株主・投資家のみなさまへ [33期 第3四半期]

株主・投資家のみなさまには日頃から格別のご支援をいただき、心より御礼申し上げます。クレスコグループの第33期 第3四半期(2020年4月1日~12月31日)決算がまとまりましたので、ご報告申し上げます。

当第3四半期の経営環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、厳しいものとなりました。第3四半期に入り、企業のIT戦略遂行は加速してまいりましたが、「第3波」による内外経済および景気の下振れリスクによる、先行きの不透明感は依然拭い切れず、従前の企業活動の勢いには至りませんでした。クレスコグループでは、経営方針に則り、環境の変化に即した顧客ポートフォリオおよび事業体制の見直しや既存顧客を中心とした受注量の確保、先端技術(AI・クラウド等)を取り込んだ新規事業・サービスの開発に注力するとともに、在宅勤務制度の構築、社内デジタル変革の推進(テレワーク体制の整備、オンラインコミュニケーションツールの活用、デジタルマーケティングの強化)、オフィススペースの最適化など、攻めの施策を講じておりますが、営業活動や開発業務において、以下の事象が発生し、業績への重しとなりました。
 

  • 対面営業活動の制限による新規顧客開拓の不調
  • 既存プロジェクトおよび新規プロジェクトの中止・中断・延期、受注単価の引き下げ要請(特に、旅行・空輸への影響は大きく、その他、不動産・自動車関連にも影響。)
  • テレワーク体制への移行期における一時的な待機要員の発生および生産性の低下
  • 不採算プロジェクトの発生


一方で、景気浮揚策として世界的に大規模な財政出動が行われた影響により、前連結会計年度末と比べて株価が持ち直した結果、当社が保有する金融商品の時価が全体的に上昇するというプラスの側面もありました。

クレスコグループは、事業機会を着実に取り込み、持続的な成長と企業価値の向上を果たすため、2016年4月から「デジタル変革をリードする」ことを標榜した5ヶ年のビジョン『CRESCO Ambition 2020』を掲げ、業績目標の達成、重点施策の具現化、企業価値の向上を目指しています。当期は、最終年度にあたります。

 

当該ビジョンのもと、当第3四半期は、2020年4月1日に株式会社エニシアスを新たに連結子会社とし、今後、さらなる需要が見込まれるクラウド関連事業の拡大を図っております。その他、エバンジェリスト活動の一環として、AIやクラウド、RPA関連の社外向けセミナーや技術関連の書籍の出版などを通じて、各種サービス・ソリューションのプロモーション活動を実施いたしました。

第33期の経営方針

  • 「CRESCO Ambition 2020」に沿った経営
  • 新規顧客の獲得および事業ポートフォリオの最適化による受注の確保
  • 先端技術を活用した高付加価値ビジネスの創出による利益の拡大
  • 働き方改革への継続的な挑戦による生産性および社員満足度の向上
  • アライアンスの推進による成長力の加速

2020年度の事業環境は、新型コロナウイルス禍により、これまでの流れが一変しました。国内では、緊急事態宣言解除後、経済活動が少しずつ再開し、足元の景気は最悪期を脱して、第2四半期以降は、ウィズコロナ・アフターコロナを踏まえた「新しい生活様式」や「ニューノーマル(新常態)」が、定着しつつあります。しかし、新型コロナウイルス禍が収束したわけではなく、第3四半期後半には、変異種を含めた第3波が発生しております。今後の感染状況次第では、再び事業環境が悪化することも想定され、未だ先が見えない状況であります。
2020年度の経済見通しは、2020年12月の日銀短観では、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)が、前回9月調査より17ポイント改善してマイナス10となっております。また、大企業・非製造業は7ポイント改善のマイナス5となり、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急落した6月調査を底に、景況感は2四半期連続で持ち直しております。しかしながら、DIはいずれもマイナス圏を抜け出し切れておらず、第3波の感染拡大防止と経済活動の両立を図る中で、景気の回復は、引き続き緩やかなペースにとどまる見込みです。加えて、足元では、Go To トラベルキャンペーンの中止や緊急事態宣言が再発出されるなど、対人接触型サービスを中心に再び業況が悪化する可能性が高く、予断を許さない状況です。加えて、企業のDXの動向は、2020年12月の日銀短観をみると、ソフトウェア投資が前年比プラス3.4%ではあるものの、2020年度の投資計画は、全規模・全産業において下方修正となっており、投資意欲自体は、構造的には変化せず、維持されているものの、本格的なIT投資の回復は、デジタル庁(仮称)が発足する来年度以降になる可能性が高い、と考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する状況については、事業環境および経済見通しを鑑み、以下のとおり仮定しており、今後も引き続き状況を注視してまいります。

