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グループの概況・戦略 [21期 期末]

~ 代表取締役社長 熊澤修一 インタビュー ~

提案型営業への転換
顧客志向のサービスソリューションメニューで需要を喚起

2010年3月期を最終年度とする中期経営計画は着実に進展しているものの、事業環境の激変という思わぬ事態に直面しているのも事実です。現在の厳しい環境をどう受け止め、どのように乗り越えて行くのか。

熊澤修一 写真

Q.当期の業績についてご解説ください。

 セグメント別にご説明いたしますとソフトウェア開発事業の売上高は前年同期より4億21百万円増加し、109億50百万円となりました。業種別の売上高を比較しますと、主力の金融分野においては大手ベンダーを含む銀行および生命保険業関連の受注が激減し、結果、前年同期を5億49百万円下回り、44億41百万円となりました。公共サービス分野は、エンドユーザーフォーカスを軸とした施策が功を奏し運輸サービス関連等の受注が拡大し、前年同期を9億87百万円上回り、37億42百万円となりました。流通・その他の分野では、開発案件の受注が伸び悩んだ他、子会社におけるERPソリューション関連の受注も減少し、前年同期を16百万円下回り、27億66百万円となりました。
 組込型ソフトウェア開発事業の売上高は前年同期より30百万円減少し、29億30百万円となりました。製品別の売上高を比較しますと、通信システム分野においては、携帯電話など通信端末の開発案件が大幅に減少し、前年同期を2億91百万円下回り、7億89百万円となりました。カーエレクトロニクス分野では、自動車業界の低迷の影響で、カーオーディオの開発案件が減少し、前年同期を7百万円下回り、12億61百万円となりました。その他組込型分野はデジタルテレビなどデジタル家電分野が伸長し、前年同期を2億68百万円上回り、8億79百万円となりました。商品販売の売上高は前年同期より40百万円増加し、1億9百万円となりました。製品別では保険代理店の業務支援システムMAR(k)Sが23百万円、セキュリティロッカーなどRFID関連製品で28百万円、Bluetooth製品等の販売で57百万円となりました。
 第3四半期までと、第4四半期で状況が一変しました。第3四半期までは生命保険業関連のソフトウェア開発などを中心に増収増益基調で推移していたのですが、12月ごろから雲行きが怪しくなり、年明けと同時に一斉に仕事がストップしたという感じです。同時にERPソリューション関連の受注や、メーカー向けの組込型開発の案件が大幅に減少してしまいました。さらに、こうした新規システムの開発案件だけでなく、従来なら好不況に関わらず行われてきたハードウェアの更新案件が中止されるケースも相次ぐという、まさに異例の事態となりました。こうした緊急事態に対応するため、中途採用や新卒採用の絞り込みや残業時間の縮減などを徹底し、固定費の抑制に努めましたが、受注の落ち込みをカバーするには至らず、通期連結業績はわずかな増収とはなったものの、減益を余儀なくされました。

Q.厳しい環境の中、今後につながる明るい材料はありましたか?

 ある運輸サービス関連のお客様との事例なのですが、10年以上かけておつきあいを徐々に深めてきた結果、お客様がお持ちのシステムの内、およそ3割程度を、当社にお任せいただけることになりました。単に人員規模が大きくなったから喜ばしい、ということではありません。システムの3割に携わるようになったことで、お客様のシステムの全体像が把握できるようになり、そのシステムが抱えている問題点の改善提案や、将来的なシステム戦略の立案などができるようになったことが大きいのです。このように当社が志向する「エンドユーザーフォーカス」が結実した事例が、当期だけで3社ほど出てきました。これは当社の今後にとって、非常に明るい材料だと考えています。

