株主・投資家のみなさまへ [32期 期末]

株主・投資家のみなさまには日頃から格別のご支援をいただき、心より御礼申し上げます。

当期の経営方針

クレスコグループは、事業機会を着実に取り込み、さらなる飛躍を果たすため、2016年4月に5ヶ年のビジョン『CRESCO Ambition 2020』をスタートし、業績の達成、重点施策の具現化、企業価値の向上を目指しています。

 

当期は経営方針に「『CRESCO Ambition 2020』に沿った経営」「サービス品質の強化による質的成長」「リソースおよび技術戦略の強化による量的成長」「M&Aによる成長スピードの加速」を掲げ、11項目の対処すべき課題に取り組み、事業を推進しました。

対処すべき課題

  • 鉄板品質の提供
  • 生産性の追求
  • リソース戦略の強化
  • 人材の採用と育成
  • 新技術の研究・開発
  • グループ連携の強化
  • 営業体制およびお客様とのリレーションシップの強化
  • 新規ビジネスの組成
  • コーポレートガバナンスの推進
  • 健康管理と働き方改革の推進
  • ダイバーシティへの取り組み

当期の経営環境

当期は 「デジタル変革」が下支えとなり、創業以来培ってきた3つのコア技術(アプリケーション開発技術、IT基盤システム構築技術、組み込み技術)に先端技術(人口知能、クラウド等)を加えた幅広い事業領域をもつクレスコグループにとって、優位性を発揮できる機会となっていましたが、第4四半期に入り、新型コロナウイルス禍の影響から先行き不透明感が色濃い状況となりました。東京オリンピックに関連するインフラ整備やインバウンド需要の拡大は、IT投資を後押ししていた一面もあり、クレスコグループの受注にも、一部影響が出ています。あわせて、新型コロナウイルス禍に起因する世界同時株安により、投資ポートフォリオの慎重な見直しに迫られています。

当期の取り組み

当期は、品質管理体制およびプロジェクト監査の強化や、市場の変化に即した顧客ポートフォリオおよび事業体制の見直しを図るとともに、新規顧客の開拓、先端技術を取り込んだ新規事業・サービスの開発に注力しました。また、開発体制の拡充(ニアショア、オフショア)や選別受注、営業方針の見直し等を通じて、リソースに応じた適正な受注量の確保と顧客満足度のさらなる向上に努めました。一方、需給環境に関わらず、「デジタル変革」の進展に伴う人材の不足感は否めず、採用活動(新卒・経験者)や生産性改善活動(自社向けのイノベーション活動)にも注力しました。
 

資本政策としては、M&Aや資本・業務提携などの積極的な事業投資のための資金調達を目的とした「自己株式を活用した第三者割当による第7回新株予約権の発行」、投資家層の拡大と市場流動性の向上を目的とした「1:2の株式分割(効力発生日2020年2月1日)」を実施しました。
 

また、エバンジェリスト(伝道者)活動の一環として、技術研究の成果発表や各種サービス・ソリューションのプロモーション活動を推進しています。活動内容は「エンジニアブログ」でご紹介しています。
 

その他の取り組み実績は、当社ホームページのニュースでご紹介していますので、ご覧ください。

来期の見通し

クレスコグループは、お客様のご要望に基づき、システムや製品の設計・開発・保守運用サービス等を行うシステムインテグレーション、受託ソフトウェア開発を主軸とした事業を、展開しています。日本情報システム・ユーザー協会が毎年実施している「企業IT動向調査2020」(調査期間:2019年9月~10月)によると、「デジタル変革」の潮流が後押しとなり、40.7%の企業が2020年度の予算を昨年度に引き続き「増やす」とました。しかし、IT投資意欲に水を差す形で、全世界を巻き込んだ新型コロナウイルス禍で景況感が一変しており、潜在的なIT投資の意欲は高いものの、少なくとも2020年度上半期における内外経済の下振れは、確実と思われます。また、グローバル経済やサプライチェーンの滞り、消費低迷、雇用問題など、懸念は尽きず、先が見えない状況です。短期視点では、お客様のIT投資計画の見直しや変更による受注の減少、プロジェクトの中止・中断・延期、商談機会の遅れなどが発生し、新型コロナウイルス禍は経営成績に重要な影響を与える要因になります。
 

ソフトウェア開発事業の「金融」分野では、株価の暴落や為替相場の大幅な変動に伴う世界規模の金融不安が、「公共サービス」「流通・その他」分野では、足元の業績の急激な悪化や先行きの不透明感が、IT投資に影響を与える見通しです。組み込み型ソフトウェア開発事業の「通信システム」「カーエレクトロニクス」「情報家電等・その他」の各分野では、影響の大きさは異なるものの、急激な需要減少や製品開発サイクルの見直し、為替相場の大幅な変動などが、IT投資に影響を与える見通しです。
 

しかしながら、「デジタル変革」の潮流は、構造的には大きく変化しておらず、中長期視点では拡大基調が継続するものと考えています。また、新型コロナウイルス禍を機に、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策を含め、改めて見直されるクラウド環境の整備、テレワーク・在宅勤務制度の導入、人工知能(AI)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した省人化・自動化対応等、お客様のご要望は増加傾向にあり、先端技術を含む幅広い事業領域をもつクレスコグループにとって、新たな事業機会になると考えています。

来期の取り組み

来期は『CRESCO Ambition 2020』の最終年として、「『CRESCO Ambition 2020』に沿った経営」「新規顧客の獲得および事業ポートフォリオの最適化による受注の確保」「先端技術を活用した高付加価値ビジネスの創出による利益の拡大」「働き方改革への継続的な挑戦による生産性および社員満足度の向上」「アライアンスの推進による成長力の加速」を経営方針に掲げ、引き続き課題に取り組みます。

対処すべき課題

  • 新規ビジネスの組成と新技術の研究・開発
  • 新規顧客の獲得およびお客様とのリレーションシップの強化
  • 鉄板品質の提供
  • 生産性の追求
  • 開発に従事する人材の確保
  • 人材の採用と育成
  • 働き方改革の推進
  • 健康経営の推進
  • ダイバーシティへの取り組み
  • M&A・アライアンスの推進とグループ企業に対する管理の強化
  • コーポレート・ガバナンスの推進
  • 事業ポートフォリオの最適化と柔軟な組織経営


 [課題の詳細はこちら]

クレスコグループは、「アプリケーション開発技術」「IT基盤システム構築技術」「組み込み技術」の3つの中核技術に、先端技術(AI・クラウド等)を加えた多様な技術領域を軸とした「デジタル変革(デジタルトランスフォーメーション:Digital Transformation、DX)」をリードするIT企業グループです。2020年度は、新型コロナウイルス禍による東京オリンピックの延期や外出の自粛ムードが高まる中、内外経済の停滞、景況感の悪化、先行き不透明感の強まりといった懸念が多いスタートとなりましたが、「CRESCO Ambition 2020」の最終年度を飾るべく、経営方針を確実に実行し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。

 

2020年5月
代表取締役 会長 岩﨑 俊雄
代表取締役 社長執行役員 根元 浩幸