 

 

<新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定>
 

  • 新型コロナウイルス禍は当期中の収束は難しい見込みである。
    第3四半期に入っても新規陽性者数は依然として増加傾向にあり、当連結会計年度末にかけても収束は難しい見込みとなりました。第3四半期以降、顧客の引き合いは改善傾向にはあり、対面営業も徐々に戻ってはおりますが、新規取引先の獲得を含め、従前の勢いには至っておらず、クレスコグループへの影響は、通期にわたると認識しております。
    クレスコグループでは、「ニューノーマル」におけるビジネススタイルはオンラインが主体になるとの認識に立ち、営業機会を増やし、適切な受注を確保するため、オンライン併用の営業活動を強化いたします。また、デジタル変革の需要を積極的に取り込むため、オンラインセミナーの開催やAI・クラウド関連の新規ビジネスの組成に注力してまいります。

     
  • 主要顧客の景況感は、依然として回復しておらず、今後も厳しい受注状況が続く。
    事業環境は、第3四半期に入っても、変異種を含めた新型コロナウイルスの第3波が発生するなど、思うように好転せず、主要顧客、特に旅行・空輸・不動産・自動車関連への影響は現在も続いており、受注状況は、引き続き予断を許さないもの、と認識しております。
    クレスコグループでは、公共や製薬などの新型コロナウイルス禍の影響が少ない業種への営業活動や新規顧客開拓を目的としたデジタルマーケティング、環境の変化に即した顧客ポートフォリオの最適化に努めるとともに、クレスコグループの連携力を活かし、営業機会を創出するためのクロスセールに注力してまいります。

     
  • 2020年4月1日付で(株)エニシアスを連結子会社としており、業績の底上げを期待。
    エニシアスは、Google CloudやSalesforceのパートナーとしてクラウドビジネスに強みを有しており、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因するテレワーク環境下においても、その強みを発揮して収益機会を獲得することができております。

     
  • 生産性向上とコスト削減、不採算案件の極小化に注力し、通期業績予想は前連結会計年度並みに着地。
    2020年の末から生じた新型コロナウイルスの感染爆発により、当連結会計年度末に向けた事業環境の好転は期待できず、景気の回復は緩やかなペースにとどまる見込みであることから、イノベーションの実行による生産性向上と聖域なきコスト削減による収益力の改善が必要と認識しております。具体的には、社内デジタル変革による新たな事業展開(テレワーク体制の強化、通勤手当の見直し、オフィス最適化)に最優先に取り組むとともに、不採算案件の極小化や残業時間の抑制、待機人員の解消、不要不急のコストの削減等の諸施策を実行することで、生産性の向上と業績予想の達成を目指してまいります。

     

2021年3月期の業績予想につきましては、2020年5月8日に公表した予想数値に変更はありませんが、今後、これらの仮定の誤りにより開示すべき事象が発生した場合には、速やかにお知らせいたします。
 

クレスコグループが提供する多彩なサービス・製品やソリューションは、「デジタル変革」の潮流を概ね取り込めるポジションにあり、お客様から「ITパートナー」として期待されております。
2020年度は、大変厳しい経営環境ではありますが、新型コロナウイルス禍は中長期視点では一過性のものであり、「デジタル変革」は、着実に拡大すると予測しております。「ピンチのときこそ、チャンスは到来する」と前向きに捉え、多様化、複雑化するニーズをしっかりと取り込み、そして、自らも競争優位性を確保するイノベーションを実現し、社会の発展に貢献する所存です。また、長年培ってきた技術力と経験を活かし、クレスコグループ内の協業や他社とのアライアンスを積極的に展開し、お客様の「デジタル変革」をリードする新規性と利便性を備えたサービス・製品を提供してまいります。あわせて、経年の教訓を活かし、改めて品質管理の強化と生産性の向上を軸に足固めをしつつ、クレスコグループ全体の事業ポートフォリオの最適化と環境変化に応じた柔軟な組織経営に努め、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
 

2021年2月
取締役会長 取締役会議長 岩﨑 俊雄
代表取締役 社長執行役員 根元 浩幸