Q.来期の業績予想をお聞かせください。

 一年後の景況を予想するのは極めて困難な時代ですが、2009年度は、IT投資の意欲が高まらない状況がしばらく続くと思っています。少なくとも上期までの事業環境は相当厳しい、場合によっては当第4四半期よりもさらに厳しくなる、とみています。お客様のシステム関連予算が絞り込まれ、新規開発案件がほとんどストップしてしまっている以上、減収は避けられそうにありません。利益面についても、減収の影響に加え、お客様からのコストダウン要請が厳しくなっていることもあり、遺憾ながら前年比マイナスとなる見通しです。
 このような厳しい先行きを見越し、来期は固定費の抑制に継続して取り組むと同時に、今の環境に合わせて営業スタイルの軌道修正を推進していきます。当社はこれまで、技術力に自信があるがゆえに、お客様に対してもより高い性能のもの、より高度なもの、先進的なものを提案しがちでした。しかし実際のところ、今のお客様が求めているのはそういうものではありません。お客様にとっては、投資へのリターンが、目に見える形で現れなければ意味がないのです。現在のような経済情勢だからこそ、「今これだけ投資すれば、一年間あたりこれだけのコストダウン効果が得られますよ」ということをリアルに提案できれば、お客様は必ず受け入れてくださるはずです。例えば複数に分散しているサーバーを統合することでソフトウェアのメンテナンス費用を削減したり、大手ベンダーとお客様の間に入り、お客様にとってより有利な代替システムを提案したりするなど、お金をかけなくてもアイデア次第でできることはいろいろあるとみています。
 環境の好転には今しばらく時間を要するでしょうから、来期は新規開拓を含めた掘り起こしをはじめとして、既存のお客様に対する拡販を推進し、業務量の確保を図るとともに、新しいソリューションの提案に注力し、次の時代につながるビジネスの種をまきたいと考えています。お客様側で既に決まっている仕事を取りにいく「案件狩猟型営業」ではなく、仕事の種をまき、それを大きく育ててから刈り取るという「農耕型営業」つまり提案型営業こそが、この不況期には求められていると思うのです。

Q.経営環境の激変を受け、中期経営計画の位置付けに変化はありますか?

 最終年度である来期に達成するはずだった数値目標については、見直しさせていただきます。現在の事業環境の中で、3年前に掲げた数値目標を追いかけることは現実的ではないと考えています。
 また、エンドユーザーフォーカス、「らしさ」の追求、新規事業の確立、という3つの基本方針についても、現在の事業環境に合わせて、若干の軌道修正が必要だと考えています。例えば新規事業として注力していたサービスソリューション事業については、先ほどご説明した通り、コストダウンソリューションに重点を置いていかねばなりません。今までの当社には、高い技術力こそが「クレスコらしさ」である、というおごりがあったのかもしれません。もちろん当社の社員がそれを誇りに思い、常に技術力を磨いていくという姿勢は大切ですが、それはお客様には直接は関係のない話です。もういちど市場の本当のニーズを見つめ直し、「お客様から必要とされるものこそがソリューションである」、という原点に回帰しなければなりません。コンサルティング事業についても、「まずITありき」の指南をするのではなく、経営的観点からITの利活用を提案し、お客様と共に問題解決を図っていく姿勢が大切なのです。「あくまで、“WithIT”、お客様の“真の思い”は何か」これも原点といえるでしょう。また、エンドユーザーフォーカスも、より具体的な戦略、日々の行動に落とし込んでいかなければなりません。お客様の業務や事業内容に密着した提案型営業へ転換を図るために、プリセールスとアカウント営業の役割を整理し、専任部隊を編成する他、営業に関する教育を徹底的に行います。
 その他、当社企業グループのコラボレーションも強化しています。グループ営業会議を通じて小まめな情報交換を行い、シナジー効果を高めていく計画です。

Q.「らしさ」を活かした新たな取り組みは?

 基盤システム開発、組込型ソフトウェア開発、アプリケーション開発という3つの事業分野での技術力の高さを「クレスコらしさ」と位置づけ、それぞれの強化を図るというのがその精神だったのですが、これからの時代には、それぞれの技術が強いだけではなく、それらが融合した総合技術力をさらに高めていかねばならないと痛感しています。私は3つある技術の柱を、「色の3原色」のようにしたいと説いています。赤、青、緑の3つの原色は、様々な比率で混ぜ合うことで、あらゆる色を造り出すことができます。クレスコの3つの柱も同様に、お客様のニーズに合わせて自由自在に融合しながら、新たなソリューションを生み出していかねばなりません。
 たとえば当社には、長年蓄積してきた携帯電話向けの高度な組込技術があります。携帯電話はもはや単なる通話のための端末ではなく、ネットワークを経由して様々なアプリケーションを動作させることができる情報端末へと変貌しています。こうした分野では、組込とアプリケーションの技術が融合しますし、さらにインターネットと携帯電話を融合した新ビジネスを展開するという話になれば、基盤システムの新たな需要を生み出すかもしれません。こうした案件を取りこぼさないよう、当社では毎週、全部門の事業責任者が出席するゼネラルマネジャー会議(GM会議)を開き、情報をすみやかに共有しています。このような仕組みは1,000人規模のIT会社ではほとんど行っていない、つまりアドバンテージだと思います。また、クレスコの3つの技術の柱と、子会社の持つ専門技術を融合することで、提案の幅をさらに増やしていくことができるのです。

