株主・投資家のみなさまへ [35期 期末]

株主・投資家のみなさまには平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

当期の経営方針

クレスコグループは、2021年4月1日から、10年間の長期グループビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートしております。また、当該ビジョンの具現化に向け、中期経営計画として、中期経営計画2023(2021年度~2023年度)、中期経営計画2026(2024年度~2026年度)、中期経営計画2030(2027年度~2030年度)の3ステップを設定し、最初のステップとなる中期経営計画2023では、「連結売上高500億円」「連結営業利益額50億円」「ROE15%以上」を目標としております。

当期の経営環境と取り組み

当期は、新型コロナウイルス禍からの正常化が進む一方で、ロシア・ウクライナ紛争に端を発する物価高騰と、それらに対する各国の金融政策および財政政策の結果、金融市場の不透明感が増大し、家計消費と企業投資に極めて重大な影響を与えてまいりました。
クレスコグループの顧客企業においては、一部でIT投資を厳選または延期あるいは規模を縮小する等の動きが認められるものの、既存システムの刷新やDX推進による生産性向上を目的としたIT投資需要は依然として旺盛であり、クレスコグループの受注は順調に推移しております。
このような経営環境のもと、クレスコグループは当連結会計年度において下記の取り組みを行ってまいりました。

■ 組織および体制

クレスコにおいては、2022年4月1日付で代表取締役会長および代表取締役 社長執行役員の2代表制に移行するとともに、『CRESCO Group Ambition 2030』の策定を機に、創業以来初となるブランドロゴの変更を実施いたしました。
また、『CRESCO Group Ambition 2030』実現のために経営戦略本部を設置するとともに、グループシナジーのさらなる発揮のためにグループ統括本部を設置し、グループ間での営業案件の共有を進めてまいりました。
さらに、適切な権限委譲による経営上の意思決定と施策実行の迅速化を目的として、当社の執行役員を本部長に据える組織改革を行いました。

 

クレスコグループにおいては、機動的経営の強化およびグループガバナンス向上のため、グループ役員会議の頻度を増やし、グループ役員間の連携強化を図ってまいりました。
また、クレスコグループの人財・経営資源の有効活用によるシナジー効果のさらなる発揮を目的として、2022年7月1日付で連結子会社3社(アルス(株)、(株)エヌシステムおよび(株)ネクサス)を合併し、(株)クレスコ・ジェイキューブとして再編いたしました。
また、2023年2月には、大阪・東京・名古屋の三大都市圏に拠点を持つソフトウェア開発会社である日本ソフトウェアデザイン(株)の全発行済株式を取得し、連結子会社(みなし取得日は2023年3月末)としております。

■ 事業

クレスコにおいては、2022年4月にUiPath社の認定リセラー「ゴールドパートナー」に認定され、5月にはUiPathライセンス購入企業向けにe-Learningの提供を開始いたしました。さらに、2023年3月には同社の「ダイヤモンドパートナー」に認定されました。
また、2022年10月にはアマゾンウェブサービス(AWS)の「AWS公共部門パートナープログラム」および「AWS公共部門ソリューションプロバイダー」に認定されたほか、企業のDX人材を育成する「DX研修サービス」を開始するとともに、当社の大容量ファイル共有サービスである「インテリジェントフォルダ」のiOSアプリをリリースいたしました。
今後もRPAやクラウド、DX領域でのビジネスラインナップを拡充し、デジタルソリューションの強化に取り組んでまいります。

 

また、近年サイバー攻撃への対策が企業の優先課題となっていることから、2022年8月にはサイバー攻撃の兆候を検知・分析し、その情報をもとに専門家による対策支援を提供する「マネージドセキュリティサービスfor SIEM」の販売を開始し、多くの反響をいただいております。
さらに、2023年3月には、端末を監視しサイバー攻撃被害を最小化できるソリューションである「マネージドセキュリティサービスfor EDR」の提供を開始いたしました。

 

当社が得意とする画像認識AIや機械学習の分野では、2022年9月に、画像認識AIによる画像分類結果の根拠を可視化する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムの特許を取得しました。
また、12月には日本航空(株)との間で医療AIによる画像認識技術を活用した「航空機エンジン内部検査ツール」を開発することを発表いたしました。
2023年2月には、当社はJR九州ホテルズ(株)と共同で数理最適化手法を用いたホテル部屋割り最適化の実証実験を行い、部屋割り最適化ツールのプロトタイプを開発いたしました。
今後も、獲得した知見や技術をベースにお客様のDXを推進し、社会の発展に貢献してまいります。

 

資本・業務提携の分野では、2022年11月に(株)フォーラムエンジニアリングのエンジニアを専門とした人材サービス「コグナビ」のグローバル展開を目的としたインド法人への資本出資に関する基本合意を締結いたしました。

 

以上のような事業の底上げとビジネス機会の創出をより一層強化するために、当年度より当社社員に対し技術・品質・ビジネス変革に関する自己学習を奨励しております。
また、エバンジェリスト活動も継続して取り組んでおり、複数名の当社社員が大学で教鞭をとる機会をいただいております。

 

連結子会社においては、2022年5月に、(株)クレスコ・デジタルテクノロジーズが同社のIoT機能を搭載した「ソーシャルトイレシステム」の販売を(株)光合金製作所との共同開発により開始いたしました。
また、7月にはクレスコ・イー・ソリューション(株)がSAP S/4HANAへの移行サービス「MOA」の内容をリニューアルいたしました。
10月にはCRESCO VIETNAM CO., LTD.がベトナムのフードデリバリー市場向け最新POSシステムの販売を開始しております。

 

また、昨今のコロナ禍を契機として、クレスコグループでは事業所および開発拠点の移転等のオフィススペースの見直しを進めており、事業効率のさらなる向上に取り組んでおります。

今後の見通し

昨今のIT技術の急速な進展により事業環境は、お客様の投資スタンスが企業規模の大小を問わずに、新たな事業価値の創出、競争力強化、イノベーションの実現を目指した「デジタル変革(DX)」へと、ますます顕著に変化しております。今後は、サステナブルなデジタルビジネスの確立を目指す「新たなDX競争の時代」になることでしょう。

 

私たちが実現したい未来は、世界中の人々の想像を超える「その先」、もっと豊かでわくわくする未来です。今後も、当社企業グループ一丸となって、長年のシステム開発をとおして積み上げた豊富な経験と知見をベースに、ITサービス事業およびデジタルソリューション事業を展開し、お客様や社会のサステナブルな成長に貢献するとともに、名実ともに業界のリーディングカンパニーとなるべく、邁進してまいります。

 

今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2023年5月
代表取締役会長 根元 浩幸
代表取締役 社長執行役員 冨永 宏