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対処すべき課題

[2021年6月21日 時点]

2021年度の経営環境は、新型コロナウイルス禍が続く中、「新しい生活様式」や「ニューノーマル(新常態)」が定着しつつあり、ワクチン接種も開始され、好転の兆しが見え始めております。第3波以降、変異株の発生や新規感染者の再増加、2回目となる緊急事態宣言の発出など、新型コロナウイルス禍が収束したわけではありません。3月の月例経済報告でも「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られる」旨の判断を下しております。しかしながら、国内外の経済の停滞感は、既に底打ちが見られ、業種によって濃淡はあるものの、概ね改善傾向にあります。当社企業グループにおきましても、引き合いの増加は顕著であり、オンライン商談のほか、対面での営業活動も従来の勢いに回復し、新規顧客の開拓にも支障はありません。
このような経営環境の中、「攻めのIT経営」を主眼とした「デジタル変革」に対するIT投資は、2020年度の反動も含め、着実に増加するものと考えております。特に、クラウドやAI、RPAなどのテクノロジーを織り込んだシステム開発やデジタルソリューションへのニーズは、業種業態を問わず、本格化すると確信しております。とはいえ、IT関連の開発現場は、「3密(密閉・密集・密接)」になりやすい作業環境にあるため、引き続き、テレワーク体制の強化や感染防止に配慮した人員の配置、ソーシャル・ディスタンスの確保などに努めてまいります。なお、需給状況に関わらず、「デジタル変革」を担う人材の不足感は依然否めず、人材の獲得・育成はもとより、生産性及びサービス品質の向上、オフショア(海外分散開発)を含む開発体制の強化は、継続的な課題となっております。
こうした経営環境に的確に対応し、ステークホルダーの期待にお応えするため、当社企業グループでは、以下の課題認識のもと、諸施策を速やかに実行し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。

1. 新規顧客の獲得およびお客様とのリレーションシップの強化

ニーズの多様化、複雑化に伴い、当社企業グループは、お客様の事業目標達成や未来構想に向けたイノベーションを実現する、まさに「ITパートナー」としての役割を期待されております。お客様の期待に応えるための、幅広いITサービス、デジタルソリューションを提供できるよう、営業体制の強化とマーケティング活動を継続的に実施し、新規顧客の獲得及びお客様とのリレーションシップの強化を図ってまいります。また、営業情報、顧客情報を共有できる仕組みを構築し、当社企業グループ間および各事業部門の営業メンバーが連携し、戦略的、網羅的に幅広い提案型営業を展開してまいります。

2. デジタルソリューションビジネスの拡大と新技術の研究・開発

「デジタル変革(DX)」が本格化する中、従来のITサービス(システムインテグレーションを含む。)のみならず、お客様のDXに直結するデジタルソリューションビジネスの拡大が競争優位性を担保するために必要であると考えております。当社企業グループが強みとするAIやクラウド分野を戦略技術に据え、これらの技術を活かした、幅広い産業向けのソリューション群を提供してまいります。また、市場ニーズに適時・的確に応えることができる技術力の保持と革新的なビジネスの組成に不可欠な知見・アイデアを募集、集約するため、他企業とのアライアンスや産学連携、お客様との共同研究、オープンイノベーション等を通じた新技術の研究・開発に努めてまいります。

3. M&A・アライアンスの推進とグループ企業に対する管理の強化

継続的なM&A・アライアンスの推進による事業の拡大や新たな事業機会の確保、人材の獲得、取引先の開拓は成長戦略の重要テーマであり、加えて、グループ連携や協業をはじめ、業務インフラの整備、技術支援、人事交流等の施策を講じ、シナジー効果による「稼ぐ力の最大化」が不可欠と考えております。当社企業グループ各社に対する管理の強化につきましては、コーポレート・ガバナンスの観点から取締役あるいは監査役を派遣するほか、グループ事業の最適化やPMI(Post Merger Integration:統合効果の最大化)の推進に取り組んでまいります。

4. 人材採用と育成環境の拡充

人材は、お客様へ提供する付加価値の源泉であり、企業の発展を支える不可欠な存在です。企業の提供する商品やサービスが厳しく選別される時代、特にIT業界においては、人材の差が企業の競争優位性を決定づける大切な経営資源と考えております。事業戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、社員ひとりひとりが、心から仕事を楽しみ、能力を発揮できるよう、人材育成プログラムのブラッシュアップと実践、次世代人材の育成に注力してまいります。また、技術の研鑽と実ビジネスの具現化を通じて、お客様志向の「技術のクレスコ」を目指してまいります。

5. DX推進と機動的経営の実現

経営課題やビジネス課題への素早い対応を実現するためには、企業活動を加速する「仕組みづくり」と行動を促進する「マインドセットの醸成」が必要となります。『中期経営計画2023』をベースに、人材の確保・育成はもとより、組織改革や制度改革を含めたDXへの取り組みを積極的に進め、経営の機動性を高める仕組みづくりに取り組んでまいります。また、データ経営基盤の構築を視野に入れた情報システムの全体最適化やオフィスワーク・リモートワークの環境整備、時代に即した働き方改革を通じて、”継続的に挑戦していこう”とするマインドセットを醸成してまいります。