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Q.エンドユーザーフォーカスの成果はいかがですか?

 エンドユーザーフォーカスとは、これまでのように大手システムベンダーの2次請けから脱却し、エンドユーザーとの直接取引を拡大していこうという戦略です。当社の売上高に占めるエンドユーザーとの直接取引の割合は、計画スタート時の23%から38%まで拡大してきました。ただ、重要なのはこの数字ではなく、その中身です。
 その前にまず、エンドユーザーフォーカスとは具体的にどういうことをやっているのかをご説明いたしましょう。例えばあるお客様がこれまで、システムの導入から運用まですべて、大手ベンダーに任せきりだったとします。こういう状況に対し、当社はお客様と大手ベンダーとの間に入り、お客様の手を煩わせることなく、大手に任せるべきことと、当社ならもっと安く、あるいは上手に切り回せる仕事とを切り分けていきます。これによって全く同じ機能を持つシステムであっても、お客様の費用負担を抑えることができますし、多くの場合はシステムの利便性そのものも高めることができます。
 つまり当社が狙っているのは、目先の仕事をいただくことではないのです。この仕事をきっかけとしてお客様のシステムに深く入り込み、その後の継続的なお付き合いに結びつけることが狙いなのです。まさに種をまいておいて、あとから収穫するという「農耕型営業」ですね。
 こんな事例もあります。あるお客様に焦点を当て、技術や営業の担当者が深くお付き合いさせていただける関係を戦略的に築きました。あるときこのお客様から、「この問題を解決するためのシステムを提案してほしい」という要望が出され、当社もコンペに参加させていただきました。このコンペには大手ベンダーも含めて数社が参加したのですが、お客様に深く入り込んでいた当社はお客様のニーズを的確に分析し、簡単なサンプルプログラムまで用意して臨むことができました。ここまでできたのは当社だけでしたから、お客様からは非常に高く評価していただくことができ、受注にも成功しました。営業と技術が一体となったエンドユーザーフォーカスが、見事に実を結んだ例だと思います。

Q.株主のみなさまへのメッセージをお願いします。

 厳しい事業環境に直面し、2008年度は期初計画通りの経営成績をあげることがかなわず、株主のみなさまには大変ご心配をおかけいたしました。当期の期末配当金は配当方針に沿って、前期末と同額の一株当たり15円とさせていただきましたので、中間配当と合わせ、年間配当金は一株当たり30円となります。2009年度の年間配当金につきましては予想される利益水準を鑑み、計画させていただく予定です。
 当社を取り巻く事業環境は非常に厳しく、好転の兆しもまだ見えない状況です。当面は先ほど申し上げた「農耕型営業」を推進し、じっくりと、大きな果実を育ててまいります。みなさまにはぜひとも、当社を長い目で見守っていただきたくお願い申し上げる次第です。
 株主のみなさまには今後も変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

Q.株主のみなさまへのメッセージをどうぞ

 経済環境が激変する中、株主のみなさまには、ぜひ当社を長期的な視点で評価していただきたいと願っております。現在のような経済情勢では、短期的な業績の変動はおそらく避けられません。しかし当社の最大の財産は人であり、好不況に関わらず、優秀な技術者が着実に育っていることをぜひご理解いただきたいのです。おかげさまで当社の人員は着実に増えており、現在連結ベースで1,000人を超える体制となっています。優秀な人材、ユニークな人材がたくさん育っています。人が育っている限り、当社の価値は決して下がることはないはずです。株主のみなさまには今後も変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

 
「JPX日経中小型株指数」の
2017年の構成銘柄に選定されました

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