの再構築等の動きが活発となり、クレスコグループが属するIT産業においても開発・投資案件の中止や延期といった事象がみられました。また、物価水準は依然として高騰しており、年末には日銀による政策金利の引き上げが実施されたことで企業業績への懸念は一段と増しております。

 

特に、第4四半期においては、中東情勢に伴う原油価格の高騰が国内企業の事業に深刻な影響を及ぼしつつあることに加え、「アンソロピックショック」や「SaaSの死」とよばれる生成AIによる代替懸念がIT・ソフトウェア業界全体の株価を急激に押し下げるなど、クレスコグループの企業価値の維持および向上にとって課題となり得る事象が複数発生いたしました。

 

しかしながら、クレスコグループの顧客企業においては、既存システムの刷新や生産性の向上を目的とするシステム投資需要は底堅い状況にあり、また、生成AIの導入に向けた技術的支援の引き合いも堅調であることから、クレスコグループの受注に深刻な影響はないものと判断しております。具体的には、当連結会計年度において、クレスコグループが注力してきたAI・クラウド・セキュリティ・データアナリティクスといったデジタルソリューション分野での受注が大幅に増加いたしました。

 

当社は創業以来、高い技術と品質に責任を持つ企業姿勢、お客様の事業戦略の成功を第一とする業務知見や企業文化といった「クレスコ固有の強み」を鍛えてまいりました。このクレスコのDNAとも言える強みは、競合による模倣やAIによる代替は容易でないとともに、この強みを生成AIを活用してさらに進化させてAI時代の新たな品質基準の確立やお客様戦略の実現を加速する共創を推進しております。当社は、生成AIを「成長する」クレスコをさらに加速するドライバーとして研究・活用し、次世代のSI事業モデルの成長と企業価値向上を実現してまいります。

 

このような経営環境のもと、クレスコグループは前年度より『中期経営計画2026』を開始しており、2026年度における「連結売上高700億円」「連結営業利益率11.5%」「連結ROE15%」の達成を財務KPIとして掲げ、7つの成長戦略(①共創型モデルの確立、②品質リーダーシップ発揮、③人的資本経営推進、④技術・デジタルソリューションの拡張、⑤事業連携推進、⑥デジタル変革推進、⑦グループ一体経営)の実践を通じて、これらの財務KPIとクレスコグループとしてのミッションである『顧客とともに持続的に成長し、社会を前進させる』ことを実現してまいります。

当期の取り組み

■ 組織および体制

当社においては、「自動車・輸送機器」分野における開発力・提案力の強化を目的として、インダストリアルビジネス本部を再編し、モビリティDXビジネス本部を新設するとともに、営業力の強化を目的として、マーケットディベロップメント本部を新設いたしました。また、執行役員の充実化を図り、当社の事業を全方位的に進めるための体制を整えました。

 

2025年7月には、分散していた当社の開発拠点を集約し「Teq-C(テックシー)」として開設し、社員の働きやすさやコミュニケーション活性化を徹底的に追求いたしました。
なお、2026年1月において持分法適用関連会社であった(株)ジザイめっけが清算結了したことから、同社を持分法の適用範囲より除外しております。

■ 財務

2025年5月9日付で、当連結会計年度の中間配当から、連結配当性向を従来の40%から50%に引き上げることを公表いたしました。
また、同日付で100万株または15億円を上限とする自己株式の市場買付けを公表いたしました。当連結会計年度における買付実績は、903,600株(取得価額の総額は14億99百万円)となりました。

 

さらに、2025年8月には、当社の取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く。)および当社の執行役員である従業員ならびに当社子会社の取締役の一部に対する譲渡制限付株式報酬として、自己株式30,120株を処分いたしました(処分価額の総額は48,914,880円)。2025年12月には、当社および子会社の従業員の一部に対する譲渡制限付株式報酬として、自己株式35,640株を処分いたしました(処分価額の総額は53,994,600円)。

■ 事業

当社

2025年8月に、スイスに本社を置くSonar社とビジネスパートナー契約を締結し、国内初の「SonarQubeゴールドリセラーパートナー」に認定されました。また、コード品質分析プラットフォームであるSonarQubeを活用したサービスである「Trust Code Hub」の提供を開始いたしました。

2025年10月には、「Creage SIEM+」にてMicrosoft Sentinelの取扱いを開始いたしました。また、UiPath社のパートナー認定「Business Partners」「Service Partners」において最上位ティアである「Diamond」に認定いただきました。

2025年11月に開催された「EdgeTech+ 2025」において、モビリティ分野で当社が参画する産学連携プロジェクト「Open SDV Initiative」がSDV(Software Defined Vehicle)の操作を体験できるデモを出展いたしました。

2026年2月には、日本航空(株)様および(株)JALエンジニアリング様と航空機エンジンの内視鏡(ボアスコープ)検査における記録・分析を効率化するシステムのを共同で開発し、運用を開始した旨の発表を行いました。また、生成AIを活用したマイグレーションの高速化事例の発表も行いました。

2026年3月には、セキュリティ脆弱性診断サービスのメニューに「ASM診断」「AWS設定診断」を加え、ラインナップの拡充を図りました。

連結子会社

(株)クレスコ・ジェイキューブは、統合によるシナジー効果の最大化とビジネスの拡大を目的として、2025年4月1日付で同社の子会社である(株)高木システムを吸収合併しております。また、2025年9月9日開催の同社取締役会の決議に基づき、2025年10月1日付でIBMiビジネスに強みを持つ(株)アイエステクノポートの全発行済株式を取得いたしました。

クレスコ北陸(株)も同様に、2025年8月25日開催の同社取締役会決議に基づき、2025年10月1日付で製造業向けシステム開発を得意とする(株)エイプスの全発行済株式を取得しております。

(株)アイオスにつきましては、三菱UFJ信託銀行(株)との間で、システム開発とそれに付帯関連する業務におけるIT技術者の長期的、安定的な確保を目的として、2025年5月1日より10年間のパートナーシップ基本合意書を締結しております。

(株)クレスコ・デジタルテクノロジーズにつきましては、2026年1月に「ネットワーク調査サービス」の対象範囲をLANからWANまで拡張することを公表いたしました。

(株)クレスコ・イー・ソリューションにおいては、2026年3月、コンカー社のサービスパートナーランク最高位である「プラチナパートナー」に2年連続で認定されております。

 

上記の他、資金運用においては、投資有価証券売却益(特別利益)を6億41百万円、投資有価証券償還益(特別利益)を54百万円計上いたしました。

今後の見通し

2026年度の見通しにつきましては、中東情勢に伴う原油価格の高騰とインフレーションの進行により、特にエネルギー市況への依存度が高い顧客企業においてIT投資案件の選別が進むものとみております。具体的には、実証実験などの新規ビジネス向けIT投資は抑制される可能性が高い一方で、既存システムの更改、生産性を向上させるためのIT投資、サイバー攻撃への対処としてのセキュリティ投資等、事業活動に必須となるIT投資はさらに旺盛になっていくものと判断しております。クレスコグループでは、顧客からのシステム更改・IT投資需要を的確に受注につなげ、生成AIを駆使した開発効率とコスト効率で収益性を引き上げるとともに、顧客内で高まりつつある生成AIその他DXの活用ニーズを支援する形で販路を拡大することで、2026年度以降も着実に成長を図ってまいります。

2026年5月
代表取締役会長 根元 浩幸
代表取締役 社長執行役員 冨永 宏