6. 健康経営の推進

「健康」は個人生活の質の向上のみならず、企業の利益にも繋がる大切な要素でもあり、企業が、能動的にマネジメントアプローチすべきテーマであります。心身の健康を維持・増進する取り組みは、企業のレピュテーションや人材採用の面でも効果が期待できるものであり、併せて、企業のリスクマネジメントとしても重要であります。2019年9月に健康経営宣言を発表し、2021年3月には、昨年度に続き、「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2021」に認定されました。今後も社員が健康で安心・安全に、やりがいを持って働ける職場を実践するため、当社企業グループに即した諸施策を推進してまいります。

7. 働き方改革の推進と健全な労働環境づくり

働き方改革は、生産性向上につながるテーマであり、社員のモチベーションや人材採用、離職防止の面でも効果が期待できるものと捉え、『働く人の立場・視点』で環境づくりや諸制度の導入に取り組んでおります。2019年9月には、女性社員だけでなく、男性社員が育児休業等を取得している点や時間外労働の削減、年次有給休暇の高取得率等が評価され、次世代育成支援対策推進法に基づく子育てサポート企業として、「プラチナくるみん」の認定を受けました。2021年度からは新人事制度へ移行し「クレスコ版ジョブ型制度」を導入します。この制度は、社員がこれまで以上に専門性・強みといったスペシャリティを追求し、実力に即した処遇を実現するもの、と考えております。今後も国の政策や法制度の動向を鑑み、デジタル技術を積極的に活用し、実効性の高い諸施策を推進してまいります。

8. 品質の強化

お客様に提供するサービス品質(QCD)の向上を目指すことは、結果として、当社企業グループの持続的な成長と企業価値の向上につながります。「契約・約束を守る」「仕事に責任を持つ」「品質(Q)、価格(C)、納期(D)を厳守する」等ビジネスでは当たり前のことを着実に実践し、プロジェクトマネジメントを含めたサービス品質の向上を通じて、お客様からの信頼・信用を重ね、クレスコブランドの確立を目指してまいります。2020年3月には、これまでの継続的な取り組みが評価され、一般社団法人プロジェクトマネジメント学会から「PM実施賞奨励賞」を受賞いたしました。

9. 生産性の追求

生産性向上の目的は、小さな工夫を積み重ねながら、業務の能率アップと効率化によって作られた「時間」「省かれたコスト」を有効に活用し、新たな価値や収益を生み出すことにあります。生産性向上は、恒常的な人手不足への対応、競争優位性の確保、労働環境の改善に資するものであり、最終的には、収益性にも直結するテーマです。当社企業グループでは、各社の状況に応じた働き方改革をはじめとして、各種情報共有ツールの導入、知的財産の活用、仕事のプロセス改善、基幹システムの刷新など、社員が、主体的にイキイキと働くことができる環境づくりに取り組んでおります。

10. 開発に従事する人材の確保と体制強化

IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人材不足は依然否めず、人材の確保と体制の強化は、継続的な課題となっております。当社企業グループは、部門や企業間を横断する開発体制を構築するほか、ニアショア(子会社や協力会社との協業による国内分散開発)やクレスコベトナムを通じたオフショア(ベトナムの現地企業との協業による国外分散開発)を積極的に活用し、人材不足による機会損失(案件の失注や縮小など)が発生しないよう取り組んでおります。また、併せて、協力会社とのリレーションシップの強化、人材の流出防止施策の実施、リモート開発の環境整備に努めてまいります。

11. ダイバーシティへの取り組み

多様性の受け入れは、個人ひとりひとりが充実した人生を送り、併せて、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くために、不可欠であります。当社企業グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。女性の採用や女性管理職比率の増加にも注力し、2017年9月には、女性活躍推進法認定マーク「えるぼし」を取得しました。その他、外国人や障がい者の採用にも積極的に取り組んでおります。2021年4月からは、LGBTに対する取り組みの一環として、パートナーシップ制度を導入いたします。これは、同性パートナーについても「配偶者と同様の取扱い」とし、社内の休暇や給付金の対象とするものです。今後も、多様な人材が組織に平等に参画し、その能力を最大限発揮できる機会の提供を通じて、様々なイノベーションを生み出し、価値創造に繋げてまいります。

※LGBTとは女性同性愛者(Lesbian)、男性同性愛者(Gay)、両性愛者(Bisexual)、性同一性障害を含む性別越境者など(Transgender)の人々を意味する頭文字

12. コーポレート・ガバナンスの推進

持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要と考え、的確かつ迅速な意思決定および業務執行体制並びに適正な監督・監視体制の構築を図っております。また、経営の健全化、公正性の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社企業グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組み(月次チェックや教育)を徹底するとともに、経営環境の変化に対応した投資戦略・財務管理の方針の策定や独立社外取締役の活用、取締役会の多様性など、信頼性の向上と自浄能力の増強に努めてまいります。加えて、改訂コーポレート・ガバナンス・コードへ的確に対応してまいります。

13. 事業ポートフォリオの最適化と柔軟な組織経営

当社企業グループには、お客様との継続的な取引関係をベースとする事業特性があり、「安定性」と「依存度」の2つの側面を持ち合わせております。このような事業特性を鑑み、特定の取引先・業界や技術の動向により、業績が左右されないようリスク分散を図るため、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでおります。また、多様化、複雑化するニーズと変化が著しい技術革新を先取りし、厳しさを増す経営環境に的確に順応するため、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報・時間)の有効活用(選択と集中)とマーケティング活動、研究・開発、組織・チーム・人材の活性化を通じた柔軟な組織経営に努めてまいります。